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186 迷宮探索という名の憂さ晴らし 2
しおりを挟む結果としては、精霊王以外は無理でした。
---はい。
あれからノアが精霊王をそこに呼んで、直接疑問を投げかけました。
するとやっぱり精霊王が魔力そのもののような存在だから魔力で満ちあふれた空間に干渉できるのだそう。
いくらノアが凄くても、肉体を持つ生き物は使えないんだって。
ノアとアークは精霊王の義息子の加護でもって理を変えているので腕輪の付与魔法で二人の転移は問題ないが、二人が魔法を行使することは出来ないそう。
・・・まあ、仕方ない。
出来ないことが分かってスッキリした。
そうして暫く歓談して精霊王は帰って行った。
漸く笑いの収まった三人と一頭と一人は、軽い感じで扉を潜っていった。
残されたのはその場に居合わせたギルド職員と偶然扉から出て来た数名の冒険者達だけ・・・。
「---えっと・・・?」
「・・・見間違いで無ければアルカンシエル様だったよな? 来てるって聞いてはいたけど・・・」
「一緒の人、番い様?」
「---てか、さっきの人?精霊?誰?!」
「・・・・・・精霊王だそうです」
ポツリとギルド職員が呟いた。
「「「「---はあ?!」」」」
「お知り合いというか、なんか義息子とか言ってましたし、何ならその前も大賢者様の身内っぽい話もしてましたし?!」
「・・・おおう・・・落ち着け」
「これが落ち着いていられますか!! 直ぐさまギルドに連絡を・・・!!」
「おーい? ・・・・・・駄目だこりゃ。他の職員呼んでこよう・・・」
「賛成!」
荒ぶったギルド職員を宥めつつ、ギルドに連絡を入れて交代要員を要請して、暫く冒険者達とギルド職員はわいわいとしていた。
・・・その後、意気投合した冒険者の一人とギルド職員がいい感じになったとか何とか・・・。
とりあえず、久しぶりに話題の尽きない日々になるのだった。
そして足を踏み入れたアーク達は、三者三様のリアクションだった。
「うわあ・・・・・・」
「・・・なんだコレ」
「凄ーい・・・!」
『へえ』
順に、ルル、ギギ、ノア、ヴァンである。
ノア達の目の前には、巨大な樹が・・・・・・樹・・・と言って良いのか?
どちらかというと、太い蔓が幾重にも巻き付いて絡まって上に伸びている。
(※注 ジャッ○とマメの木とかをイメージして下さい)
そこに沿って翔んでいる竜人や魔導師の魔法で翔ぶ者達。
幹をよじ登る者も一定数いるが・・・。
「うへえ」
「うわあ・・・」
「ちょっと気持ちわる・・・」
『面白いな』
少し登った先で、枝・・・枝?をうごうごうねらせてくねくねさせて冒険者達を振り落としている。
「・・・・・・な? ちょーっと面倒だろう?」
アークが懐かしい光景だなんて苦笑しているが、コレ、翔ぶ手段の無いヤツはどうするんだ?
「気合いで登る」
・・・・・・デスヨネ・・・。
ガンバレ。
目の前に降ってきた何処かのPTの剣士らしい男に手を合わせた。
「と、まあ、こんな感じなんで、時々転移の水晶の辺りで休みながら登ろうぜ。あそこはうねうねしないから」
「---りょーかいです」
「ヴァンはどうする?」
『ふははー! 面白そうだから、我は通常サイズで枝を駆けていくぞ』
「落ちたら拾ってあげるねー」
笑いながらひょいと跳び上がり、軽々と上に登っていってしまったヴァンに追い着くべく、ルルはギギとフライの魔法で浮き、上がっていった。
「俺達も行こうぜ」
「うん、でも良いの? 翔ぶと翼が・・・」
「今更だ。それに何時も言ってるだろ? 迷惑じゃ無いって、な?」
「・・・うん、何時もありがとう」
そういって二人して翼を顕現する。
途端にざわめきが辺りに広がったが、二人は気にすること無く翼をはためかせた。
---その日、居合わせた冒険者達は皆、口を揃えて言った。
今は失われたはずの金竜を見た、と。
銀竜と仲睦まじく寄り添い、番いのようだった、と。
神聖な霊山に瞬く間に広まった噂は、雲の上の竜王国にも届いたのだった・・・。
※お待たせいたしました。
明日ももしかしたら遅れるかもしれませんが、よろしくお願いします。
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