27 / 135
第4章 仕官編
(24)静寂
しおりを挟む「困った子ね、まったく・・・」
そう言うと、夏樹は手提げバックを開いてハンカチを雪子の前に差し出した。
「あっ、クマさんだ!」
「ふふっ、可愛いでしょ?」
雪子は、受け取ったハンカチで涙を拭きながら、チラチラと夏樹の顔を見ていた。
「な~に・・・?」
「別に・・・なんでもないよ」
「そういえばさ、あんた、あたしを憎んでたんじゃなかったの?」
「うん、憎んでたよ。それに恨んでたし・・・」
「あら?はっきり言うのね」
「それだけじゃないよ。思いっきり!大っ嫌いだったもん!」
「あはは、そこまで言う?」
「だって、本当の事だし」
なぜなのかは分からないが、夏樹は照れながらマスクの紐に手をかけた。
「ちょっと、ふーちゃん?」
「な~に・・・?」
「そこまで言わせておいて、どうしてって訊かないの?」
「ふふっ、答えは、あたしの目の前にいるじゃない?」
そう言うと夏樹はマスクを外して見せた。
というより、マスクをしたままではコーヒーが飲めないと言った方が正解だろう。
「うわっ・・・うそ?」
「ん?嘘って、何が?」
「だって・・・」
「もしかして、あたしって綺麗?」
「あはは・・・。もう~、ふーちゃんったら」
泣いたカラスがもう笑ったがそのまま適応している雪子を見ながらではコーヒーが飲めないので、窓の外に視線を移しながら夏樹はコーヒーを口にした。
あらあら・・・鬼の形相なんかしちゃったら、せっかくの美人が台無しなんじゃないかしら?
とはいえ、ここからは元妻の顔までは見えないけど、
と~っても怖い雰囲気がビシ!ビシ!と、ここまで伝わってきてるわよ。
京子、あたしを恨む事で今を生きる事は出来てもね、それじゃ、いつまでも明日が見えないのよ。
京子、理解した?
さっきね、わざとなのよ!
わざと、あんたに見せつけてあげたのよ!
あんた、それに気がついていなんでしょ?
あんたがいつまでもウジウジとあたしの事を恨む毎日を送ってるから見せつけてあげたの。
あんたが自分は悪くないと思う事はあんたの勝手だけど。
でもね、そんなあんたのままじゃ、いつか子供たちにも出て行かれちゃうわよ?
とはいっても、京子?
あんたにとって雪子の存在は、ある意味において地獄かもね?
それよりも、昔の旦那が女性になっていたって事の方がショックだったかしら?
「ふーちゃん、何、考えてるの?」
「ん・・・?どうして?」
「だって、さっきからずっと窓の外を見てるし」
「ずいぶん雪が降るわね~って思ってね」
「でも、ふーちゃんって綺麗なんだ!」
「あい・・・?」
「それだったらマスクなんかしなくも大丈夫だよ」
「だから昼間マスクをしていないと、寝る時に咳が止まらなくなるって言ってるでしょ?」
「なんか、もったいないね」
「すっかり揉まれる事を忘れちゃってるあんたの可愛い胸の方がもったいないわよ」
「ふーちゃん、揉みたいの?」
「ほら、ウエイトレスさんが聞いてるわよ」
「へへへ・・・」
変わらないわね、そんなとこも。雪子は、今も、あの頃のまま・・・。
そして、あの日から、雪子の時間は止まっていたのね・・・やっぱり・・・。
そう言うと、夏樹は手提げバックを開いてハンカチを雪子の前に差し出した。
「あっ、クマさんだ!」
「ふふっ、可愛いでしょ?」
雪子は、受け取ったハンカチで涙を拭きながら、チラチラと夏樹の顔を見ていた。
「な~に・・・?」
「別に・・・なんでもないよ」
「そういえばさ、あんた、あたしを憎んでたんじゃなかったの?」
「うん、憎んでたよ。それに恨んでたし・・・」
「あら?はっきり言うのね」
「それだけじゃないよ。思いっきり!大っ嫌いだったもん!」
「あはは、そこまで言う?」
「だって、本当の事だし」
なぜなのかは分からないが、夏樹は照れながらマスクの紐に手をかけた。
「ちょっと、ふーちゃん?」
「な~に・・・?」
「そこまで言わせておいて、どうしてって訊かないの?」
「ふふっ、答えは、あたしの目の前にいるじゃない?」
そう言うと夏樹はマスクを外して見せた。
というより、マスクをしたままではコーヒーが飲めないと言った方が正解だろう。
「うわっ・・・うそ?」
「ん?嘘って、何が?」
「だって・・・」
「もしかして、あたしって綺麗?」
「あはは・・・。もう~、ふーちゃんったら」
泣いたカラスがもう笑ったがそのまま適応している雪子を見ながらではコーヒーが飲めないので、窓の外に視線を移しながら夏樹はコーヒーを口にした。
あらあら・・・鬼の形相なんかしちゃったら、せっかくの美人が台無しなんじゃないかしら?
とはいえ、ここからは元妻の顔までは見えないけど、
と~っても怖い雰囲気がビシ!ビシ!と、ここまで伝わってきてるわよ。
京子、あたしを恨む事で今を生きる事は出来てもね、それじゃ、いつまでも明日が見えないのよ。
京子、理解した?
さっきね、わざとなのよ!
わざと、あんたに見せつけてあげたのよ!
あんた、それに気がついていなんでしょ?
あんたがいつまでもウジウジとあたしの事を恨む毎日を送ってるから見せつけてあげたの。
あんたが自分は悪くないと思う事はあんたの勝手だけど。
でもね、そんなあんたのままじゃ、いつか子供たちにも出て行かれちゃうわよ?
とはいっても、京子?
あんたにとって雪子の存在は、ある意味において地獄かもね?
それよりも、昔の旦那が女性になっていたって事の方がショックだったかしら?
「ふーちゃん、何、考えてるの?」
「ん・・・?どうして?」
「だって、さっきからずっと窓の外を見てるし」
「ずいぶん雪が降るわね~って思ってね」
「でも、ふーちゃんって綺麗なんだ!」
「あい・・・?」
「それだったらマスクなんかしなくも大丈夫だよ」
「だから昼間マスクをしていないと、寝る時に咳が止まらなくなるって言ってるでしょ?」
「なんか、もったいないね」
「すっかり揉まれる事を忘れちゃってるあんたの可愛い胸の方がもったいないわよ」
「ふーちゃん、揉みたいの?」
「ほら、ウエイトレスさんが聞いてるわよ」
「へへへ・・・」
変わらないわね、そんなとこも。雪子は、今も、あの頃のまま・・・。
そして、あの日から、雪子の時間は止まっていたのね・・・やっぱり・・・。
83
お気に入りに追加
188
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。

男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。



ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる