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宗教国家オセの悲劇
不死者転生50 夜空
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オレは高校の頃に親の離婚もあって、大学に行けずバイトしながら一人暮らしを始めた。運だけで就職難のあの時代にバイトから正社員になり、、本当に周りに恵まれて、、外資への転職も成功。学歴がないのに過大な評価と給与を得て何とかなる気がするってだけで生きていた。
広さ優先で借りたマンションの何もない部屋で目を覚まし、出社する為に支度を整える。朝6時過ぎに家を出て、電車に揺られ。行きつけのカフェでアイス珈琲を飲む。
死ぬ時は死ぬ。セッタにお気に入りのジッポで火をつけると、アルコールの香りが1日の始まりを告げる。
なんとかなる、か。
ふと空を見上げる。東京の空は人工物の隙間から覗く僅かな欠片だけで、正直美しいと思えたことはなかったな。
空を見上げる。その雄大さと美しさに心が動いたなら、、そんな余裕があれば、オレはまだ大丈夫なんだと確信が持てるのに。
歳を取ると過去を美化しがちなのかもしれない。朝焼けを受け止め光る水面は、それでも美しかった。まだ汚れのない今日を始めるに相応しく。
月明かりが隠れた夜の水面は、吸い込まれるような深い色をしていた。眺めていると、1日の終わりを受け入れて妙に落ち着いた気分になったのを今でも覚えている。
冷んやりとした空気に、人のいない夜の街。ベンチに腰掛けてタバコに火をつける。遠くの方で車の走行音が行き交う。
横になり目を閉じる。
あぁ、今日が終わる。まだ明日は来なくていい。
毒とわかっている煙が肺を満たし、、、ゆっくりと命の欠片を盗んで消える。
もし、この宇宙の始まりから全てを録画して撮り溜めていたなら、何度巻き直して流したところでその流れは全て決まっている。
ふと視線を落とすと、塗装されたアスファルトに小さな小石。
もし今から巻き戻したなら、この小石がこの瞬間、この場所で、そこに在る事は必然でしかない事がわかるんだろう。
全ては流れの中で起こり、次へと繋ぐ何者かとなる。無駄な事など何一つとしてないし、意味の無いこともない。誰かの幸福も、不幸も、そうやって紡がれ、誰かの不幸にも幸福にもなる。それはやがてまだ意味をなさない何かの求めに応じて形を成し、崩れまた巡るように意味を与える。
意味は求めるものではなく、何かから求められるものだ。
この世界でオレは何者であろうが、何者になろうが、それはオレの意思とは関係ない所でもう既に決まっているのだろう。それがオレ自身にとってどうかという利己的な思惑だけがオレの心を縛り惑わすのだ。
この世界の流れに善悪などない。生も死も等しく同じだけの意味を持つ。慈愛も暴力も、見方次第で意味が異なるのだから。
ある者は、愛する家族を守る為にその手に剣をとり、目の前の誰かの愛する人間に突き立てる。
ある者は、己の欲望の為に人を陥れ、時に命も死後の評価さえも理不尽に蔑めるだろう。力があればそれは可能で、理由があれば美談にもなる。
全ては捉え方次第だ。意味を求める事は無意味だ。
ノエル教の聖書を読んでみたがしっくりこない。元が無宗教の日本人で、人生観がそんな感じのやつだからだろう。価値観の軸が、己を超越する何かに依存する考え方がそもそも合わないのだ。合わなさすぎて、くだらない前世の情景を思い出すくらいに。
「アリア、オレに、宗教への共感は無理だな。」
「ご主人様、、、(何を今更、、、)」
「今、今更何言ってるんだと思ったろ?」
「えっ、、、いえ、滅相もございません!そのようなこと、、、」
慌てているが取り繕えない真人間がベースのアリア。昔を思い出したからか、あの平和ボケした頃の感覚がよぎる。
改めてアリアを見る。見飽きたと言える程、この世界では見ている顔だ。均整のとれた顔立ち、美しい髪に大きな瞳。厚い唇にすぐ折れそうな程に華奢な、、女性らしい骨格。
オレが何か言えば、どう反応するのかも手にとるようにわかる。だが、そう感じるという事はアリアへの興味を失っているという事でもある。脳は最適化したがるから、反応のパターン予測も高精度だが、パターンになればそれはそれ以上にはならないということだ。
眷属は都合の良い、、本当に只々都合が良い道具でしかない。
改めて意識したアリアという女は、外見の美しさだけでなく、オレへ向ける全ての感情に偽りがなく、肯定的且つ無限の献身をも向けてくる。ちょっとした感情が細やかな変化を伴って新たな魅力を持つ表情になる。
オレは、、、アリアを失いたくないと思っているのだろう。改めて観て、それがわかった。アリアの存在が、オレの存在にとってのみで判断した時に、最後まで有益なモノか、、、それによりオレを失わせるモノへと至るか、、、。
厄介なのはオレにまだ人らしい感情が自然と、、そして十分に残っているということだ。興味のないモノはどうなろうがどうでもいい。それは、前世も今も変わらない。
だが、、、そうでない存在はどうだ?前世のオレなら全てにおいて優先しただろう。心の赴くまま。現世のオレはどうだ?
どうなんだ??
「ご主人様、、どうなされたのですか?」
心配して寄り添うように身を寄せるアリア。
「なんでもない。」
「ご無理をなさらないでください、、、。」
そう言うとアリアは黙ってオレを抱きしめるように、、、、ただ寄り添う。
取り繕うように言葉を探したが見つからないまま、その暖かな肌を引き離せずにいる。
死んでも本質は変わらないらしい。
そうだな、オレにとってアリアは既に、、、。
ふと見上げた窓から見える夜空は、驚く程に多くの輝く星に埋め尽くされていた。
「あぁ、、、夜空が綺麗だ。」
オレの存在の意味をアリア、お前が求めてくれるのなら良いと思うよ。
広さ優先で借りたマンションの何もない部屋で目を覚まし、出社する為に支度を整える。朝6時過ぎに家を出て、電車に揺られ。行きつけのカフェでアイス珈琲を飲む。
死ぬ時は死ぬ。セッタにお気に入りのジッポで火をつけると、アルコールの香りが1日の始まりを告げる。
なんとかなる、か。
ふと空を見上げる。東京の空は人工物の隙間から覗く僅かな欠片だけで、正直美しいと思えたことはなかったな。
空を見上げる。その雄大さと美しさに心が動いたなら、、そんな余裕があれば、オレはまだ大丈夫なんだと確信が持てるのに。
歳を取ると過去を美化しがちなのかもしれない。朝焼けを受け止め光る水面は、それでも美しかった。まだ汚れのない今日を始めるに相応しく。
月明かりが隠れた夜の水面は、吸い込まれるような深い色をしていた。眺めていると、1日の終わりを受け入れて妙に落ち着いた気分になったのを今でも覚えている。
冷んやりとした空気に、人のいない夜の街。ベンチに腰掛けてタバコに火をつける。遠くの方で車の走行音が行き交う。
横になり目を閉じる。
あぁ、今日が終わる。まだ明日は来なくていい。
毒とわかっている煙が肺を満たし、、、ゆっくりと命の欠片を盗んで消える。
もし、この宇宙の始まりから全てを録画して撮り溜めていたなら、何度巻き直して流したところでその流れは全て決まっている。
ふと視線を落とすと、塗装されたアスファルトに小さな小石。
もし今から巻き戻したなら、この小石がこの瞬間、この場所で、そこに在る事は必然でしかない事がわかるんだろう。
全ては流れの中で起こり、次へと繋ぐ何者かとなる。無駄な事など何一つとしてないし、意味の無いこともない。誰かの幸福も、不幸も、そうやって紡がれ、誰かの不幸にも幸福にもなる。それはやがてまだ意味をなさない何かの求めに応じて形を成し、崩れまた巡るように意味を与える。
意味は求めるものではなく、何かから求められるものだ。
この世界でオレは何者であろうが、何者になろうが、それはオレの意思とは関係ない所でもう既に決まっているのだろう。それがオレ自身にとってどうかという利己的な思惑だけがオレの心を縛り惑わすのだ。
この世界の流れに善悪などない。生も死も等しく同じだけの意味を持つ。慈愛も暴力も、見方次第で意味が異なるのだから。
ある者は、愛する家族を守る為にその手に剣をとり、目の前の誰かの愛する人間に突き立てる。
ある者は、己の欲望の為に人を陥れ、時に命も死後の評価さえも理不尽に蔑めるだろう。力があればそれは可能で、理由があれば美談にもなる。
全ては捉え方次第だ。意味を求める事は無意味だ。
ノエル教の聖書を読んでみたがしっくりこない。元が無宗教の日本人で、人生観がそんな感じのやつだからだろう。価値観の軸が、己を超越する何かに依存する考え方がそもそも合わないのだ。合わなさすぎて、くだらない前世の情景を思い出すくらいに。
「アリア、オレに、宗教への共感は無理だな。」
「ご主人様、、、(何を今更、、、)」
「今、今更何言ってるんだと思ったろ?」
「えっ、、、いえ、滅相もございません!そのようなこと、、、」
慌てているが取り繕えない真人間がベースのアリア。昔を思い出したからか、あの平和ボケした頃の感覚がよぎる。
改めてアリアを見る。見飽きたと言える程、この世界では見ている顔だ。均整のとれた顔立ち、美しい髪に大きな瞳。厚い唇にすぐ折れそうな程に華奢な、、女性らしい骨格。
オレが何か言えば、どう反応するのかも手にとるようにわかる。だが、そう感じるという事はアリアへの興味を失っているという事でもある。脳は最適化したがるから、反応のパターン予測も高精度だが、パターンになればそれはそれ以上にはならないということだ。
眷属は都合の良い、、本当に只々都合が良い道具でしかない。
改めて意識したアリアという女は、外見の美しさだけでなく、オレへ向ける全ての感情に偽りがなく、肯定的且つ無限の献身をも向けてくる。ちょっとした感情が細やかな変化を伴って新たな魅力を持つ表情になる。
オレは、、、アリアを失いたくないと思っているのだろう。改めて観て、それがわかった。アリアの存在が、オレの存在にとってのみで判断した時に、最後まで有益なモノか、、、それによりオレを失わせるモノへと至るか、、、。
厄介なのはオレにまだ人らしい感情が自然と、、そして十分に残っているということだ。興味のないモノはどうなろうがどうでもいい。それは、前世も今も変わらない。
だが、、、そうでない存在はどうだ?前世のオレなら全てにおいて優先しただろう。心の赴くまま。現世のオレはどうだ?
どうなんだ??
「ご主人様、、どうなされたのですか?」
心配して寄り添うように身を寄せるアリア。
「なんでもない。」
「ご無理をなさらないでください、、、。」
そう言うとアリアは黙ってオレを抱きしめるように、、、、ただ寄り添う。
取り繕うように言葉を探したが見つからないまま、その暖かな肌を引き離せずにいる。
死んでも本質は変わらないらしい。
そうだな、オレにとってアリアは既に、、、。
ふと見上げた窓から見える夜空は、驚く程に多くの輝く星に埋め尽くされていた。
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