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宗教国家オセの悲劇
不死者転生51 イルミナティ
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この世界の人間の能力は元の世界の人間と変わらない。
小説にあるような巨大な魔法を操り天変地異を起こす、とか、見えない程早く動き、岩さえも砕くような怪力、なんてものもない。しかし、歴史は繰り返すという。瘴気などという意味不明なものがある世界で同じよな科学力が育つかわからないか、いつかは世界を支配する可能性があるのは、やはり人間だろう。
不死者たる自分が歴史の裏舞台で暗躍する、それは可能だろう。根を深く深く、そして広く張る必要がある。その点、宗教はいい。いつの時代も熱心な信者は存在し、そして、盲目的と来ている。科学が発達し、地球は世界の中心ではないことが証明されたあの現代にあって尚、神を信じ、進化論を否定し、地動説を支持する人間は存在したからな。そして、金融の未発達を利用し、経済の血液たる金を供給する側、コントロールする側になることも難しいことではない。だが、ある程度の文明的な発達は人間の手に委ねるのが良い。芽が芽生えた後、アリアの能力で支配し則れば事足りるのだから。
この時代に於いて主な宗教であるノエル教。聖王国への政治的影響力を強める為に派遣した宰相を使い教皇はその影響力を強化していく。内乱に伴い吹き荒れた死、人的損失がもたらす経済的損失も計り知れなかった。教区オセも決して豊かとは言えなかったが食糧や人の移動を通して聖王国への支援を強制、瘴気の影響で穢れた土地の浄化など、特に下層に位置する王国民の指示を得ることになる。さらに治安維持を目的に各地に派遣された聖騎士隊により街道を含め全体的な治安の向上に寄与している。
だが、問題がないわけではない。聖王国内では、国王の治世で生じた内乱は不徳によるもの、という考えに基づき新たな支配者の出現を望む声が拡がりつつあった。もちろんこれは自然発生した考えではない。各村々に派遣された宣教師たちがそれとなく噂を流し誘導する事で形成されたものだ。一度起きたこの流れは止めようがなく、聖王国を呑み込む事だろう。
実際に事が起きた後、実際に政治を行うには自分では経験不足だと感じている。また、その仕事量をこなせる余裕も熱量もない。だから、新たな眷属を作ることにした。ノエル教区内や聖王国内で若く各分野に於いて優秀な人物を10名程リストアップしている。
「アリア、この10名で新たな政治体制を築かせる。大多数の教徒が受け入れやすいように、そうだな、、、教皇が天啓を受け政治を行う組織を作った、という流れにでもするか。」
「組織の名称はどのようにいたしますか?」
「そうだな、、、。」
名称か、、考えるのは余り得意ではないんだよな。センスがないというか・・・。前世の記憶で何か良いものがあればなぁ、、。フリーメイソンとか?いや、意味はとか言われたら困るな。イルミナティは?ラテン語で確か光に照らされたもの、、だったか。
「イルミナティ、というのはどうだ?」
「イルミナティでございますか?どのような意味があるのでしょうか?」
「ラテ、、いや、古代の言語で光に照らされたものという意味だ。」
「ご主人様は博識でございますね。承知しました。それではイルミナティの創設、運用のために準備いたします。」
「宜しく頼む。アリアが操れる人数は5人だったか?」
「はい、さようでございます。既に聖王国へ派遣した宰相に使っておりますので、残りは4名分です。」
「イルミナティのメンバーの内、3名は洗脳しておいてくれ。他国へ移動する可能性の少ない7名は使い魔にして問題ないだろう。
」
「承知しました。まずは教区内で実権を移し、最終的には聖王国を併合する流れで理解しておりますが、問題ないでしょうか。」
「問題ない。進めてくれ。オレは試したい事があるから暫く森の洋館に籠ることにする。」
それを聞いてアリアの表情が分かり易く曇る。
「アリア、エリーは聖騎士隊の指揮に専念する必要があるし、メアは楽園の管理がある。教区内での工作はアリアしかいないから頼むぞ。」
「わかっております、、ただ、、お一人で移動されるのは危険ではないでしょうか?」
「蟻と聖騎士を20名程連れていくから問題はないだろう。」
納得できないという表情で返事を渋るアリアは妥協案として、動物系の使い魔による斥候・警護を担う事で合意した。
エリーが奴に倒された際の記憶を見た時から気になっていた。何か風が通り抜けたような感覚の後、首が飛んでいた。そして、傷口には瘴気が残っている。格の違う存在のやった事だから、オレには出来ないかもしれないが、、瘴気を鋭利な刃物として飛ばす事ができるなら個人の戦闘能力を大幅に引き上げる事ができる。それこそ、、魔法のように。
想像可能な事は実現可能な事だ。存在しないことは想像さえできない。
小説にあるような巨大な魔法を操り天変地異を起こす、とか、見えない程早く動き、岩さえも砕くような怪力、なんてものもない。しかし、歴史は繰り返すという。瘴気などという意味不明なものがある世界で同じよな科学力が育つかわからないか、いつかは世界を支配する可能性があるのは、やはり人間だろう。
不死者たる自分が歴史の裏舞台で暗躍する、それは可能だろう。根を深く深く、そして広く張る必要がある。その点、宗教はいい。いつの時代も熱心な信者は存在し、そして、盲目的と来ている。科学が発達し、地球は世界の中心ではないことが証明されたあの現代にあって尚、神を信じ、進化論を否定し、地動説を支持する人間は存在したからな。そして、金融の未発達を利用し、経済の血液たる金を供給する側、コントロールする側になることも難しいことではない。だが、ある程度の文明的な発達は人間の手に委ねるのが良い。芽が芽生えた後、アリアの能力で支配し則れば事足りるのだから。
この時代に於いて主な宗教であるノエル教。聖王国への政治的影響力を強める為に派遣した宰相を使い教皇はその影響力を強化していく。内乱に伴い吹き荒れた死、人的損失がもたらす経済的損失も計り知れなかった。教区オセも決して豊かとは言えなかったが食糧や人の移動を通して聖王国への支援を強制、瘴気の影響で穢れた土地の浄化など、特に下層に位置する王国民の指示を得ることになる。さらに治安維持を目的に各地に派遣された聖騎士隊により街道を含め全体的な治安の向上に寄与している。
だが、問題がないわけではない。聖王国内では、国王の治世で生じた内乱は不徳によるもの、という考えに基づき新たな支配者の出現を望む声が拡がりつつあった。もちろんこれは自然発生した考えではない。各村々に派遣された宣教師たちがそれとなく噂を流し誘導する事で形成されたものだ。一度起きたこの流れは止めようがなく、聖王国を呑み込む事だろう。
実際に事が起きた後、実際に政治を行うには自分では経験不足だと感じている。また、その仕事量をこなせる余裕も熱量もない。だから、新たな眷属を作ることにした。ノエル教区内や聖王国内で若く各分野に於いて優秀な人物を10名程リストアップしている。
「アリア、この10名で新たな政治体制を築かせる。大多数の教徒が受け入れやすいように、そうだな、、、教皇が天啓を受け政治を行う組織を作った、という流れにでもするか。」
「組織の名称はどのようにいたしますか?」
「そうだな、、、。」
名称か、、考えるのは余り得意ではないんだよな。センスがないというか・・・。前世の記憶で何か良いものがあればなぁ、、。フリーメイソンとか?いや、意味はとか言われたら困るな。イルミナティは?ラテン語で確か光に照らされたもの、、だったか。
「イルミナティ、というのはどうだ?」
「イルミナティでございますか?どのような意味があるのでしょうか?」
「ラテ、、いや、古代の言語で光に照らされたものという意味だ。」
「ご主人様は博識でございますね。承知しました。それではイルミナティの創設、運用のために準備いたします。」
「宜しく頼む。アリアが操れる人数は5人だったか?」
「はい、さようでございます。既に聖王国へ派遣した宰相に使っておりますので、残りは4名分です。」
「イルミナティのメンバーの内、3名は洗脳しておいてくれ。他国へ移動する可能性の少ない7名は使い魔にして問題ないだろう。
」
「承知しました。まずは教区内で実権を移し、最終的には聖王国を併合する流れで理解しておりますが、問題ないでしょうか。」
「問題ない。進めてくれ。オレは試したい事があるから暫く森の洋館に籠ることにする。」
それを聞いてアリアの表情が分かり易く曇る。
「アリア、エリーは聖騎士隊の指揮に専念する必要があるし、メアは楽園の管理がある。教区内での工作はアリアしかいないから頼むぞ。」
「わかっております、、ただ、、お一人で移動されるのは危険ではないでしょうか?」
「蟻と聖騎士を20名程連れていくから問題はないだろう。」
納得できないという表情で返事を渋るアリアは妥協案として、動物系の使い魔による斥候・警護を担う事で合意した。
エリーが奴に倒された際の記憶を見た時から気になっていた。何か風が通り抜けたような感覚の後、首が飛んでいた。そして、傷口には瘴気が残っている。格の違う存在のやった事だから、オレには出来ないかもしれないが、、瘴気を鋭利な刃物として飛ばす事ができるなら個人の戦闘能力を大幅に引き上げる事ができる。それこそ、、魔法のように。
想像可能な事は実現可能な事だ。存在しないことは想像さえできない。
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