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しおりを挟むざわめきが辺り一面に広がっていく。
「・・・・・・アリテシア」
「アリテシアだ」
「本当に、そっくり」
そんな声が聞こえた。
・・・・・・そんなに似てるんだ?
自分じゃ会ったこと無いから、似てるって言われてもピンと来ない。
首を傾げていると、そんな仕草もそっくりだと言われ、反応に困ってしまう。
「とりあえず、ルシアス。お前んち案内してくれ。ノアの祖父がいるんだろう?」
「ああ、じゃあ早速。こっちだ」
気まずい空気を変えるようにアークが促す。
ルシアスもここぞとばかりに乗っかった。
出迎えた皆に断って、ルシアスに着いていく。
少し外れの、長閑な場所にその家はあった。
家に入って奥の寝室へ真っ直ぐに行く。
軽くノックをして、返事を待たずに扉を開く。
部屋の奥、窓際に置かれたベッドの上に横たわる黒兎人。
窶れて毛並みもパサパサとした白髪混じりの、ルシアスに似た年老いた男の人。
「父さん、ただいま」
「・・・・・・お帰り。久しぶりだねルシアス、今度はもう少しここに、いられるのかい?」
「・・・・・・悪かったよ、父さん。もう、ずっとココにいるよ」
「・・・・・・それは、どういう・・・」
怪訝そうに問いただそうとしたが、ルシアスの後ろからそうっと顔を出したノアを見た途端、固まってしまった。
「・・・・・・あの、お祖父さん? 俺・・・・・・」
「───これは、夢か? アリテシアに、そっくりだ、でも違う・・・・・・ルシアス、この子は・・・・・・?」
「・・・・・・うん、アリテシアの忘れ形見、ノアだ。そちらは番いのアルカンシエル殿で竜人だそうだ。ノア、俺とアリテシアの父のウルスラだ」
「───アリテシアの・・・・・・子供?」
アークに促され、側まで近づくとお祖父さん・・・ウルスラの手を握って言った。
「ノア、と言います。アリテシアは俺の母さんです。俺を、命がけで助けてくれた・・・。俺、竜人の特性が強くて耳とか無くて兎っぽくないけど。お祖父さんって呼んで、良いですか?」
そう言うと、ウルスラお祖父さんはふるふると震えて、涙を零しながら頷いた。
何度も頷いて、嬉しそうに笑った。
「ありがとう・・・・・・会えて、嬉しい。これで思い残す事は・・・・・・無い」
「───いやいや、何言ってるの!? これで最後みたいなの止めてよ! もう、これ以上失いたくないよ!」
ノアがそういって、インベントリから錬金術師ポーションの最上級の万能薬を取り出すとルシアスに渡す。
アークが思わず鑑定すると。
【エリクサー(最上級)
品質:S
効果:すべての欠損、病魔を直す。蘇生は出来ない。本来の寿命を少し延ばす事がある。
製作者:ノア】
───これはアカンヤツ───!!
欠損や病魔は分かるよ。
でも何!?
寿命を延ばす事があるって、延ばしちゃマズいだろう!
辛うじて蘇生不可なのが救いだが!!
・・・・・・とアークが心の中で突っ込んでいるうちに、そうとは知らないルシアスがウルスラにエリクサーを飲ませていた。
仄かに光った後のウルスラは心なしか若返ったように見える。
───うわぁ・・・・・・これはやらかしたな。
・・・・・・でもまあ、他に目撃者はいないし、良いか。
と、アークは自己完結した。
「・・・・・・ありがとう、ノア!! 父さん、病気で、もう長くないって言われてたのに・・・・・・俺、俺、これからは側にいて親孝行するよ!」
「・・・・・・ルシアス、ノアに会えたことが親孝行だよ。ありがとう。ノアも、アルカンシエル殿も・・・・・・ありがとう・・・・・・」
抱き合って喜ぶ二人をそっとしておこうと、アークと家の外に出た。
「よかったな」
「うん、間に合って、よかった」
───エリクサーはアレだが、世に出さなければ良い。
遠い目をするアークの苦労がまた一つ増えたのだった。
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