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リムナはフェイオンを見送ってから、部屋に戻っていた。


姉の反応が思っていたのと違っていて、ずっと気になっていた。



「なんか、思ってた反応と違ったな……。あっ、そうよ。破棄した男性を妹がゲットしたら、普通は腹が立つじゃない」



その配慮に欠けていたと気づけなかった。両親が大喜びしていたのが、嬉しくて失念していた。リムナは、ナニラを傷つけたかったわけではない。ただ、あの両親に認めほしかっただけだ。



「……そういえば、姉さんとちゃんと話したのいつ振りだろう……?」



ナニラは、周りに期待されていて、いつも家庭教師が付けられて朝から晩まで勉強していた。



「一緒に遊ぼうにも、姉さん、運動神経なかったもんな。それどころか、勉強の邪魔になるからって、部屋も離されたのよね」



今回は、両親がフェイオンと婚約することになったと知って姉と話していいことになり、邪魔されることなく話せた。


それにそろそろ学園を卒業するから、前のように勉強ばかりしてることはなくなった。



「婚約破棄されてから、どうしてたんだろ? 学園も休んでるみたいだし……、ずっと、部屋にいたのかな?」



リムナの部屋に比べて、ナニラの部屋は年頃の女の子部屋には見えなかった。



(殺風景だったな)



可愛い小物があるわけでもなく、ぬいぐるみもなかった。ただ、難しい本ばかりがたくさんあった。


ふと、ナニラのことが気になり始めた。リムナは、姉のことが嫌いではない。むしろ、大好きだ。周りが、邪魔者扱いして、遠ざけてばかりだけど、ナニラがリムナを邪険に扱ったことは一度としてなかった。



(凄く喜んでくれてたけど、内心では複雑だったはずよね。なんで、そこに気が回らなかったんだろ)



リムナは部屋の中で、反省しまくっていた。


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