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496 わくわくドキドキ錬成タイム 3
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※前話で宰相とその側近を出し忘れてました。あとで追記しました。すみません。大筋は変わりません。
移動先の作業台には今は何も乗っていない。ただの机だ。サイズは縦が一.五メートル、横が三メートルだろうか。
その作業台の前面を囲むように椅子が置かれていた。おそらく立会人用の席なんだろう。
リオラルが作業台の真正面に座り右隣にリンクス、リオラルの左隣に宰相、薬師長と医師長が座って、それぞれの側近が後ろに立った。
リオラルの護衛騎士三人は一人は後ろに、残り二人は出入り口の扉に控えた。リンクスの護衛騎士はリンクスの後ろに控えた。
まあ、不足の事態に陥ったときの退路確保は基本だよね。
そんなことを考えながら、席に着いた皆の顔をぐるりと見渡す。
え? 人見知り? 錬金術に意識を切り替えた今の俺には関係ないね。
ちなみにヴァンは何故かリンクスの膝の上に鎮座している。自分から乗っていったんだけど、何でって聞いたら『メーレっぽくて落ち着く』って言ってた。
・・・・・・うん。言われてみれば確かに癒しみたいなほのぼのした雰囲気があるよね。
アークは当然のように俺の隣に立っててくれて、凄く安心する。
「えと、じゃあ材料の説明をしながら進めたいと思うけど、それでいいかな?」
「ああ、それでお願いする」
「分からないところがあれば、聞いてくれれば詳しく説明するから遠慮なく聞いてね」
代表してリオラルが返事をし、他の皆が頷く。じゃあ始めよう。
俺は説明をしながら材料を作業台に出していく。
「まず最初に、これは午前中の鑑定で見つけたシメピというキノコ。生と乾燥後のモノがあるんだけど」
「ノア殿、それは調薬でも使われるごく普通のシメピでは?」
早速ファビアが聞いてきたので俺は詳しく説明をする。
「俺も常備しているシメピで、通常は下剤や虫下しの薬に使う。使いやすいように乾燥するのが普通だね。成分も変わらない」
「それが今回の、ええと錬金術に必要なモノなのかい?」
それを聞いてリオラルも怪訝そうに聞いてきたので俺は頷いて続けた。
「うん、まあ材料の一つだけど。ここで見つけたシメピは変異種らしくて、乾燥後に成分が変化してるんだ」
「そういう変化は割とあるの?」
リオラルが俺に聞いたあとファビアにも視線を向けたが、ファビアも首を振って否定した。それを見て俺も言葉を続ける。
「いや、あまりない。だからもしかしたら古の森が関係してるのかも」
「・・・・・・また、古の森か」
そう言うとリオラルは渋い顔をした。メーレに盛られた毒草が浅いところとはいえ古の森のモノだったからね。
「そこはあとで精霊王に要確認として、このシメピと───アーク、アレは?」
「ああ、ここにあるぜ」
アークに声をかけるとマジックバッグから同じく午前中に見つけた例のブツを俺に手渡してくれた。
「これも鑑定で見つけた鉱石でイエローアパタイト。これは錬金術師の間では知られてると思うんだけど実は魅了効果がある」
「そうなのか? まあこちらの錬金術師ギルドが把握していたかは確認しないと分からないが」
そう言うリオラルはもしかしたら頭の中で、彼らの事情聴取の内容にソレも付け加えているのかもしれない。
それはそっちの管轄だから好きにやって欲しい。
それはともかく。
「あと最後にトケイ草。これは適正量を使う分には鎮静や精神安定に効果があり、ストレスからの不眠やイライラなどを和らげる」
俺がそう言うと、おそるおそるという感じでオウランが聞いてきた。
「・・・・・・適正量を越えると?」
「個人差はあるけど、眠気が強く出たり錯乱とかヘンな行動を起こしたりするね」
「・・・・・・それって、ここ最近の貴族階級で問題になってるアレと似ているんですが、やっぱり・・・・・・?」
俺の返答にオウランがそう言って、リオラル達もザワついた。
やっぱりエレンみたいな症状が出ているのかもしれない。
「では、ノア殿は今からそれらを使ってアレの元を錬金術で錬成するんですね?」
「そうなるね。・・・・・・ただ言っておきたいのは、どんなモノでも毒にもなるし薬にもなるってこと」
そこを見極めて調薬・錬成して提供するのが薬師であり錬金術師だと俺は思ってる。
誰かを害するためにその力を奮っちゃいけない。
少なくともラグ爺さんはそういう人だったし、俺もそうありたい。
「薬を扱う人もその薬を使われる人も皆、心ある生き物なんだから最大限の注意を払わないとね」
だから本当に道を外れたのなら、彼らには相応の罰を与えて償いをして欲しいと願う。
※次話、錬成予定。うん、やっぱり説明で終わっちゃった。クスン。
シメピはともかく、トケイ草はパッションフラワーという実際にある花です。こちらの効能や副作用を参考にしました。
フィクションなのでそういうモノと流して下さい。
移動先の作業台には今は何も乗っていない。ただの机だ。サイズは縦が一.五メートル、横が三メートルだろうか。
その作業台の前面を囲むように椅子が置かれていた。おそらく立会人用の席なんだろう。
リオラルが作業台の真正面に座り右隣にリンクス、リオラルの左隣に宰相、薬師長と医師長が座って、それぞれの側近が後ろに立った。
リオラルの護衛騎士三人は一人は後ろに、残り二人は出入り口の扉に控えた。リンクスの護衛騎士はリンクスの後ろに控えた。
まあ、不足の事態に陥ったときの退路確保は基本だよね。
そんなことを考えながら、席に着いた皆の顔をぐるりと見渡す。
え? 人見知り? 錬金術に意識を切り替えた今の俺には関係ないね。
ちなみにヴァンは何故かリンクスの膝の上に鎮座している。自分から乗っていったんだけど、何でって聞いたら『メーレっぽくて落ち着く』って言ってた。
・・・・・・うん。言われてみれば確かに癒しみたいなほのぼのした雰囲気があるよね。
アークは当然のように俺の隣に立っててくれて、凄く安心する。
「えと、じゃあ材料の説明をしながら進めたいと思うけど、それでいいかな?」
「ああ、それでお願いする」
「分からないところがあれば、聞いてくれれば詳しく説明するから遠慮なく聞いてね」
代表してリオラルが返事をし、他の皆が頷く。じゃあ始めよう。
俺は説明をしながら材料を作業台に出していく。
「まず最初に、これは午前中の鑑定で見つけたシメピというキノコ。生と乾燥後のモノがあるんだけど」
「ノア殿、それは調薬でも使われるごく普通のシメピでは?」
早速ファビアが聞いてきたので俺は詳しく説明をする。
「俺も常備しているシメピで、通常は下剤や虫下しの薬に使う。使いやすいように乾燥するのが普通だね。成分も変わらない」
「それが今回の、ええと錬金術に必要なモノなのかい?」
それを聞いてリオラルも怪訝そうに聞いてきたので俺は頷いて続けた。
「うん、まあ材料の一つだけど。ここで見つけたシメピは変異種らしくて、乾燥後に成分が変化してるんだ」
「そういう変化は割とあるの?」
リオラルが俺に聞いたあとファビアにも視線を向けたが、ファビアも首を振って否定した。それを見て俺も言葉を続ける。
「いや、あまりない。だからもしかしたら古の森が関係してるのかも」
「・・・・・・また、古の森か」
そう言うとリオラルは渋い顔をした。メーレに盛られた毒草が浅いところとはいえ古の森のモノだったからね。
「そこはあとで精霊王に要確認として、このシメピと───アーク、アレは?」
「ああ、ここにあるぜ」
アークに声をかけるとマジックバッグから同じく午前中に見つけた例のブツを俺に手渡してくれた。
「これも鑑定で見つけた鉱石でイエローアパタイト。これは錬金術師の間では知られてると思うんだけど実は魅了効果がある」
「そうなのか? まあこちらの錬金術師ギルドが把握していたかは確認しないと分からないが」
そう言うリオラルはもしかしたら頭の中で、彼らの事情聴取の内容にソレも付け加えているのかもしれない。
それはそっちの管轄だから好きにやって欲しい。
それはともかく。
「あと最後にトケイ草。これは適正量を使う分には鎮静や精神安定に効果があり、ストレスからの不眠やイライラなどを和らげる」
俺がそう言うと、おそるおそるという感じでオウランが聞いてきた。
「・・・・・・適正量を越えると?」
「個人差はあるけど、眠気が強く出たり錯乱とかヘンな行動を起こしたりするね」
「・・・・・・それって、ここ最近の貴族階級で問題になってるアレと似ているんですが、やっぱり・・・・・・?」
俺の返答にオウランがそう言って、リオラル達もザワついた。
やっぱりエレンみたいな症状が出ているのかもしれない。
「では、ノア殿は今からそれらを使ってアレの元を錬金術で錬成するんですね?」
「そうなるね。・・・・・・ただ言っておきたいのは、どんなモノでも毒にもなるし薬にもなるってこと」
そこを見極めて調薬・錬成して提供するのが薬師であり錬金術師だと俺は思ってる。
誰かを害するためにその力を奮っちゃいけない。
少なくともラグ爺さんはそういう人だったし、俺もそうありたい。
「薬を扱う人もその薬を使われる人も皆、心ある生き物なんだから最大限の注意を払わないとね」
だから本当に道を外れたのなら、彼らには相応の罰を与えて償いをして欲しいと願う。
※次話、錬成予定。うん、やっぱり説明で終わっちゃった。クスン。
シメピはともかく、トケイ草はパッションフラワーという実際にある花です。こちらの効能や副作用を参考にしました。
フィクションなのでそういうモノと流して下さい。
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