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異次元からの侵略者

第115話 次元の歪みの向こうの世界

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 これは西暦9980年のはるか未来のお話し。
 北部戦線での戦闘開始まで、16時間をきった。
 総攻撃を受けるその宙域から脱出出来ないマイとユアとメドーラは、逆に、衛星基地ソゴムの中心近くにある、次元の歪みを目指す。
 次元の歪みの先に、活路を求めたのだった。
 しかし、異次元とをつなぐ出入り口を潰すため、衛星基地ソゴムが破壊される事を、マイ達は知らない。


「なにこれ?」
 別次元とをつなぐ次元の裂け目を通ったマイ達は、その先に広がる景色に、少しとまどう。
 次元の裂け目の先に広がる光景は、普通の公園だった。

 公園の真ん中を幕で区切って、その幕を切り裂いて抜けたら、当然公園の向こう側に出る。

 次元の裂け目を通ったマイ達の感想は、これだった。
 何しろ、目の前の景色の変化は、少し明るくなったくらいだった。

「同じ物体が複数の次元空間に存在する事もあります。
 多分、それではないでしょうか。」
 今の現状から、考え得る可能性の高い現象を、メドーラが口にする。
「そうでもないみたいよ。」
 メドーラの説を、ユアは否定する。
 ユアはソウルブレイドのクダを、光線銃に変える。
 光線銃を向けた先には、異形の者がいる。
 小さな子供のシルエットだが、背中には甲羅があり、口はクチバシ状で、頭のてっぺんはハゲていた。
 要するに、カッパだった。
「待って、ユア。」
 今にも光線銃の引き金を引きそうなユアの光線銃に、マイは手を置いた。
 光線銃を向けられてびくついたカッパは、マイの行動で我にかえり、逃げ出した。

「ちょっと、逃げられちゃったじゃない。」
 ユアは光線銃の上に置かれたマイの手をどける。
 そんなふたりを尻目に、メドーラは無言でオフロードバイクを走らせ、カッパの逃げ道をふさぐ。
「ナイス、メドーラ。」
 ユアもオフロードバイクを走らせ、マイも後に続く。

 カッパは、三方向をマイ達三人に包囲される。
 ユアとメドーラは、光線銃をカッパに向ける。
 姿形は違うとは言え、カッパの表情には、怯えの色が見てとれた。
「ちょっと、物騒じゃない。」
「いいえ、ここは敵地ですわ、マイお姉さま。」
 マイの発言を、メドーラはやんわり否定する。

「hhjjggg!」
 そこへ突然、聞き慣れない言語が耳に入る。
 マイ達三人は、その声のした方に振り向く。
 そこにはケイに似た人物がいて、拳銃をこちらに向けている!

 パンパンパン!

 拳銃が撃たれると同時に、一番近い位置にいたメドーラの光線銃が、円盾に姿を変える。
 カッパは一目散に逃げ出した。
 ユアは光線銃をケイに似た人物に向ける。
 マイは咄嗟にユアの光線銃を叩き落す。
「ちょっと、マイ?」
 マイの奇行に驚くユア。
 マイはケイに似た人物と、ユアとメドーラとの中間の位置にオフロードバイクを走らせる。
「撃っちゃ駄目だよ。」
 マイはユアとメドーラの方を向いて、両手を広げる。

「マイ、あんたねえ。」
 ユアは呆れながら、マイに落とされた光線銃を拾う。
「動くな!」
 ユアが光線銃に手を伸ばした瞬間、ケイに似た人物が叫ぶ。
 ケイに似た人物は、マイの後ろから抱きつき、拳銃をマイの頭に当てている。
「マイお姉さま!」
 メドーラは右手に持った円盾を、左太ももに装着されたソウルブレイドのクダが隠れる位置に動かし、左手をソウルブレイドのクダに伸ばす。

「動くなと言っている!」
 パン。
 ケイに似た人物は、拳銃を上空に向けて撃つ。
 メドーラは動きを止め、ユアは落ちた光線銃を拾わずに腰を上げる。
 どこからともなく現れたふたりの人物が、ユアとメドーラに近づく。
 ユアの光線銃、メドーラの円盾を奪おうと、ゆっくり手を伸ばす。
 このふたりの人物も、ケイにそっくりだった。

「え?ケイがふたりも?」
 マイは増えたふたりのケイに驚く。
「黙ってろ。」
 マイの背後から抱きつくケイが、拳銃の尻でマイの頭をこずく。
「いったいわねー。」
 マイはケイに似た人物が拳銃を持つ右手の手首を、きつく握りしめる。
 これを合図にするように、ユアもメドーラも、近づく人物に蹴りをいれ、オフロードバイクを走らせマイの元に集結。
 ユアはオフロードバイクを走らせる最中に、落ちた光線銃を引き寄せ、マイの背後にいるケイに似た人物の後ろにつき、光線銃を拳銃に変化させ、その人物の頭に当てる。
 メドーラはマイの左側につき、マイを背後から抱きつく腕をひきはがす。

 ソウルブレイドは、武器に展開中ならば、自由に動かす事が出来る。
 地面に落ちた光線銃も、手元に引き寄せる事が出来る。
 このソウルブレイドを動かす行為は、無駄に精神力を消耗する。
 戦いの最中の作戦ならばともかく、落ちた武器を拾うくらいなら、普通に拾う方がいい。

 マイ達三人は、ケイに似た人物をひとり、人質にとった。
 マイ達の周りには、ケイに似た人物が四人に増えていた。
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