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雨降って地固まる
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リッカが消えたあの後、ライトと共に俺はある場所に転移した。
かつて人族の国があったその場所、城だったモノから遠く離れた、リッカが閉じ込められていた塔。
見る影もなく崩れた塔の地下に続く階段を下りると、そこには見慣れた檻と、リッカがいた。地下は殆どそのまま残っていた。
力を使い果たしたのだろう。
俺達の気配にも反応せず、床に体を丸めて眠っていた。
いつも、戦闘した後はこうして自己回復をしていた。
世話役の時に聞いた話では、首輪が自分の魔力を吸い上げ、ギリギリ生存出来る魔力を残して、抵抗する力や気力を奪っているらしい。
それ以上の力を行使するには、生命力を使う、と。
だから、いつも戦闘した後はこうして眠って、ギリギリまで回復しているんだって、淡々とリッカは言ってたけど。
『何でか、死なないんだよね。だから』
---仕方ない。
全てを諦めた瞳だった。
やり切れなかった。
やっと、君を、救える。
そうしてリッカを抱き上げると辺境伯邸に戻り、ライトはスタンピードと横領の後始末をしに行った。
魔導師団の副団長の解析では、首輪にはやはり血筋に反応する誓約がされており、自死自傷不可、誓約者(この場合、血筋全て)への反抗不可、王の命令は絶対。
後は細々と、発言の内容如何では言葉が制限されたり、元々無愛想だったが、人形のように感情を出せないようにされていた。
「1人残らず殲滅してやりたい」
スンッとした顔で呟く俺を見てライトが、
「ウン、気持ちは分かるよ。でもダメだからねムリだからねどうやって選別するのデキないからね?! 絶対絶っっ対止めてねお願いだから!!」
一息に叫んだので、仕方なく止めた。
「龍人族の番ってこんなんなの? 狼族も大概だけど、こわっ」
通常運転だが何か?
解放するには、本人より強い魔力を首輪に注ぐこと。
許容量を越えれば耐えきれずに壊れるだろうとのこと。
「え、この子より凄い魔力って、どんな? そんなヤツいるの?!」
ライトが言ったが、多分、隷属されてる今のリッカは俺より弱い。
本来の姿があのアバターのステータスの筈。
でなければ、そもそも奴隷になっていないだろう。
状態異常無効と聞いていたし。
と言う訳で、ライト達が見詰める中、俺は首輪へと魔力を注ぎ・・・。
首輪は粉々に砕けて消えた。
「後は本人の回復に任せましょう。我々も少し休まねば・・・」
と副団長が、あ~疲れた、と部屋を出て行った。
「そうだな、エヴァも少し休め。何なら添い寝してやればいい」
ライトがいい笑顔で去って行ったので、それもそうか、とベッドに潜ると小さいリッカを腕の中に閉じ込めて。
「もう、我慢する必要ないんだな」
幸せを噛みしめた。
それから暫くして、抱き込んだ体に違和感を感じて目を覚ませば、小さかった体がほぼほぼ元の年齢のサイズに変化していて。
助けたときに身に着けていた服は、邸に運んだ時に俺のシャツに替えていたから『彼シャツ』になっていて。
身長は170㎝ないくらいで、今の俺の背が190㎝はあるから、充分隠れているけれど。
コレが萌えかっ!
思わず鼻を押さえた。ヤベえ。
恐らく枯渇していた魔力が戻ってきて、体が魔力に耐えられるように馴染んできて成長したんだろう。
本来ならこの状態で召喚されて、奴隷にはならなかった筈。
タイミングが悪かったといえばそうだが。
「どうにかならなかったのか? せめてもう少し、護ってやれなかったのか?」
ベッドの下に、金色と黒色の猫が『待て』のポーズでじっとしていた。
首輪を壊したときに、いたのは気付いていたが、リッカに気が向いていて放置していた。
リッカの精霊だろう。
リッカは気付いてないかもしれない。
隷属の首輪のせいか、色々制限されていて見えてなかっただろう。
見えていれば精神的にいくらか楽だったと思う。
『もふもふに目がないんだ!』
変わらない表情でも声で分かるくらい力説していたからな。
『すまなかった。我々を認識できなかったリッカは、気配くらいしか分からなかった。加護の事も、説明する暇もなかったと、我らが神は仰っていた』
「今更だな。まあ、俺も護れなかったし、文句を言う立場ではないが、リッカが目覚めたら覚悟をする事だな」
そう言ったら、二匹?二体?は青ざめた、ように見える。
『ガーン!』という表情っぽい。
だが、多分想像してる事と違うと思うぞ。
コイツらを無表情でモフり倒すリッカが目に浮かんだ。
そうして、その後、無事に目覚めたリッカに求愛し、OKを貰い、存分に構い倒した後に猫型精霊二匹(でいいや、もう)に気付いたリッカが、案の定モフり倒すのを微笑ましく(心の中では嫉妬して)見ていた。
「色々あったけど、これぞまさしく『雨降って地固まる』だね」
はにかんだ微笑みを見てまあいいか、と思う俺も俺だが、それで済ませるリッカもどうかと思う。
もっとこの世界や神に怒れ。
そして色々と残る疑問に。
神様、説明プリーズ!
いい加減出てこいや!!
かつて人族の国があったその場所、城だったモノから遠く離れた、リッカが閉じ込められていた塔。
見る影もなく崩れた塔の地下に続く階段を下りると、そこには見慣れた檻と、リッカがいた。地下は殆どそのまま残っていた。
力を使い果たしたのだろう。
俺達の気配にも反応せず、床に体を丸めて眠っていた。
いつも、戦闘した後はこうして自己回復をしていた。
世話役の時に聞いた話では、首輪が自分の魔力を吸い上げ、ギリギリ生存出来る魔力を残して、抵抗する力や気力を奪っているらしい。
それ以上の力を行使するには、生命力を使う、と。
だから、いつも戦闘した後はこうして眠って、ギリギリまで回復しているんだって、淡々とリッカは言ってたけど。
『何でか、死なないんだよね。だから』
---仕方ない。
全てを諦めた瞳だった。
やり切れなかった。
やっと、君を、救える。
そうしてリッカを抱き上げると辺境伯邸に戻り、ライトはスタンピードと横領の後始末をしに行った。
魔導師団の副団長の解析では、首輪にはやはり血筋に反応する誓約がされており、自死自傷不可、誓約者(この場合、血筋全て)への反抗不可、王の命令は絶対。
後は細々と、発言の内容如何では言葉が制限されたり、元々無愛想だったが、人形のように感情を出せないようにされていた。
「1人残らず殲滅してやりたい」
スンッとした顔で呟く俺を見てライトが、
「ウン、気持ちは分かるよ。でもダメだからねムリだからねどうやって選別するのデキないからね?! 絶対絶っっ対止めてねお願いだから!!」
一息に叫んだので、仕方なく止めた。
「龍人族の番ってこんなんなの? 狼族も大概だけど、こわっ」
通常運転だが何か?
解放するには、本人より強い魔力を首輪に注ぐこと。
許容量を越えれば耐えきれずに壊れるだろうとのこと。
「え、この子より凄い魔力って、どんな? そんなヤツいるの?!」
ライトが言ったが、多分、隷属されてる今のリッカは俺より弱い。
本来の姿があのアバターのステータスの筈。
でなければ、そもそも奴隷になっていないだろう。
状態異常無効と聞いていたし。
と言う訳で、ライト達が見詰める中、俺は首輪へと魔力を注ぎ・・・。
首輪は粉々に砕けて消えた。
「後は本人の回復に任せましょう。我々も少し休まねば・・・」
と副団長が、あ~疲れた、と部屋を出て行った。
「そうだな、エヴァも少し休め。何なら添い寝してやればいい」
ライトがいい笑顔で去って行ったので、それもそうか、とベッドに潜ると小さいリッカを腕の中に閉じ込めて。
「もう、我慢する必要ないんだな」
幸せを噛みしめた。
それから暫くして、抱き込んだ体に違和感を感じて目を覚ませば、小さかった体がほぼほぼ元の年齢のサイズに変化していて。
助けたときに身に着けていた服は、邸に運んだ時に俺のシャツに替えていたから『彼シャツ』になっていて。
身長は170㎝ないくらいで、今の俺の背が190㎝はあるから、充分隠れているけれど。
コレが萌えかっ!
思わず鼻を押さえた。ヤベえ。
恐らく枯渇していた魔力が戻ってきて、体が魔力に耐えられるように馴染んできて成長したんだろう。
本来ならこの状態で召喚されて、奴隷にはならなかった筈。
タイミングが悪かったといえばそうだが。
「どうにかならなかったのか? せめてもう少し、護ってやれなかったのか?」
ベッドの下に、金色と黒色の猫が『待て』のポーズでじっとしていた。
首輪を壊したときに、いたのは気付いていたが、リッカに気が向いていて放置していた。
リッカの精霊だろう。
リッカは気付いてないかもしれない。
隷属の首輪のせいか、色々制限されていて見えてなかっただろう。
見えていれば精神的にいくらか楽だったと思う。
『もふもふに目がないんだ!』
変わらない表情でも声で分かるくらい力説していたからな。
『すまなかった。我々を認識できなかったリッカは、気配くらいしか分からなかった。加護の事も、説明する暇もなかったと、我らが神は仰っていた』
「今更だな。まあ、俺も護れなかったし、文句を言う立場ではないが、リッカが目覚めたら覚悟をする事だな」
そう言ったら、二匹?二体?は青ざめた、ように見える。
『ガーン!』という表情っぽい。
だが、多分想像してる事と違うと思うぞ。
コイツらを無表情でモフり倒すリッカが目に浮かんだ。
そうして、その後、無事に目覚めたリッカに求愛し、OKを貰い、存分に構い倒した後に猫型精霊二匹(でいいや、もう)に気付いたリッカが、案の定モフり倒すのを微笑ましく(心の中では嫉妬して)見ていた。
「色々あったけど、これぞまさしく『雨降って地固まる』だね」
はにかんだ微笑みを見てまあいいか、と思う俺も俺だが、それで済ませるリッカもどうかと思う。
もっとこの世界や神に怒れ。
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