【完結】雨を待つ隠れ家

エウラ

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雨を待つ隠れ家 後(sideリッカ)

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結論からいうと、僕は隷属の首輪から無事解放された。
 
自分ではよく覚えていないけど、スタンピードが起こって。

僕が現れ殲滅して転移したところにアッシュが追いかけて転移して、眠っていた僕を見つけて首輪を破壊したらしい。

アッシュは前世の記憶がそのまま残っていて、例の檻の場所も分かっていたし、首輪の効果でソコに転移することも知っていて。

ただ、国が滅んだ後、解放されたと思っていて、ここは盲点だったそう。

『すまなかった。もっと早く気付いていたら・・・』
 
そう辛そうに言うアッシュに、済んだこと、と気にしないように言う。

ところで、そちらの方はどなたでしょうか? と視線で尋ねる。
「二度目まして、かな。この獣人国ルスの第3王子のラインハイトという。先のスタンピードでチラッと会ってるけど、憶えてるかなあ?」

人好きしそうな金狼の獣人さんだが、ちょっと分からない。
アッシュとも会ったらしいけど、ゴメン。多分心が死んでて、虚無ってたから、(前の)アッシュが死んだ後からの記憶が曖昧です。

「さっきからお前ら、聞いたことのない言葉で話してて、ちょっと疎外感。どこの言葉?」

王子らしくない言葉遣いで、ラインハイトが興味津々で尋ねる。

それにアッシュが答える。

「ああ、そういえば言ってなかったが、リッカの世界の日本という国の言葉だ。『日本語』だな」
「ニホンゴ」
「ついでに言うと、俺はリッカと同じ異世界人でリッカの友人だった。ソレが前々世。前世は人族の一兵士。で、リッカと偶然再会し、人族の国が滅ぶきっかけになった戦で死んだ」

そして今世、龍人で生まれて今に至ると。

「ちなみに、今世の名前はエアヴァルト・アッシュ・ドラゴニア。リッカはミドルネームのアッシュでいいからな。ラインハイトは俺の事はエヴァと言うから。アッシュと呼ぶのはお前と家族だけだ」
「うん、アッシュ」
「へえ、ナルホド。どおりで今回、君を見つけて直ぐに対処出来た訳だ。運命だねぇ」

ラインハイトがニヤリと笑う。何?

僕が怪訝に(雰囲気でね)思っていたら、アッシュが急に抱きしめて来た!

ナニナニッ?!

「リッカ『俺の運命の番、いや、FFOで初めて会話した時から、ずっと好きだった。いや今でも、愛してる』」

ボッとした。顔が。
多分僕、今メッチャ赤い顔してる。
無表情だけど。

『え、と、その、あの・・・とっても、嬉しいです』
「ふはっ、何で敬語」
「お~い。何言ったか分からんけど、何となく求愛ぽいこと言って、おっけーした感じ? 羨まけしからん!!」
「・・・コッチでもそういう言葉有るんだね」
「だな」

ところでさっきからアッシュがあまあまなんだけど。
いつの間にか僕、膝に乗ってるし。
顔中キッ・・・スされてる。
僕、人間?だからよく分からないけど、コレって番に対する行動で普通なの??

空気を読んだラインハイトが、いい笑顔で親指を立てた。
うん、通常運転なんだね。

別な意味で虚空を見詰めたのは許して欲しい。日本人でコミュ障には辛い。
 

・・・・・・恥ずか死ぬ!

 
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