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始まり《改訂版》
担任はホスト
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「さてと……学園のことは副会長の田無くんに一通り聞いただろ?」
父さんは扉が閉まったのを確認し、振り返るとそう聞いた。
「うん。」
「そうか。じゃあ、もうすぐ担任の先生が来るからここでくつろいで行くといい。あ、スーツケースは後で運ばせるからここに置いてっていいよ。」
「……了解。」
担任はこの学園の元会長だった人だと聞いている。
ソファーに腰掛けると、ハルさんが紅茶を入れてくれた。
「……ありがと。」
相変わらず、ハルさんの紅茶は美味しい。
ふぅー、と息を吐いて疲れが溜まっていたことに気づく。
今日は久々にゆっくり寝れそうだな…。
ぼーっとしていると、ハルさんがふふ、と笑う。
「夜霧様はお疲れみたいですね。」
「んー……そうだね。疲れてる。」
のびをして、なんとか目を覚ましていると、タイミング良く扉がノックされた。
「1A担任の杉田です。」
「入ってくれ。」
「はい。」
かなり礼儀正しそうだ。
さすが元会長……、なんていう感想は、入ってきた男の姿を見てどこかに飛んでいってしまった。
「ホスト…?」
思わず呟いて首を傾げてしまう。
「ハッ、ホストなわけがねーだろ、俺は教師だよ」
そう言って鼻で笑うそいつは明らかにホストの格好をしている。
「杉田くん口が悪いよ」
父さんが注意するが素知らぬふり。
まったく教師らしからぬ態度。
「ふはっ…ふっ、ふふっ」
父さんとハルさんが目を見開くのが分かる。
だけど、何だかおかしかった。
「ふふっ、せ、先生…あははっ」
先生も、少し目を丸くした後、笑ってんじゃねーよ、と言って僕の額を指ではじくが、やっぱり笑いは止まらない。
しばらくして、やっと笑いが収まる。
久々に笑った。
そして冷静になった頭で多分疲れてたからだろう、と無理やり無かったことにする。
「……失礼しました。」
三人の視線から逃げるように前髪をいじり、靴の先を眺めた。
「ああ……」
「理事長」
「あ、そうだね。じゃあ杉田くん、彼を教室に案内してくれ。」
「うぃっす。」
理事長室を出て、雑談しながら───と言ってもほとんど先生が話してたが───教室に向かう。
「お前、不機嫌そうってよく言われないか?」
「言われますね。」
「……もっとさっきみたいに笑えよ」
「嫌です。」
「……どこ行ってたんだ?」
「イタリアです。」
「「……。」」
会話が途切れる。
だけど、僕は踏み込まれるのが好きじゃないんだ。
質問なんて……勘弁してくれ。
「はぁー、そんなんじゃモテねーぞ」
「モテなくていいです。」
むしろ……。
父さんは扉が閉まったのを確認し、振り返るとそう聞いた。
「うん。」
「そうか。じゃあ、もうすぐ担任の先生が来るからここでくつろいで行くといい。あ、スーツケースは後で運ばせるからここに置いてっていいよ。」
「……了解。」
担任はこの学園の元会長だった人だと聞いている。
ソファーに腰掛けると、ハルさんが紅茶を入れてくれた。
「……ありがと。」
相変わらず、ハルさんの紅茶は美味しい。
ふぅー、と息を吐いて疲れが溜まっていたことに気づく。
今日は久々にゆっくり寝れそうだな…。
ぼーっとしていると、ハルさんがふふ、と笑う。
「夜霧様はお疲れみたいですね。」
「んー……そうだね。疲れてる。」
のびをして、なんとか目を覚ましていると、タイミング良く扉がノックされた。
「1A担任の杉田です。」
「入ってくれ。」
「はい。」
かなり礼儀正しそうだ。
さすが元会長……、なんていう感想は、入ってきた男の姿を見てどこかに飛んでいってしまった。
「ホスト…?」
思わず呟いて首を傾げてしまう。
「ハッ、ホストなわけがねーだろ、俺は教師だよ」
そう言って鼻で笑うそいつは明らかにホストの格好をしている。
「杉田くん口が悪いよ」
父さんが注意するが素知らぬふり。
まったく教師らしからぬ態度。
「ふはっ…ふっ、ふふっ」
父さんとハルさんが目を見開くのが分かる。
だけど、何だかおかしかった。
「ふふっ、せ、先生…あははっ」
先生も、少し目を丸くした後、笑ってんじゃねーよ、と言って僕の額を指ではじくが、やっぱり笑いは止まらない。
しばらくして、やっと笑いが収まる。
久々に笑った。
そして冷静になった頭で多分疲れてたからだろう、と無理やり無かったことにする。
「……失礼しました。」
三人の視線から逃げるように前髪をいじり、靴の先を眺めた。
「ああ……」
「理事長」
「あ、そうだね。じゃあ杉田くん、彼を教室に案内してくれ。」
「うぃっす。」
理事長室を出て、雑談しながら───と言ってもほとんど先生が話してたが───教室に向かう。
「お前、不機嫌そうってよく言われないか?」
「言われますね。」
「……もっとさっきみたいに笑えよ」
「嫌です。」
「……どこ行ってたんだ?」
「イタリアです。」
「「……。」」
会話が途切れる。
だけど、僕は踏み込まれるのが好きじゃないんだ。
質問なんて……勘弁してくれ。
「はぁー、そんなんじゃモテねーぞ」
「モテなくていいです。」
むしろ……。
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