姉が婚約破棄した彼と結婚して、新婚旅行に行くのだと思っていたら、未開の地に辿り着きましたが、本望です

３

【ナニラ視点】



双子だからと何かと比べたがる周りに嫌気がさしていた。妹のいいところを誰もちゃんと見ていないのだ。両親でさえも、そうだ。



（一緒にいるだけでも、邪魔してると思われて、最後にまともに会話したのが何時だったかも思い出せない。同じ家に住んでいるのに。……これって、変よね？）



だが、今日は違っていた。両親が会っていいと言い出したのだ。それだけでなくて、婚約を破棄することになったフェイオンと婚約したと聞いて、物凄く驚いた。



「結婚は諦めていたんだが、彼女の熱意に負けてしまったんだ。素晴らしい妹さんだね」

「熱意だなんて……こんな素敵な殿方を好きにならない女性はいないわ」



ナニラと婚約破棄になったのは、フェイオンが未開の地で研究がしたいと卒業後に行くことにしたからだった。彼の意思と意向は、わかったが、ナニラは未開の地に彼について行っても、足手まといになると思い、破棄することにしたのだ。


両親は、それでも、破棄させまいとして色々言ってきていた。フェイオンのことを気に入っていたからだ。



（きっと、私たち双子の姉妹より、彼のような息子がほしかったのね）



色々と現地のことを調べたが、ナニラの運動神経はそこまでよくない。とんでもない場所だから街までの行き来もそう簡単には出来なくなる。


だから、ナニラは破棄をする選択をした。その途端、両親は期待していた娘に裏切られたように感じたのか、しばらくは部屋にいることになった。ナニラのことをこの家の恥だと思っているのだろう。



（修道院にいれるか話していたから、この家から離れられるなら、その方がいいわ。リムナのことが気がかりだったけど、心配は無用だったわね）



ナニラに比べて、リムナは運動神経もよく、子供の頃は、やんちゃで木登りも得意だった。裸足で駆け回り、洋服を泥まみれにして、両親によく叱られていた。



「えぇ、本当にそうね。リムナの言うとおりだわ。2人は、とてもお似合いね」



ナニラは、心から2人を祝福した。



（あぁ、今日はなんて素敵な日かしら。妹と話しが出来ただけでなく、リムナとフェイオンが婚約するなんて……）



まさか、妹が姉に勝って、両親や周りに認めもらいたいがために肝心の理由を知らないとは思ってもみなかった。