40 / 63
ギルドと依頼とジャダと俺
8 流れ作業は気が抜けない
しおりを挟む
冷えてキンキンに固まった鹿っぽいのを持ち上げる。
カッチカチで死後硬直してるとも言う感じ。
その垂れ下がった首と濁った目は、すっごく罪悪感を感じるので向こうに向けた。
川沿いから、そろりそろりと足元を確かめながら解体場(仮)を目指して歩く。
「レン‼︎」
声にはっとすると、こっちに向かって走る狐っぽいのが見えた。
鹿っぽいのの移動に全神経向いてて、周りの気配を一切考えていなかった。
狐っぽいのは速い。
この狐っぽいのは魔獣で、凶暴な肉食でデカい。
体高はレンの胸くらい迄ある。
低木を避けもせずガツガツ折りながら真っ直ぐ走ってくる。
狙いは鹿か俺か⁉︎
逃げても追い付かれる。
ぐんぐん目の前に迫ってくる。
瞬時に決心して剣に手をかけた時、狐は跳躍していた。
鋭い牙が目前にくる。
喉の赤黒さも上顎の凹凸も迫り上がるように目前にくる。
必死で剣を引き抜くと腕にガツンと衝撃が来た。
とんがって黒い鼻の横に剣がめり込んでいく。
剣の硬質な鉛色の脇から桃色の肉片が噴き上がっていく。
「ぶっ。」
飛び退くのが遅れて、血飛沫が降り注いだ。
血を噴きながら抱きつく様に迫る獣から顔を背けて後ろに下がる。
頬に首にと、温かい血がボサボサと当たる。
「レン。そのまま息を止めてろ!」
ジャダの叫びと共に体がぐんと持ち上げられた。
足が浮いたが叫ばない。
そのまま。ステイだ。
ジャダの教えでそのコマンドは身についている。
抱えられた身体はふわりと浮くと、川の中へと突っ込まれた。
ぶへっと頭を振るレンに
「血を洗え!毒は?」
とジャダが覗き込んでいる。
琥珀色の目が近くにあって、それが忙しなく動いてレンをチェックしていた。
そうだ。
食性によって血に毒を持つものもいるから、屠る時は素早く一歩下がって血を浴びちゃいけないんだった。
しかも咄嗟のあまりにスパスパも出来ずに、物理的にごつんと殺って血を撒き散らした。
やばい。
怒られる。
今まで浮かれて自信満々だったレンは、しゅんと視線を落とした。
「ごめん。大丈夫…毒はなさそう…」
濡れた頭をジャダの大きな手がわっしわっしと掻き回す。
「咄嗟に顔を背けたのは上出来だった。
あの場合は俺だって血まみれになってる。
とにかく、レンが無事で良かった。」
撫でながら、跳ね飛んだ血を拭ってくれる。
良かった。
それほどポカした訳じゃなかった。
「このまま血を流して清めろよ。
俺は火を熾してくる。」
そう言ってスプラッタな狐をぐいっと掴むと、隣のプールにドボンしてくれた。
ふうと息を吐いてレンは川に座り込んだ。
カッチカチで死後硬直してるとも言う感じ。
その垂れ下がった首と濁った目は、すっごく罪悪感を感じるので向こうに向けた。
川沿いから、そろりそろりと足元を確かめながら解体場(仮)を目指して歩く。
「レン‼︎」
声にはっとすると、こっちに向かって走る狐っぽいのが見えた。
鹿っぽいのの移動に全神経向いてて、周りの気配を一切考えていなかった。
狐っぽいのは速い。
この狐っぽいのは魔獣で、凶暴な肉食でデカい。
体高はレンの胸くらい迄ある。
低木を避けもせずガツガツ折りながら真っ直ぐ走ってくる。
狙いは鹿か俺か⁉︎
逃げても追い付かれる。
ぐんぐん目の前に迫ってくる。
瞬時に決心して剣に手をかけた時、狐は跳躍していた。
鋭い牙が目前にくる。
喉の赤黒さも上顎の凹凸も迫り上がるように目前にくる。
必死で剣を引き抜くと腕にガツンと衝撃が来た。
とんがって黒い鼻の横に剣がめり込んでいく。
剣の硬質な鉛色の脇から桃色の肉片が噴き上がっていく。
「ぶっ。」
飛び退くのが遅れて、血飛沫が降り注いだ。
血を噴きながら抱きつく様に迫る獣から顔を背けて後ろに下がる。
頬に首にと、温かい血がボサボサと当たる。
「レン。そのまま息を止めてろ!」
ジャダの叫びと共に体がぐんと持ち上げられた。
足が浮いたが叫ばない。
そのまま。ステイだ。
ジャダの教えでそのコマンドは身についている。
抱えられた身体はふわりと浮くと、川の中へと突っ込まれた。
ぶへっと頭を振るレンに
「血を洗え!毒は?」
とジャダが覗き込んでいる。
琥珀色の目が近くにあって、それが忙しなく動いてレンをチェックしていた。
そうだ。
食性によって血に毒を持つものもいるから、屠る時は素早く一歩下がって血を浴びちゃいけないんだった。
しかも咄嗟のあまりにスパスパも出来ずに、物理的にごつんと殺って血を撒き散らした。
やばい。
怒られる。
今まで浮かれて自信満々だったレンは、しゅんと視線を落とした。
「ごめん。大丈夫…毒はなさそう…」
濡れた頭をジャダの大きな手がわっしわっしと掻き回す。
「咄嗟に顔を背けたのは上出来だった。
あの場合は俺だって血まみれになってる。
とにかく、レンが無事で良かった。」
撫でながら、跳ね飛んだ血を拭ってくれる。
良かった。
それほどポカした訳じゃなかった。
「このまま血を流して清めろよ。
俺は火を熾してくる。」
そう言ってスプラッタな狐をぐいっと掴むと、隣のプールにドボンしてくれた。
ふうと息を吐いてレンは川に座り込んだ。
応援ありがとうございます!
92
お気に入りに追加
115
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる