8 / 18
第2章 二人のための夜会
第8話 従者社会的抹殺計画
しおりを挟む
(よかった。物理的抹殺じゃない……)
私がホッとしていると、「おーっほっほ!」と高笑いするヴィオラ様。
なんだろう。ヴィオラ様の悪女になりきれていない感に安心を覚えそうになった私は、いやいや油断しちゃダメだと首をぶんぶんと横に振った。お貴族様は欲しい物のためなら手段を選ばない。金と権力と陰謀が渦巻いているのが社交界なのだから。
「ヴィオラ様はこの部屋に女に飢えた男友達を招き入れ、いやらしいパーティをさせるおつもりですね!?」
だってドレス破かれたし……と、私はヴィオラ様を鋭い目つきで見上げた。
すると、彼女は顔を真っ赤にしてあわあわと動揺したではないか。
「ななななんですの⁉ その破廉恥な発想は! わたくしにそんな男友達どころが、どんな男友達もおりませんわ! お友達は女の子だけです!」
(そこまで聞いてない!)
「いやらしいパーティなんて……。あぁぁ……っ! 谷間くっきりのボディアーマーやミニスカートを身に着けるような方ですものね! あなたみたいな思考の方、やっぱり陛下のお傍にいてはいけませんわ!」
「それは陛下の趣味!」
そこだけは弁明しなければと、すかさず叫ぶ。
だが、もちろんヴィオラ様は聞き入れてはくれない。
「排除を……。社会的に抹殺を……!」
「ヴィオラ様!?」
ヴィオラ様はずしっと私に馬乗りになると、なんとドレスを脱ぎ始めたのだ。薄暗い部屋の灯りにさらけ出され、女の私でもドキドキしてしまうほどの白く美しい玉の肌が現れる。思わずガン見してしまうが、これは私のせいじゃない。
「なぜ脱がれて……」
「あなたがわたくしを襲ったことにするのですわ! 女体化したとはいえ、中身は男! わたくしの色香に耐え切れず、無理矢理押し倒してしまったという噂が社交界に広まれば、陛下はあなたを解雇せざるを得ませんから!」
自信満々のヴィオラ様は、上半身下着姿で色っぽく微笑む。
なるほど、なかなかに良策かもしれない。私の性別、表向きは男だもんなと納得した。
だが、しかし。
「この状況はどう見ても、ヴィオラ様が私を襲っているようにしか……」
「え……。はわわっ!」
そう言われて、ヴィオラ様はようやく現状を客観視できたらしい。数秒遅れて素っ頓狂な声を上げると、急に挙動不審になり、目が右へ左へと泳ぎまくっている。
「ち、ちが……っ! 皆、高貴なわたしくしの発言を信じますから!! たとえあなたのドレスがビリビリで、わたくしが上に乗っている状態だとしても!!」
「自分でもまずいと思ってらっしゃるんじゃないですか」
せめて八つ裂きになったのが私のドレスじゃなかったら……と、同情したくなってしまうほど、ヴィオラ様はうろたえ、最早半泣きだ。
体を張って、ずさんな「従者社会的抹殺計画」を実行するほどだ。ヴィオラ様は、きっと公爵家のために必死だったのだろう。
その気持ちは想像するとなんだか気の毒になってしまい、私はますます彼女のみぞおちを殴って気絶させる気にはなれなかった。
「ヴィオラ様。私、この事は他言致しませんので、もうこれで解散しませんか? そろそろ戻らないと、陛下が心配されますので」
「いいえ! あなた、今からでもわたくしを押し倒しなさい! 億越えのドレスも破ってかまいませんから!」
「いや、しませんよ!」
「男なのに意気地無しですわね!」
事を穏便に収めようと私が笑顔で提案するも、ヴィオラ様は諦めない。
そして、その努力の方向性間違ってますよ、と私が言いたくなった時だった。
「アルヴァロ! ここにいるんだろう!?」
私がホッとしていると、「おーっほっほ!」と高笑いするヴィオラ様。
なんだろう。ヴィオラ様の悪女になりきれていない感に安心を覚えそうになった私は、いやいや油断しちゃダメだと首をぶんぶんと横に振った。お貴族様は欲しい物のためなら手段を選ばない。金と権力と陰謀が渦巻いているのが社交界なのだから。
「ヴィオラ様はこの部屋に女に飢えた男友達を招き入れ、いやらしいパーティをさせるおつもりですね!?」
だってドレス破かれたし……と、私はヴィオラ様を鋭い目つきで見上げた。
すると、彼女は顔を真っ赤にしてあわあわと動揺したではないか。
「ななななんですの⁉ その破廉恥な発想は! わたくしにそんな男友達どころが、どんな男友達もおりませんわ! お友達は女の子だけです!」
(そこまで聞いてない!)
「いやらしいパーティなんて……。あぁぁ……っ! 谷間くっきりのボディアーマーやミニスカートを身に着けるような方ですものね! あなたみたいな思考の方、やっぱり陛下のお傍にいてはいけませんわ!」
「それは陛下の趣味!」
そこだけは弁明しなければと、すかさず叫ぶ。
だが、もちろんヴィオラ様は聞き入れてはくれない。
「排除を……。社会的に抹殺を……!」
「ヴィオラ様!?」
ヴィオラ様はずしっと私に馬乗りになると、なんとドレスを脱ぎ始めたのだ。薄暗い部屋の灯りにさらけ出され、女の私でもドキドキしてしまうほどの白く美しい玉の肌が現れる。思わずガン見してしまうが、これは私のせいじゃない。
「なぜ脱がれて……」
「あなたがわたくしを襲ったことにするのですわ! 女体化したとはいえ、中身は男! わたくしの色香に耐え切れず、無理矢理押し倒してしまったという噂が社交界に広まれば、陛下はあなたを解雇せざるを得ませんから!」
自信満々のヴィオラ様は、上半身下着姿で色っぽく微笑む。
なるほど、なかなかに良策かもしれない。私の性別、表向きは男だもんなと納得した。
だが、しかし。
「この状況はどう見ても、ヴィオラ様が私を襲っているようにしか……」
「え……。はわわっ!」
そう言われて、ヴィオラ様はようやく現状を客観視できたらしい。数秒遅れて素っ頓狂な声を上げると、急に挙動不審になり、目が右へ左へと泳ぎまくっている。
「ち、ちが……っ! 皆、高貴なわたしくしの発言を信じますから!! たとえあなたのドレスがビリビリで、わたくしが上に乗っている状態だとしても!!」
「自分でもまずいと思ってらっしゃるんじゃないですか」
せめて八つ裂きになったのが私のドレスじゃなかったら……と、同情したくなってしまうほど、ヴィオラ様はうろたえ、最早半泣きだ。
体を張って、ずさんな「従者社会的抹殺計画」を実行するほどだ。ヴィオラ様は、きっと公爵家のために必死だったのだろう。
その気持ちは想像するとなんだか気の毒になってしまい、私はますます彼女のみぞおちを殴って気絶させる気にはなれなかった。
「ヴィオラ様。私、この事は他言致しませんので、もうこれで解散しませんか? そろそろ戻らないと、陛下が心配されますので」
「いいえ! あなた、今からでもわたくしを押し倒しなさい! 億越えのドレスも破ってかまいませんから!」
「いや、しませんよ!」
「男なのに意気地無しですわね!」
事を穏便に収めようと私が笑顔で提案するも、ヴィオラ様は諦めない。
そして、その努力の方向性間違ってますよ、と私が言いたくなった時だった。
「アルヴァロ! ここにいるんだろう!?」
56
あなたにおすすめの小説
【完結】氷の王太子に嫁いだら、毎晩甘やかされすぎて困っています
22時完結
恋愛
王国一の冷血漢と噂される王太子レオナード殿下。
誰に対しても冷たく、感情を見せることがないことから、「氷の王太子」と恐れられている。
そんな彼との政略結婚が決まったのは、公爵家の地味な令嬢リリア。
(殿下は私に興味なんてないはず……)
結婚前はそう思っていたのに――
「リリア、寒くないか?」
「……え?」
「もっとこっちに寄れ。俺の腕の中なら、温かいだろう?」
冷酷なはずの殿下が、新婚初夜から優しすぎる!?
それどころか、毎晩のように甘やかされ、気づけば離してもらえなくなっていた。
「お前の笑顔は俺だけのものだ。他の男に見せるな」
「こんなに可愛いお前を、冷たく扱うわけがないだろう?」
(ちょ、待ってください! 殿下、本当に氷のように冷たい人なんですよね!?)
結婚してみたら、噂とは真逆で、私にだけ甘すぎる旦那様だったようです――!?
【完結済】呼ばれたみたいなので、異世界でも生きてみます。
まりぃべる
恋愛
異世界に来てしまった女性。自分の身に起きた事が良く分からないと驚きながらも王宮内の問題を解決しながら前向きに生きていく話。
その内に未知なる力が…?
完結しました。
初めての作品です。拙い文章ですが、読んでいただけると幸いです。
これでも一生懸命書いてますので、誹謗中傷はお止めいただけると幸いです。
守護契約のはずが、精霊騎士の距離が近すぎて心拍がもちません―― 距離ゼロで溺愛でした。
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済:全8話⭐︎
ーー条項:心拍が乱れたら抱擁せよ(やめて)
村育ちの鈍感かわいい癒し系ヒロイン・リリィは、王都を目指して旅に出たはずが――森で迷子になった瞬間、精霊騎士エヴァンに“守護契約”されてしまう!
問題は、この騎士さまの守護距離が近すぎること。
半歩どころか背後ぴったり、手を繋ぐのも「当然」、心拍が乱れたら“抱擁条項”発動!?
周囲は「恋人だろ!」と総ツッコミなのに、本人たちは「相棒です!」で通常運転。
守護(と言い張る)密着が止まらない、じわ甘コメディ異世界ファンタジー!
同期とルームシェアしているつもりなのは、私だけだったようです。
橘ハルシ
恋愛
お世話されヒロインです。
魔術師で研究所勤めのラシェルは、没頭すると何もかも忘れてしまいがち。なので魔術学校で同級生だった同期のルキウスが一緒に暮らしつつ、衣食住の面倒を見てくれている。
実はルキウスは卒業時にプロポーズをしたのだが、遠回し過ぎて彼女に気づかれず失敗に終わった。現在、彼女は彼とルームシェアをしていると思っている。
彼女に他の男が寄って来ないようこっそり魔術をかけたり、自分の髪や目の色の髪飾りをつけたりして周りに主張しつつも、再度想いを告げることには消極的なルキウスだったが。
全24話+番外編です。
大事にお世話されるヒロインが書きたくなったので…。
設定に矛盾があるかもしれませんが、そこはあまり突っ込まないでいただけるとありがたいです。
他サイトにも投稿しております。
【本編完結】獣人国での異種族婚
しろねこ。
恋愛
獣人とひと言で言っても多種多様だ。
力の強いもの弱いもの、体の大きいもの小さいもの、違いがあり過ぎて皆が仲良く暮らすというのは難しい。
その中でも変わらず皆が持っているのは感情だ。喜怒哀楽、憎悪や猜疑心、無関心やら悪戯心……そして愛情。
人を好きになるのは幸せで、苦しい。
色々な愛情表現をお楽しみください。
ハピエン厨なので、こちらもそのような話となる予定。
ご都合主義、自己満、それと両片思いが大好きです(n*´ω`*n)
同名キャラにて色々なお話を書いておりますが、作品により立場、性格、関係性に多少の違いがあります。
他サイトさんでも投稿中!
お堅い公爵様に求婚されたら、溺愛生活が始まりました
群青みどり
恋愛
国に死ぬまで搾取される聖女になるのが嫌で実力を隠していたアイリスは、周囲から無能だと虐げられてきた。
どれだけ酷い目に遭おうが強い精神力で乗り越えてきたアイリスの安らぎの時間は、若き公爵のセピアが神殿に訪れた時だった。
そんなある日、セピアが敵と対峙した時にたまたま近くにいたアイリスは巻き込まれて怪我を負い、気絶してしまう。目が覚めると、顔に傷痕が残ってしまったということで、セピアと婚約を結ばれていた!
「どうか怪我を負わせた責任をとって君と結婚させてほしい」
こんな怪我、聖女の力ですぐ治せるけれど……本物の聖女だとバレたくない!
このまま正体バレして国に搾取される人生を送るか、他の方法を探して婚約破棄をするか。
婚約破棄に向けて悩むアイリスだったが、罪悪感から求婚してきたはずのセピアの溺愛っぷりがすごくて⁉︎
「ずっと、どうやってこの神殿から君を攫おうかと考えていた」
麗しの公爵様は、今日も聖女にしか見せない笑顔を浮かべる──
※タイトル変更しました
告白さえできずに失恋したので、酒場でやけ酒しています。目が覚めたら、なぜか夜会の前夜に戻っていました。
石河 翠
恋愛
ほんのり想いを寄せていたイケメン文官に、告白する間もなく失恋した主人公。その夜、彼女は親友の魔導士にくだを巻きながら、酒場でやけ酒をしていた。見事に酔いつぶれる彼女。
いつもならば二日酔いとともに目が覚めるはずが、不思議なほど爽やかな気持ちで起き上がる。なんと彼女は、失恋する前の日の晩に戻ってきていたのだ。
前回の失敗をすべて回避すれば、好きなひとと付き合うこともできるはず。そう考えて動き始める彼女だったが……。
ちょっとがさつだけれどまっすぐで優しいヒロインと、そんな彼女のことを一途に思っていた魔導士の恋物語。ハッピーエンドです。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタにも投稿しております。
家族から冷遇されていた過去を持つ家政ギルドの令嬢は、旦那様に人のぬくもりを教えたい~自分に自信のない旦那様は、とても素敵な男性でした~
チカフジ ユキ
恋愛
叔父から使用人のように扱われ、冷遇されていた子爵令嬢シルヴィアは、十五歳の頃家政ギルドのギルド長オリヴィアに助けられる。
そして家政ギルドで様々な事を教えてもらい、二年半で大きく成長した。
ある日、オリヴィアから破格の料金が提示してある依頼書を渡される。
なにやら裏がありそうな値段設定だったが、半年後の成人を迎えるまでにできるだけお金をためたかったシルヴィアは、その依頼を受けることに。
やってきた屋敷は気持ちが憂鬱になるような雰囲気の、古い建物。
シルヴィアが扉をノックすると、出てきたのは長い前髪で目が隠れた、横にも縦にも大きい貴族男性。
彼は肩や背を丸め全身で自分に自信が無いと語っている、引きこもり男性だった。
その姿をみて、自信がなくいつ叱られるかビクビクしていた過去を思い出したシルヴィアは、自分自身と重ねてしまった。
家政ギルドのギルド員として、余計なことは詮索しない、そう思っても気になってしまう。
そんなある日、ある人物から叱責され、酷く傷ついていた雇い主の旦那様に、シルヴィアは言った。
わたしはあなたの側にいます、と。
このお話はお互いの強さや弱さを知りながら、ちょっとずつ立ち直っていく旦那様と、シルヴィアの恋の話。
*** ***
※この話には第五章に少しだけ「ざまぁ」展開が入りますが、味付け程度です。
※設定などいろいろとご都合主義です。
※小説家になろう様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる