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187 神聖な霊山の冒険者ギルマス 1
しおりを挟む昨日は散々だった。
何で竜王国の王子殿下が門衛の詰め所なんかに突撃して来るんだよ!
---俺は神聖な霊山冒険者ギルドマスターでクラウドと言う。
金狼の獣人だ。
昨日の昼下がり、ギルドにアルカンシエル様がこの街に来たと一報が入って慌てて詰め所に向かう途中・・・。
リュカリオン殿下が供も連れずに単独で飛来して来たのが見えて思わず顔が真っ青になった。
何をどうして知ったのか、はとこの来訪を聞いて文字通り翔んで来たのだろうが・・・。
---さすがにコレは無いわ---。
詰め所まであと100mあまりになったときに、急にブワッと膨れ上がった威圧と殺気。
あまりの圧に脚が止まって動けなかった。
この気配はよく知っている。
アルカンシエル様のモノだ。
・・・殿下、彼を怒らせたのか・・・。
アルカンシエル様は周りに無関心、無頓着な所があるが、感情的になって誰かを攻撃する事はほとんど無い。
高位貴族としての教育の賜か、彼の家族の重すぎる愛のおかげか。
その溺愛に堪えきれずに爆発することはあるが、それも幼い頃ぐらいで今は落ち着いているらしいし。
その彼がコレほどまでに威嚇するとしたら・・・。
「・・・噂の番い様関係だろうな・・・」
各ギルドに密かに浸透している『ノアとアークを見守り隊』。
アルカンシエル様が発案者とのことだが、とにかく入隊した隊員達の熱の凄いこと。
最初は皆、ソレ必要?って思うんだが、一度でも目にしたヤツらはこぞってこう言う。
『ノアさん、可愛い!』
『守ってあげたくなる!』
いやいや、Aランク(今はSランク)の凄腕冒険者なんだろう?
見守り必要?
可愛いって何だよ?!
---って。
そう思っていたのに、本人はめちゃくちゃ不憫で健気で強いのに可愛くてぴるぴる最高---!!って・・・。
テンション爆上がり。
俺はまだ顔を見てないが、今まで関わったギルドの『見守り隊』は皆、同じような感じだった。
---つまり、何が言いたいかというと・・・。
そんなぴるぴるする可愛い番い様を怖がらせちゃったんだな、リュカリオン殿下。
そりゃ、キレるわ。
この街、消滅したな・・・、って遠い目になっていたら、直後に赤竜が降りてきて詰め所に入っていった。
その僅か数十秒後、圧が消えて膝をついた。
「---は、膝がカクカクしてるぜ・・・」
さすが王族の身内。
これぞ竜人って力の一端を見た。
本当に、これでもほんの爪ほどの力なんだろうな・・・。
冷や汗を拭っていると、漸く震えが止まって、立ち上がることが出来た。
よく見ると失神している者がチラホラ。
少しして殿下と赤竜・・・魔法騎士団長が詰め所から去って行き、その後、アルカンシエル様達も出て行った。
俺は声をかけづらくて、そのままそっと見送ると、門衛や警備隊と一緒に被害状況の確認やら手助けやらで大忙しになってしまった。
---あとで門衛隊長に聞いたところ、やはり殿下がやらかしたそうで。
団長のおかげで助かったそうだ。
彼等には街一番の貴族御用達の高級宿を紹介したそうだ。
・・・・・・すまんな。
結局、その日は彼等と会うことは無く、疲れ切ってギルドに戻った。
そして翌日、再び、残りの後始末をしに出かけている間にアルカンシエル様達が来た事を知った。
いやーな情報と共に・・・・・・。
※本日は何とか間に合いました!
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