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連載
113 ライズ冒険者ギルド(side解体作業場ヤス)
しおりを挟む本日お見えのSランク冒険者二人は、噂のヤツらだった。
今からひと月以上前にギルマスから『ノアとアークを見守り隊』の話を聞いたときには驚いたが、今となっちゃあ入隊しておいて良かったと思う。
オーガスタの街での初Sランク昇級やら難攻不落と言われる北の迷宮の初踏破など、話題盛りだくさんの情報にギルド職員(約一名除く)が一喜一憂したのは記憶に新しい。
その後、要塞都市に向かったようだと連絡を貰い、今か今かと待っていた。
さすがにここまでの道程は遠い。
それでもひと月で来たのは早いと思うぞ。
一体どうしたらこんなに早く来れるんだ?
着いて早々、門衛の一人が慌てて駆け込んで二人の来訪を告げたときは、平常を装いつつも内心『うおお!!!』と叫んでいた。
皆も同じ気持ちだったはず(約一名除く)!
案の定、宿を取った後にギルドに顔を出した。
ギルマスとの対談の後にサブギルマスに連れられたノアが解体作業場である俺のところにきた。
・・・・・・うん、見間違いじゃねえな。
どう見ても職場見学に来た先生と生徒の図だよな。
後ろで苦笑している保護者付きだ。
面白え。
で、この先のもっと北に行くからどんな素材が良いのかって話をしたが。
「ちょっとソコまで散歩してくるか」くらいの気安さで森に向かって行った。
「---ヤスの親方・・・・・・凄かったっすね」
「・・・実物は噂よりカッコいい。そしてキレイ」
「でもってSランクなんでしょう? 凄えな」
「俺もあんな美人の嫁さん欲しい・・・」
など、好き放題言いながらも手を動かす優秀な部下達。
昼休憩の後も黙々と解体作業をしていると、夕方近くになってアーク達が帰ってきた。
「よお」
「ヤスさん、森狼狩ってきたから見てくれる?」
「おお、良いぜ。どれだ?」
ノアがマジックバッグからぽいっと一頭出す。
かなりデカい個体だ。
「凄いな。デカいし状態もいい。しかも無傷だ。・・・ノアが?」
「うん。素材が大切だから、窒息死させた」
「ーっちっそく・・・おおう、器用だなあ・・・」
チラッとアークを見れば、相変わらずの苦笑。
---ご苦労さん。
「一度、目の前で解体作業を見たいんだけど、いい?」
「構わねえが、面白くも何とも無いだろう?」
「あー、うんとね、どのくらいまでバラせば良いのかなって思って。俺だと細かく分けちゃうからさ・・・」
「・・・・・・うん?」
どういう事だ?
意味が分からん。
「えーと、見せた方が早いか・・・・・・これね、もう一頭の森狼。見てて?」
マジックバッグからもう一頭出すと、台の上に手を添えて・・・。
「『分離』」
ぽそっと呟くと、ぱあっと光ってすぐに、台の上には森狼の素材が載っていた。
それはそれは見事に事細かく分かれていた。
「・・・・・・こりゃあ・・・」
「・・・うん、ここまで分けなくても良いんだけど、勝手にこうなっちゃうんで、本職の人にどこまで捌けば良いのか聞こうと思って」
錬金術で必要だから使ってるんだけど、迷宮のドロップアイテムの完全版みたいでしょ?ってノアが言うが、確かにその通りかもしれん。
・・・それにしても凄い魔法だな。
錬金術って言ってたか、それでも有り得ないだろう。
こんな規格外が嫁さんじゃあ、アークも苦労するな・・・。
「見るだけで良いのか?」
「うん、ザッと分かれば大丈夫」
どうやら頭で分かればある程度制御出来るらしい。
確かにゴブリンなんかは欲しいところなんか一つも無いのに肉や骨になんて分かれても要らないよな。
タグに討伐証明が載るから現物は要らねえし。
「・・・じゃあ、気の済むまで邪魔にならないところで見てていいぞ。終わったら一声かけて帰って良いからな」
「---ありがとう、ヤスさん!」
「悪いな」
「気にすんな。じゃあとりあえずこの森狼をやるか」
そのあとも灰色熊やオークなども出して貰い、ザッと捌いて見せた。
もちろん素材はそのまま返したが、今度は逆に、たくさんあるからと迷宮産の魚や果物を手間賃として分けてくれた。
そんなこんなで一通り見学したノア達は帰って行った。
「いやあ・・・ガチで職場見学だったな」
解体作業場の皆とほのぼのしていた。
なんか長閑で良い一日だったな・・・・・・。
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