迷い子の月下美人

エウラ

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495 わくわくドキドキ錬成タイム 2

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「あ・・・・・・よろしくお願いします。ノアです」

俺も慌てて挨拶をする。それをニコニコと笑ってうんうんと頷くファビア。まんま孫の話を聞くお爺さんみたい。

「こちらこそ、よろしくお願い致します。実は話を頂いたときはもう、年甲斐もなく興奮してしまって」
「私も同様でして。いくつになってもこういうのは楽しみですね」

ファビアとビビオがウキウキしながら前のめり気味に近寄ってきたので俺はちょっと人見知り発動で一歩後ろに下がった。
その隙間にアークがサッと身体を滑り込ませて壁になってくれてホッとする。

「すまないが、もう少し下がってくれるか? ノアが緊張してる」
「あっ、大変申し訳ありません。話は窺っていたのですが、つい」

そう言ってファビア達は素早く下がって距離を取ってくれた。

「まあ、興奮する気持ちは分かる。俺はアルカンシエルだ。聞いてると思うがノアの番いだ」

アークが自己紹介をして二人も同じく続いた。

「ファビアと申します」
「ビビオです。医師として浅慮でした。申し訳ありません」
「分かったならいい。もっともノアは実験にのめり込むと周りが見えなくなって人見知りも何も関係ないけどな」

アークがそう言って溜息を吐いたが、俺はそれを否定できないのでアークの背中でこっそり苦笑した。

その様子を微笑みながら眺めていたリオラルが、切りよく話を振ってきたので意識をそちらに戻す。

「さてそれじゃあ、あとはリンクスと宰相とその側近達だけだが───」
「お待たせしましたか、リオラル兄上」
「やや遅れましたか、王太子殿下」

リオラルが言い終える前に第四王子と宰相がそう言って部屋に入ってきた。宰相はパンテラを、第四王子は側近と思われる、王子よりやや年上の人を伴っている。王子の護衛騎士も一人着いている。

「いや、つい今しがたきたところだ。そんなに待ってはいない。ノア殿、彼が第四王子のリンクスだ。宰相達はすでに会っているね」

リオラルに声をかけられて、俺はアークの背中からそろっと顔を出す。すると優しげな顔と目が合った。

「お初にお目にかかります。リンクスと申します。こちらは私の側近のササメです」

そう言って挨拶をしたリンクスは猫獣人で、髪色も瞳の色も、顔立ちでさえメーレによく似ていた。背丈もメーレとあまり変わらないくらい小柄だ。
ササメも猫獣人でメーレの親戚だそうだ。こちらも確かにメーレと同じ髪と瞳の色だが、髪は短くて襟足が肩に付くくらいの長さで顔立ちは凛々しく、リンクスよりも頭一つ大きい。

メーレは長い髪を緩く三つ編みにしていたが、リンクスはリオラルのように後頭部で一つに括って垂らしていた。
なるほど確かにメーレの実子だとすぐに分かる。

俺は思わず呟いた。

「メーレそっくりだぁ」
「! 母はお元気でしょうか、ノア殿!」
「う、え? うん。めちゃくちゃ元気だよ。ふっくらしてきて自力で歩いてる」

何なら畑仕事を張り切ってやってるけど。

「そ、それはよかった・・・・・・。もう一時期は眠れぬほど心配で───」
「うんうん、お礼はあとでね、リンクス。いい加減、ノア殿に作業をして頂かないと」

このままリオラルのお礼祭りに突入かと思われたが、リオラルが上手いこと止めてくれてホッとする。
確かにいい加減、錬成に移りたい。

「・・・・・・あ、失礼致しました。そうですね、このあと作業が落ち着いたらお時間を頂けませんか?」
「うん、別にいいよ。・・・・・・ね? アーク」
「ああ、構わない」

終わったら時間をとることにして、アークにお窺いを立てる俺。イヤだって、俺の番いで保護者だから。
周りはその行動に納得なようで特に何もツッコまれなかったけど、それはそれでどう思われてるのかちょっと気になる。

「じゃあ、揃ったようなのであっちの作業台に行こうか」

そう言って俺は意識を錬成の方に切り替えた。






※うう、登場人物が多すぎて錬成まで行かなかったよう・・・・・・。
投稿も遅れました。お待たせいたしました。
次話こそノアの錬成XXXを!
酷暑です。体調にお気をつけ下さい。

※リンクスとササメの容姿の描写をちょっと追加修正しました。

※宰相と側近も出し忘れてました。追加修正しました。すみません。

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