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第2章 王都編

(15)※ 白昼の

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「誰に向かってものを言ってる」

 彼はびくっ、と反応する。ああ、可愛い。この男、こんなに可愛かったか。だが駄目だ、彼は俺に高圧的に支配されたいのだ。もっと追い詰めてやらねば。

「俺の何が欲しいんだ?」

「メ、メイナードの、それを…」

 俺が反応せずにいると、彼は具体的に言い直す。

「頼む…いや、お願いします…俺に、情けを…」

 うん。俺としては、すぐにでも可愛がってやりたいのだが、それではお前は物足りないよな。

「情けとは何だ。はっきり言わないと分からないぞ。俺のペニスを、お前の、どこに欲しいんだ?」

「ここに…」

 彼は顔を真っ赤にそむけながら目をきつく閉じ、自分から膝を折り曲げて大きく広げ、ヒクヒクと収縮するそこを俺に披露した。

 よし、合格だ。俺は卑猥な魔力をたっぷり乗せて、彼の美しい悲鳴を楽しみながら、ずぶりと侵入した。



「あっ…はぁっ!ああ…っ!」

 今日は最初から下腹に隷属れいぞく紋が刻まれているせいか、それとも俺の味を覚え込んでしまったからか。すっかり発情したナイジェルが、ふうっ、ふうっ、と荒い息を繰り返しながら、はしたなく乱れている。俺としては、彼の腹の上に吐き出された精を頂きたいのだが、今これを止めて、すくって味わうのも興醒めだろう。ああ、そうか。ごと俺の中に転移させればいんじゃね?俺、天才。

「さあ、こっちでもちゃんと、俺を歓ばせるんだぞ?」

 既に吐かれた精と、そしてまた今にも精を吐き出しそうになっているナイジェルのそれを、転移スキルでゆっくりと俺の中に導いてやる。ああ、獣人とサイレンのハーフの精。味は格別だ。

「あっ、あっ、あああっ…」

 しまった。ナイジェルが二つの快感に耐えきれず、早速壊れ始めた。昨日より随分早い。参ったな、今日は適当に遊んで、一旦帰ってもらいたかったのだが。彼が帰った隙に、明日イチで王都を離れ、ほとぼりが冷めた頃に、またちょくちょく転移で戻って、可愛がってやるから。さあ、中にお駄賃ザーメンあげるから、さっさと帰りなさい。

「はあっ、ああっ、イく、イ…ああ…!」

 彼は全身をわななかせて、盛大にメスイキした。それに伴い、俺の中に吐き出される精も、また更に味わい深くなる。ああ、俺もダメだ。ナイジェルが俺に求めるような、オスとしてのセックスも嫌いじゃないが、俺自身はどちらかというと、精を注がれる方が気持ちいい。ああもう、もう一回。もう一回だけ。



 改めて、昨日までの高級ホテルの薄明かりの中と違い、明るい日差しが入る部屋で彼の美貌を堪能する。ゆるやかなウェーブを描く艶やかな赤髪。少し勝ち気そうな目つきだが、長い睫毛まつげが少女のようなはかない色気をたたえる。すっと通った鼻梁も、薄い唇も。身体は猫系獣人族によくある、しなやかで引き締まった肢体。だが肌は絹のように滑らかで、明らかに異人種サイレンの特徴を帯びている。その身体は今、桜色に上気して、しっとりと汗を纏い、彼はうわごとのように繰り返し俺の名前を呼んでいる。一言で言って、非常にエロい。

 俺は一旦彼からそれを引き抜くと、彼を四つん這いにさせて、改めて背後から貫いた。この宿は一部屋一部屋がコンパクトに纏まっていて使い勝手が良いのだが、唯一の欠点が、枕元の位置に窓があること。東向きの窓から朝陽が入り、非常に眩しい。王都に出張に来た下っ端官吏かんりたちには、寝覚めが良いと好評らしいのだが。だがしかし、こうして日中の情事に及ぶなら、これを使わない手はないだろう。俺の下でいい声で鳴いている彼の髪を、無造作に掴む。

「通りの奴が、お前のとろけ切ったイキ顔を見てるぞ」

「!」

 本当は、そんなはずはない。外の方が中よりも明るいのだから。よほど望遠鏡などでこの部屋を注視しない限り、見えないはずだ。だがナイジェルは、びくりと身体を震わせ、息を呑んだ。が締まる。彼は窓から顔をそむけようとするが、髪をグッと掴んで、許さない。

「ほら、見せてやれ。誰が誰に抱かれて、よがり狂ってるのか」

「ぁっ…嫌…」

 被虐ひぎゃく心を煽ってやると、彼は一気にたかぶる。そう、俺の精の催淫効果を抑え、彼から効率的に精を絞り取るためには、彼を一方的にたくさんイかせてやればいいのだ。俺、冴えてる。

「嫌じゃないだろ。ほら…」

「あっ、いっ、嫌、ひ…あ…!」

 良い角度でクイッ、クイッとえぐってやると、ナイジェルはシーツを掴んで思い切り背を反らし、痙攣しながら簡単に達してしまう。彼から注がれる精に、思わず俺も身震いする。ああ、いの出すじゃないか…

 結局その後も、彼の放つ精が美味しくて、ついやり過ぎてしまった。もしかしたら本当に、偶然この窓を見かけてギョッとした通行人もいたかもしれない。まあ、俺は明日にはおさらばだし、まさかこんな安宿で一流貴族の子息がアヘ顔を晒しているなどと、誰も思わないだろう。ノープロブレム。しばらくしたら、とろけてへばった彼を起こして遅い夕食に誘い、一旦彼を放流したら任務完了だ。



 と、思っていた時期が、俺にもありました。

 下の食堂に誘い、さっさと夕飯を済ませ、「じゃあな」と声を掛けて立ち去ろうとしたところ、彼は無言で部屋までついて来た。そして急いで扉を閉めようとすると、彼の足が挟まっている。激しい既視感。

「だってお前、俺がこのまま帰ったら、朝一番に王都から逃げるだろ」

 うん。読まれてました。俺の逃亡計画は、再び失敗に終わった。



✳︎✳︎✳︎



名前 ナイジェル
種族 ハーフサイレン
称号 ノースロップ侯爵家長子
レベル 97

HP 1,940
MP 3,880
POW 194
INT 388
AGI 194
DEX 194

属性 闇・水

スキル 
呪歌じゅか Lv6
剣術 Lv6
ヒール Lv6
キュアー Lv5
ウォーターボール Lv5

E 普段着
聖銀ミスリルのバングル

スキルポイント 残り 40

状態 魅了固定・隷属れいぞく紋定着



呪歌じゅか
闇属性スキル、サイレン専用
様々なバフやデバフ効果を持つ
レベルによって効果が異なる
音声に乗って届くため、常に全体に作用する
必中スキルだが、音声がさえぎられたり、届かない場合は、効果がない
他スキル同様、相手のINTが高い場合は、レジストされる場合がある

ヒール 
水属性又は光属性スキル
体力を回復し、傷を治す効果がある
レベルが上がるほど一度に多くの対象に治癒効果を発揮する

キュアー 
水属性又は光属性スキル
状態異常を回復する効果がある
レベルが上がるほど一度に多くの対象に高度な状態異常回復を発揮する

ウォーターボール 
水属性スキル
水を操り攻撃する
レベルが上がると氷属性に変わり、殺傷能力が大幅に上昇する

聖銀ミスリルのバングル
オーダーメイドのナイジェル専用装備
若干の防御効果とマジックボックスの機能がある
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