病んでる僕は、

蒼紫

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始まり《改訂版》

父さんとの再会〜夜霧side〜

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”光属性“。

この人を見ているとそんな言葉が頭にチラつく。キラキラしてて、暗くて汚いのなんてきっと知らない。

「はい、では早速理事長室までご案内致しますね。荷物を片方……」
そう言って親切心で手を伸ばす。ほら、いい子チャン。
「結構です」
「あ……失礼しました」
仕方ない。触られたくないんだから。
眉を下げるフクカイチョウさんは、感情がわかりやすい。
さすがに言い方がキツかった。

「……すみません。」
「へ、」
ぼそっと零すと、フクカイチョウさんはポカンとこちらを見た後、ああ、と頷く。

「別に大丈夫ですよ。人には踏み入られたくない距離があるものですから」

そう言って微笑むフクカイチョウさんを見て、人というものは本当に上手くできているのだと感心してしまう。

「……そうですか。」

まぁ、そんなことどうでもいいか。

その後、簡単な学園の説明を受けながら理事長室まで向かう。
目的地までの道のりは随分と遠かった。
学園は外観だけでなく、中まで凝ったデザインで、正直どこに金をかけているのか、と呆れてしまったぐらいだ。
それに、こんなに大きな学園だからか、たくさんの部屋があり、廊下も物凄く長い。
多分、全ての部屋を見に行こうと思えば丸々一週間はかかるだろう。

ふと、紋章のようなマークが掘られた大きな木の扉の前でぴたりとフクカイチョウさんが止まった。コンコンと扉を叩く。
ここが理事長室なのか。
「失礼します。副会長の田無です。転校生をお連れしました。」
「ああ、入ってくれ。」

懐かしい声に少し目を細める。
今になって、日本に帰ってきたことを実感した。

「失礼します。」

フクカイチョウさんに続いて理事長室に足を踏み入れれば、そこには見慣れた顔がふたつ並んでいた。

「やあ、長旅ご苦労様」

そう言って僕に嬉しそうに笑いかけたのはここの理事長で僕の父さん。
「うん。」
コクリと頷いて返事をすると、もう1人も声をかけてきた。
「夜霧様、お久しぶりです。」
「久しぶり。」
父さんの秘書で僕の従兄弟のハルさんこと早瀬遥はやせはるか

ハルさんは基本的に家族や親戚にも敬語だ。 

フクカイチョウさんが首を傾げ、おずおずと口を開く。
「あ、あの……失礼ですが、東屋さんと理事長はお知り合いで……?」
「ああ、彼は僕の古い友人の息子でね。」
「はぁ…」
理事長の息子だとバレると後がめんどいからそういうことにするらしい。

「では、私はこれで失礼します。」
「ああ、忙しい中ありがとうね。」

扉が閉じる前、フクカイチョウさんと目が合ったので、ぺこりと一礼しておいた。
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