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第三章 建国祭と学園と
39.夏季休暇です
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結局私は何もできず、少しの不安要素を残したまま、学園は夏季休暇に入った。
あれからもマリーアの様子は気にかけていたけれど、深刻にはなっていなさそうだった。たぶんだけどねぇ。
近くにフィスたちもいるし、大きな事にはならないと思う……思いたい。
やっぱり近くにいられないのは、もどかし~い!
だいたいさ、他人を羨ましく思う気持ちはものすごーく分かるんだけど、何で文句になるかな?もし、フィスの耳にでも入ったら(入ってるだろうなあ)、グリッタ様とかグローリア様の心証が悪くなるだけだと思うのだけれど。……一定数、コロッと騙される男がいるからかな。でも、だ。相手を下げているつもりが、自分を下げて汚してしまっていることに気づいて欲しい。せっかくの自分がもったいないぞ、と、オバチャンは思う。
まあな、マリーアにはいろいろ敵わないと思ってしまうのも、ものすごーく分かる。けどな、やはり頑張るって無駄になることもあるけれど、無駄じゃなくて盛大なご褒美をもらえることもあるわけで。近付くために努力して、その意中の人が残念だったとしても、そこに惹かれてくれた素敵な人が現れてくれたりとか。やっぱりね、自分が撒いた種しか咲かないのですよ。
ーーーはあはあ、頭の中で取り乱しました。
……でも、これもまあ、前世一周したから思えるものかもしれないなー。でも、マリーアなんかはそんなんないしなー。ヒロインだからなんかなー。そう考えるとすごいな、姉。
「どうしたの?リリー。わたしの顔に何かついてる?」
「ううん!今日もマリー姉さまは美人だなって」
「えぇ?ありがと!リリーの方が可愛いけどね!」
今日も安定のシスコンぶりのマリーア。これも、嫌味に取る人は取りそうだなー。
はい、マリーアの休暇初日の私たちは今、朝食のため食堂に向かっています。
「……やっぱり、リリーが変。具合悪いの?大丈夫?」
しまった、マリーアのすごさを改めて感心して、ガン見してしまった。
「やっ!本当に大丈夫!」
「そう?だったらいいけど。せっかくの夏季休暇、リリーといっぱい遊んだりしたいもんね!」
弾ける笑顔、ありがとうございます!そうだ、せっかくのお休みだ!嫌なことは忘れるくらい、一緒に楽しく過ごせばいいのだ。今の私にできるのは、それくらいだもの。それで、もし、マリーアが愚痴りたくなって話して来たら、うんうん、って聞こう。
「うちは毎年領地へ行くのよ。山沿いだから涼しいんだ。食べ物も美味しいよ!」
「わ、嬉しい!楽しみね!」
綺麗な湖があって、ボートに乗れるとか、牧場があって新鮮なミルクが飲めるとか、いろいろ話ししているうちに、私もかなり楽しみになってきた。
前のオバチャン記憶だと、もう動くのがだるいとかってなってたけど、やっぱり子どもの記憶と体になると自然と体を動かすのが楽しくなってるのもある。うん、はしゃぐぞ!
ご機嫌で食堂に入ると、既にお父様とお母様が座っていた。
「おはようございます。お父様、お義母さま、お待たせ致しました」
「おはようございます。お待たせ致しました」
「おはよう。大丈夫だ。早く二人の顔が見たくて、わたしたちが早くに来ていたからね」
「おはよう。マリー、リリー」
私たちへの挨拶もそこそこに、お父様がやけにそわそわしている。お母様も、いつも以上に幸せオーラが駄々漏れしている気がする。なんだろう?悪いことではなさそうだけど。
マリーアもそれを察したようで、私たちは二人で目配せしながら向かい合わせの席に座る。
「マリー、リリー。朝食の前に話があるんだ」
私たちが着席したのを確認すると、お父様が話を始めた。やっぱり何かあるのね。
「コホン、嬉しい報告なんだが……」
そう言いながら、幸せそうに見つめ合う父と母。
あー!これはもしかして、私の予言(?)通りかな?!
「お母様のお腹に、新しい命が宿ったんだ。来年には、弟か妹が生まれるよ」
きゃー!!やっぱり!あの様子だとそうなるよね~!……いや、だから10歳10歳。でも。
「赤ちゃん?赤ちゃんなんですね?!わあ、嬉しい、嬉しいです!」
「わたくし、お姉ちゃんになるんですね?楽しみです!」
めでたくて、嬉しいことに変わりはない!
赤ちゃんほっぺ、ツンツンした~い!もふもふした~い!楽しみが増えた!
私とマリーアは、立ち上がってテーブルの上で手を握り合い、きゃっきゃきゃっきゃとぶんぶん振る。
お父様とお母様は、そんな私たちを目を細めて見ていた。
「弟かなあ?妹かなあ?」
「どちらでも、元気な子だといいわよね。きっと男の子でも女の子でも、リリーに似て可愛いだろうし!」
「二人とも気が早いぞ」
「そう仰る旦那様も、すでにベビーグッズをいくつも注文されておりますがね」
「セ、セバス!」
朝食を並べてくれながら、セバスチャンがこっそり(?)私たちに教えてくれて。
照れながらも嬉しさが溢れているお父様と、心から幸せそうなお母様。
少しの心配事は頭の隅に追いやられて、幸先明るい夏休みの初日になりました。
あれからもマリーアの様子は気にかけていたけれど、深刻にはなっていなさそうだった。たぶんだけどねぇ。
近くにフィスたちもいるし、大きな事にはならないと思う……思いたい。
やっぱり近くにいられないのは、もどかし~い!
だいたいさ、他人を羨ましく思う気持ちはものすごーく分かるんだけど、何で文句になるかな?もし、フィスの耳にでも入ったら(入ってるだろうなあ)、グリッタ様とかグローリア様の心証が悪くなるだけだと思うのだけれど。……一定数、コロッと騙される男がいるからかな。でも、だ。相手を下げているつもりが、自分を下げて汚してしまっていることに気づいて欲しい。せっかくの自分がもったいないぞ、と、オバチャンは思う。
まあな、マリーアにはいろいろ敵わないと思ってしまうのも、ものすごーく分かる。けどな、やはり頑張るって無駄になることもあるけれど、無駄じゃなくて盛大なご褒美をもらえることもあるわけで。近付くために努力して、その意中の人が残念だったとしても、そこに惹かれてくれた素敵な人が現れてくれたりとか。やっぱりね、自分が撒いた種しか咲かないのですよ。
ーーーはあはあ、頭の中で取り乱しました。
……でも、これもまあ、前世一周したから思えるものかもしれないなー。でも、マリーアなんかはそんなんないしなー。ヒロインだからなんかなー。そう考えるとすごいな、姉。
「どうしたの?リリー。わたしの顔に何かついてる?」
「ううん!今日もマリー姉さまは美人だなって」
「えぇ?ありがと!リリーの方が可愛いけどね!」
今日も安定のシスコンぶりのマリーア。これも、嫌味に取る人は取りそうだなー。
はい、マリーアの休暇初日の私たちは今、朝食のため食堂に向かっています。
「……やっぱり、リリーが変。具合悪いの?大丈夫?」
しまった、マリーアのすごさを改めて感心して、ガン見してしまった。
「やっ!本当に大丈夫!」
「そう?だったらいいけど。せっかくの夏季休暇、リリーといっぱい遊んだりしたいもんね!」
弾ける笑顔、ありがとうございます!そうだ、せっかくのお休みだ!嫌なことは忘れるくらい、一緒に楽しく過ごせばいいのだ。今の私にできるのは、それくらいだもの。それで、もし、マリーアが愚痴りたくなって話して来たら、うんうん、って聞こう。
「うちは毎年領地へ行くのよ。山沿いだから涼しいんだ。食べ物も美味しいよ!」
「わ、嬉しい!楽しみね!」
綺麗な湖があって、ボートに乗れるとか、牧場があって新鮮なミルクが飲めるとか、いろいろ話ししているうちに、私もかなり楽しみになってきた。
前のオバチャン記憶だと、もう動くのがだるいとかってなってたけど、やっぱり子どもの記憶と体になると自然と体を動かすのが楽しくなってるのもある。うん、はしゃぐぞ!
ご機嫌で食堂に入ると、既にお父様とお母様が座っていた。
「おはようございます。お父様、お義母さま、お待たせ致しました」
「おはようございます。お待たせ致しました」
「おはよう。大丈夫だ。早く二人の顔が見たくて、わたしたちが早くに来ていたからね」
「おはよう。マリー、リリー」
私たちへの挨拶もそこそこに、お父様がやけにそわそわしている。お母様も、いつも以上に幸せオーラが駄々漏れしている気がする。なんだろう?悪いことではなさそうだけど。
マリーアもそれを察したようで、私たちは二人で目配せしながら向かい合わせの席に座る。
「マリー、リリー。朝食の前に話があるんだ」
私たちが着席したのを確認すると、お父様が話を始めた。やっぱり何かあるのね。
「コホン、嬉しい報告なんだが……」
そう言いながら、幸せそうに見つめ合う父と母。
あー!これはもしかして、私の予言(?)通りかな?!
「お母様のお腹に、新しい命が宿ったんだ。来年には、弟か妹が生まれるよ」
きゃー!!やっぱり!あの様子だとそうなるよね~!……いや、だから10歳10歳。でも。
「赤ちゃん?赤ちゃんなんですね?!わあ、嬉しい、嬉しいです!」
「わたくし、お姉ちゃんになるんですね?楽しみです!」
めでたくて、嬉しいことに変わりはない!
赤ちゃんほっぺ、ツンツンした~い!もふもふした~い!楽しみが増えた!
私とマリーアは、立ち上がってテーブルの上で手を握り合い、きゃっきゃきゃっきゃとぶんぶん振る。
お父様とお母様は、そんな私たちを目を細めて見ていた。
「弟かなあ?妹かなあ?」
「どちらでも、元気な子だといいわよね。きっと男の子でも女の子でも、リリーに似て可愛いだろうし!」
「二人とも気が早いぞ」
「そう仰る旦那様も、すでにベビーグッズをいくつも注文されておりますがね」
「セ、セバス!」
朝食を並べてくれながら、セバスチャンがこっそり(?)私たちに教えてくれて。
照れながらも嬉しさが溢れているお父様と、心から幸せそうなお母様。
少しの心配事は頭の隅に追いやられて、幸先明るい夏休みの初日になりました。
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