うちのペットはもしかしたら地球を侵略するかもしれない。

ハコニワ

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一章 侵略者と地球人 

第20話 塵

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 ガーディアン三人組と再会した。お互い顔を見ると、指を差し合った。
「ガーディアンなんかがなんでここにいるの!?」
「それはこっちの台詞! 宇宙人がなんでいるの!?」
 びっくりしたのはお互い様。お互いソフトクリームを買って、同じテーブルに座った。アポロたちがここにいるのは、奴らを駆除するため。ガーディアンたちが調べった結果、どうやら、ここに大型の生命体反応があったとのこと。
 ダスクはスターを睨んだ。スターは知らんぷり。
「大型がいるのに、ガーディアンは三人だけ?」
 ダスクが訊くと、アポロは首を頷いた。
「わたしたちも強いからね。信用されてるの」
 自信満々な表情しているのは、アポロだけじゃない。ルナもレイも。スターは今頃〈探索〉をした。触覚を波立たせ周りの空気や音を探った。
「確かに……いる。少し気配が弱かったから気づかなかった」
「弱かった? 大型なのに?」 
「多分、地中にいるんだと思う」
 スターの触覚がダランと垂れ下がった。ガーディアンは知っている三人しかいないと分かると、宇宙人は安堵した。
 それぞれ一つのソフトクリームを頼んだが、コスモは二杯目を舐めていた。かれこれ三十分雑談していて、スピードが早い。
「コスモ、お腹壊さないでよ」
「大丈夫」
 チョコ味と練乳味をペロペロ舐めて、舌の色が茶色と白くなっている。大型の生命体がいると知って、こちらもただ遊んでいるわけにはいかなくなった。
 太陽が真上に差し掛かり、気温が上昇。人も多くなり、地上は熱気にあふれかえっている。人が蟻のよう。子供や女性が多い。そんな中で、突然、巨大生物が暴れたらどうなるか容易に想像がつく。
 騒ぎになる前に駆除しようとガーディアン三人と手を組んだ。
「多分、地上に顔を出すのは夕刻でしょうね。せめて、その前にやりたいけど」
 ダスクが頭をひねる。ガーディアンたちも騒ぎになる前に倒す予定で、一緒に考える。

 が、空気を読まないのはお互い組織にいる。
「ねぇ、一樹たちのとこ戻ろう?」
 考え事しているダスクたちをよそに、横から割って入ってきた。そして、レイはこの空気で爆睡。巨大な鼻ちょうちんを出している。 
「あっちはあっちで楽しくやっているし、また巻き込んだら大変でしょ」
 とダスクが宥めるもそっぽを向いた。一方レイが爆睡するのはいつもの光景なので、アポロたちは起こす気配もない。

 一方で宇宙人がいなくなり、麻美と二人きりで遊園地を回った。あの三匹がいたから最初は気づかなかったが、女子と遊園地を歩いているこれはつまり『デート』という。だから受付の人、微笑ましい眼差し向けていたのか。一気に恥ずかしくなった。
 顔が熱く、頭の中パニック。
 こんなときどうすりゃいいのか、全く分からん。
 女子とこんなふうに休日過ごしたことはない。こんなに至近距離にいられると、嫌でも意識が向く。
 気温も上昇してて、この体温はきっと、暑さのせいと感じた。人も多くなり、混雑する。避けながら歩いていく。時折ぶつかりそうになり、慌てて避けると転びそうになった委員長を支えた。委員長の体温も熱くて、お互い顔が真っ赤になる。ふと腹の虫がなった。こんなときでも、鳴るんだな。
「委員長、お腹空かない?」
「そ、そそうだね。もう昼間だね」
 真っ赤になった顔を麦わら帽子で隠しながら、委員長は承諾した。近くのお洒落なレストランへ。天井が高く、屋根には豪華なシャンデリアが。金かかってるな。

 委員長はパンケーキを頼んで俺はパスタを頼んだ。
「委員長それだけでいいの?」
「うん。これがちょうどいい」
 クリームいっぱいのパンケーキだけで十分なんて、心配になってきた。だから痩せてんだ。
「委員長、もっと食えて」
 パスタと一緒に頼んでおいたポテトフライを前に出した。委員長はそれを見て苦笑する。
「大丈夫だから。これくらいが平均なの」
 ほんとに心配だ。ポテトフライを差し出すと委員長は諦めたのか、恐る恐るソレを口にした。
「ん……」
「まだあるからな」
「ふぁ……無理」
 ポテトフライを口にしてるだけに、委員長はソレの熱さのせいで目には涙を浮かべ頬は赤くなっている。
 


「はっ――何処かでエロ同人みたいな展開になっている!」
 作戦中の最中、突然立ち上がったスター。目を野獣のようにギラギラとし、辺りをキョロキョロする。キューピットの像があるせいで、周りは恋人だらけで甘い空気が流れている。路上で恥じらいもなく、抱き締め合っていたり、キスをしていたり、スターにはとても刺激的なところ。

 突然叫んだので、ダスクとガーディアン二人はびっくりした。目を丸くして、立ち上がったスターをみやる。
「エロどうじん? なにそれ食べれるの?」
 ダスクが首を傾げ、それについて訊くと、アポロは苦笑し、ルナは赤面。スターがわなわな震えた。
「えぇ! この世でもっともオカズにされる本ね!」
 話がややこしくなるので、ルナが手を叩いた。
「はいはい。その話はじっくり二人きりのときにしてちょうだい。今はとりあえず大型生物体について考えるべきでしょう」
「だねだね」
 ルナが話を引き戻すと、アポロが安堵した。スターはふてくされた顔するが、瞬間、触覚がピクリと動いた。爆睡していたレイが夢から覚める。鼻ちょうちんがパチンと破れ。
「……来る」
 そう言った瞬間、視界が上下に大きく揺れた。建物がガタガタ震え地面に大きな亀裂が生じ割れていく。

 キューピットの像が壊れ首がもげる。恋人たちは甲高い悲鳴をあげながら逃げていく。ここのフロアだけじゃない。日本全土大きな地震が襲った。
 建物がグラスワインのように倒壊されていく。活気あふれる声が悲鳴に包まれた。人々は波のように門の前に押し寄せ、「ここから出せ」と叫んでいる。

 こうなる前に鎮圧したかったけど。目覚めてはいけない奴が起きた。
「なんて最悪なタイミング」
 ダスクがタブレットを出して、それが槍に変わった。食べ物に群がる蟻を眺めていたコスモも立ち上がる。
 それまでの表情が一変。真面目な表情へとなる。
 揺れは激しく、一分近く続いた。揺れがおさまると、一行は動いた。
「先に案内するわ」
 スターが北のほうに走っていくと、それについていく。近づいていくにつれ、それの影が見えてきた。芋虫の幼虫のようにもぞもぞ動いて、気持ち悪い姿形。

 作戦なんてろくに考えていない。しかし、それぞれがそれぞれの行動を移した。アポロが芋虫の形態を素手で殴ると、芋虫は背中を仰け反らせ、さらにもぞもぞ動いた。
「逃げられる! レイ!」
「ふぁーい」
 レイは大口開けると風が押し寄せた。塵も汚れも口の中に入っていく。強風により、芋虫はズルズルと戻されていく。

 拳一つで地面が割れたり、化物のような肺活量はまるで、人間じゃない。彼女らが信頼されるのがようやく分かった。
「こっちもやるわよ! コスモ、分かっているよね?」
 ダスクがコスモのほうに振り向くと、コスモは既に敵のほうに走っていった。恐れなんか抱いていない。その姿に、複雑な心境。

 レイの強さは凄いが、持久力がない。おおよそ二分近くで風がやんだ。レイは再び深い眠りにつく。仕事をやり終えた表情で。
 風が止むと、芋虫の胴にぱっくりと線が入っていた。コスモとアポロがその線に気づかず、蹴りと拳をいれようと――ぱっくりと開いたそこ、何かが覗いていたことに気づいたルナとダスクは「だめ!」と叫んだが遅かった。

 ぱっくりと左右に開いたそこから、黒い生命体が飛んできた。コスモの首をへし折り、生身の体のアポロの拳を折った。地面に泣き崩れる二人。アポロはそのまま地面に倒れたが、コスモは空中で首の骨を元に戻し、抜け皮になった芋虫の殻に着地。

 地面に倒れたアポロは腕を抑え苦悶の表情。スターが治癒に施す。アポロのそばにはルナがいて、その目には涙が浮かんでいた。
「傷つけたら泣く人がいるんだよ」
 コスモの心の中にふつふつと、熱いものが滾った。今まで抱いたことのないものが、心の中を支配する。

 黒いものは、蛾となり黒い羽をパタパタさせている。地上のありえない塵を吸ってここまで成長した。
 コスモは全身を分解するイメージをつけ、羽の結合部位をブチブチと剥した。羽をもげた蛾は空中をフラフラとし、片方の羽だけでパタパタと逃げていく。
「逃さない」
 再び羽をもげようと、分解のイメージを。周りの声なんて聞こえない。頭の中は真っ赤に染まっている。なのに、突然声が入ってきた。
「コスモっ!」
 その声に我に返った。
 振り向くと、一樹と委員長がアポロたちの近くに立っていた。視線が言ってる。「もうやめろ」と。コスモは、分解せずにアポロみたいに、素手で蛾を殴ると、灰のようにサラサラと消えていった。


 もうこれで、生命体の駆除完結。ガーディアンたちも安心して帰って行った。生命体を見た人間の記憶をいじって、地震の出来事もなかったことに。スターと委員長も笑顔で帰っていく。ようやく、長かった戦いも終わった。
 ダスクがそれらについて報告する。

「良かった。駆除できて」

 サターン様は大喜び。ダスクとの報告回戦を切ると、ポツリと呟いた。

「もしべスリジア星であれば、これ以上の人的被害が及びます」

「ご安心を。我が星の情報機関は、いつでも監視しております。戦争は絶対に起きません」
 ギャラクシーは、サターン様に紅茶を注いだ。サターン様は暫し間を置いて注いでくれた紅茶を口に運んだ。

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