秘密の師弟関係

ほのじー

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終章:師匠との恋

男装令嬢、騎士団に潜入!?③

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「トム、もう少し重心左に立て!エド、もっと腕上げて脇しめろ!」
『はい!!』




朝の練習を終わらせ、騎士たちは警備の仕事を割り振られる。


「トムとエド、今日の午後はシャーロット様の警備に当たれ」
「了解です」




「エド、お前すげーじゃん。あのメニューについていけるなんて」
「いやぁ、幼少期の剣術の先生がかなり厳しかったんで・・・でもやっぱりキツいですよ」


トムは騎士団でもミリアの次に体が軽いので、体術などの練習でペアになることが多い。そんな理由でミリアがエドとして打ち解けている一人だ。ミリアとして朝練している頃もよく練習相手になってもらってたので気心知れている人物だ。


「しかもエドの剣さばきもミリアさんの癖と全く一緒って、やっぱ双子だから似るんだなぁ~」
「そ、そうですね。ははは」


(そりゃ同一人物ですからね・・・)



シャーロットは午前の執務の合間に休憩として庭の散歩をするのだが、ミリアは侍女としていつもシャーロットの側を歩いていたのに、今は騎士として少し離れた位置で守っているのが不思議だ。


「エド、また会えて嬉しいわ」
「シャーロット様・・・」


シャーロットはミリアがエドに変装していることはシルベスターより伝わっているので知っているのだが、口外してはいけないので、シャーロットとミリアは目でお互いの嬉しさを伝えあった。元々シャーロットとエドアルドはスノーランドの国王妃が訪問しているときに会っているので、二人が知り合いであるのは不自然ではない。シャーロットと侍女サリー、トムとミリアが庭を歩く。


「ねえ、エド、騎士団はどう?辛くはない?」
「はい、大丈夫です、皆さん優しくしてくれますし」
「うーん、でもエドは美人だから、騎士団の野獣たちに襲われてないかしら」
「いやいや、僕は男なんで大丈夫ですよ」


『いいえ!!』

シャーロットと侍女サリーの声変がハモった。サリーがそれに続ける。


「エドアルド様、男と男も愛しあえることをご存知ないのかしら??特に美男子は、むさ苦しい野獣共の餌食になるのですよ!!ルノアール騎士団で、どんだけの美男子が犠牲になったか・・・お痛わしい・・・」
「あらサリー、私は最近男性同士の恋愛小説読んだけど、悪くないと思うわ」
「シャーロット様、小説と現実は違います!」


やいのやいのと盛り上がるシャーロットとサリーであった。ミリアはその盛り上がりようにドン引きしてしまった。トムはこういった時に気配を消すという技をもっているので、知らん顔だ。



(トムって、元々影が薄いと思ってたけど、気配の消し方はきっとブラン騎士団一よね)


「エド、あんなので引いてたら身が持たないぞ。ベラ様なんて侍女と生々しい女性同士の性生活を恥ずかしがりもせず語り合ってるんだぞ!!こないだなんてあんな道具やこんな道具まで・・・///」


言葉が続かないトムである。果たしてどんな話があったのであろうか。







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