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ギルドと依頼とジャダと俺

7 森で頑張ってる

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風で包んで浮かせる。
垂れる血や体液も、シャボン玉のイメージでそっと包んだ。
そのままふかふかと川に連れて行く。
川幅は7メートルくらいだけど、水量がたっぷりある。
ジャダが川の傍に水を呼び込んで、獲物用の流れるプールを作った。
スパッとやったのをそこにドボンするのがレンの仕事だ。
勿論、肉を冷やして腐りにくくする為だ。
毛皮に付いてるダニとかも一緒に溺死してくれると信じている。

山には魔素が溜まる場所がある。
そこに生えてる薬草は効能が高い。
だから採取は魔素溜まりを目指して行くけれど、獣だってそこが大好きだ。
おかげで沢山の獣が勝手に突進してくる。
今日もジャダは王猪と熊をスパッとしたし、レンだって狐っぽいのと鹿っぽいのを仕留めてる。
ぽいのだ。どれが魔素で魔獣になったのとか、よくわからないから。

河原の近くで、ジャダが土地を均して解体場(仮)を作った。
今はそこででっかい熊を血抜きして解体している。
レンももう少し冷えたら鹿っぽいのを解体する。
自分の獲物は基本自分で解体するのが約束だ。

今日はそれが楽しみでたまらない!
さくさくスパスパ解体して、どんどん空間庫にいれるのだ‼︎
今までみたいに背負子に詰め込んで、ヒィヒィ歩いて帰る事は無い。
ぽんぽん入れちゃえば身軽に空間庫のバックだけなのだ。
それは空間庫って言うか、ずばりラノベ憧れのマジックバックだ。

「あるよ。」と渡されて、膝から崩れ落ちたのは昨夜だった。


木の日にアウロさんの分のパンも買って、待ち合わせの公園に行った。
貴族街に行きたくない空気を読んで、賢く優しいアウロさんが
「公園でピクニックしましょう」と言ってくれたのだ。流石だね。
るんるんで籠を抱えて行くと、公園にどでんと四阿があった。
しかも四方を護衛兵が立っているという、堅気の者は近寄れ無い仕様だ。
ほとんど来た事ない公園だけど。
こんなお洒落な四阿あったっけ?と思いつつ
流石お貴族様、侍女さんの用意する優雅なお茶を堪能した。

「旦那様がクロワッサンが大好きで、おかげでちょっと丸いのよ」とか
「森のザラルが完熟目前なので、それでジャムを煮るつもり」とか
きゃっきゃうふふと話した。

そして、さあ帰ろうとした時に衝撃が来たのだ。

その四阿が、侍女さんのお洒落バックの中にしゅるるんと消えたのだ!
レンは腰を抜かすかと思った‼︎
いや、マジックバックっていう奴じゃん!
良いもん見たぁ。流石貴族だなぁ。と感動した。

夕食後にその余韻感動で目をキラキラさせてるレンに、「あるよ。」とジャダが言うからもう意味不明だった。


ジャダ教官によると、レンが望んだのは"一人前の冒険者"
それには頼ってしまう空間庫は足手纏いだったそうだ。
解体の仕方も竈門の作り方も身に付ける為にソレは封印していたそうだ。

重い、臭い、面倒くさいを味わって、一般の冒険者は一人前になる。
あと普通の冒険者は、超超超高級な空間庫なんて手に入らない。
持ってると思われると狙われるから、初心者は見せないようにしないといけない。
疑われるような分量の獲物は持ち帰ってギルドに出さない様にと言われた。

確かにジャダも獲物を担いで持ち帰ってた。
俺に付き合って苦労してくれてたんだ。
ありがとう、すみません。と頭を下げる。

空間庫といえ限りある広さ。
ギルドに解体済みの肉や素材を渡す為に。
そして解体と風魔法の腕を磨く為に、今日もレンはせっせと解体する。
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