従姉が私の元婚約者と結婚するそうですが、その日に私も結婚します。既に招待状の返事も届いているのですが、どうなっているのでしょう?

珠宮さくら

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ハネムーンから戻って来たのに疲れた顔をしている娘をアルフリーダの両親は不思議そうに見ていた。

そして、ぽつりぽつりと話すことに眉を顰めずにはいられなかった。


「は? エーヴェルトの家にお前が嫁ぐのではなくて、彼が我が家に婿入りするだと?」


アルフリーダは怒られるのを覚悟して、両親に話した。


「はい。彼が、婿入りするつもりだったからと名字を私の方になるように届けたそうなんです」


自分で話をしながら、アルフリーダは泣きそうになっていた。両親は、嫁ぐものと思っていたのにハネムーンを終えて戻って来たのに変だと思っていたようだが、アルフリーダとて嫁ぎ先に行くものと思っていた。

でも、この状況で行けるわけがない。行ったところで、跡継ぎはエーヴェルトではないのだ。

そんな彼は、向こうから色々と持って来なきゃいけないからとアルフリーダの家に婿入りする方向に進むと思っているかのように動いていて、アルフリーダの言葉など取り合うことはなかった。

アルフリーダの母親は、いつになくしおらしい姿を確認しようと思ったようだ。


「その話をいつされたの?」
「ハネムーンから帰って来る時にされました」
「それまで、そんな話をされたことはあったか?」
「いえ、跡継ぎではないとは聞いたことがありません」
「あなた」
「私も、聞いたことがない」


両親は、深いため息をついた。


「シーグリッドが、お前の心配をしていたんだ」
「え?」
「色々あったから、謝罪と結婚のお祝いを持ってあちらに行ったんだ」
「あなたのことを気にかけてばかりいるから、何かと思っていたのよ」
「っ、」


結婚したと聞いて、アルフリーダのことをやたらとシーグリッドが心配するのにアルフリーダの両親は首を傾げていた。

シーグリッドの両親と彼女の兄は、そんなことしてやる必要はないかのようにしていたが、シーグリッドは違っていた。


「お前のところに手紙を出したと言っていたが」
「っ、結婚式の朝には届いていました。でも、私、同じ日に結婚することへの嫌味だと思ってしまって、さっき読んだんです」


アルフリーダは、お祝いをしたいけど、エーヴェルトとの結婚が本当に大丈夫なのかを心配してくれているもので、両親もそれを読んで、深いため息をついた。


「はぁ、これを結婚式の前に読んでいたら、取りやめていたか?」
「それは……」
「どちらにしろ。やめてはいなかったのではない?」
「……そう、ですね」


両親に言われて、これを真に受けて取りやめてはいなかっただろうと思えて、アルフリーダは更に身を小さくさせた。


「それにしても、好き勝手なことをしてくれたものだな」
「本当ですわね。色々と黙ったまま、結婚しておいて、慰謝料を持ち出して、妻を脅迫するとは思いませんでしたわ」
「??」


両親の言葉にアルフリーダは、頭の中ではてなマークが飛び交うことになった。


「アルフリーダ。シーグリッドたちに直に謝罪して、エーヴェルトの家できちんと話し合いをするが、できるな?」
「……」
「アルフリーダ」
「……会ってくれるでしょうか」
「あれだけ心配していたんだ。お前が、きちんと詫びても、これまでのことを許すか許さないかはシーグリッドが決めることだ。謝罪したからと言って、これまでのことが全部許されるわけではない。だが、謝罪する気はあるのだろう?」
「それは、もちろん。……結婚したお祝いも言いたいですし、えっとプレゼントは何をあげたら喜んでくれるでしょう?」

「シーグリッドは、何を貰っても喜ぶと思うぞ」
「そんなわけないです! 結婚のお祝いなんですよ!? 一生に一度なのに」
「「……」」


アルフリーダの口から従妹を祝福したいと言うのに両親も、前までの娘とは変わったと思って頷きあった。


「なら、エーヴェルトの実家とシーグリッドと兄上の家にも連絡しておく。言い訳せずにきちんと詫びて、エーヴェルトの方とは何があったかを噓をつかずに話せ」
「はい」


それまでのアルフリーダと打って変わって、シーグリッドの顔なんて見たくもないなんて言うことはなかった。


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