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番は特別らしい
10 了見狭いから無理です
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「サンドロ様が謝罪をしたいと、面会を希望なさっています。」
そう言われたのはリアルタイムに次の日だ。
一瞬悩んだけれど、無理だと断った。
そう無理なのだ。どうしても。
せつなげなニャウムさんを背後に、ハナが項垂れている。
違う。誤解しないで欲しい。
だからハナに向かって、そしてカールさんやニャウムさん達にも宣言する様にはっきり言った。
「その人に蟠りがあるわけじゃ無い。一身上の都合なんだ。
そのサンドロさんがハナの番で、ハナを幸せにしたいと申し出ているのなら俺は賛成だ。是非番となって幸せになって欲しい」
カールさんはこっちをじっと見た。
そのにこやかそうな顔の中で糸目がマジだ、レンはしっかりと見返した。
後でこっそりニャウムさんに、ハナは奥手だから後押ししてくれと頼み、ハナにも心のままに行けと発破をかけとこう。
カールさんにもハナの恋物語をとっととまとめたいと言わなくては。
この別館に自分一人残った時の相談もお願いしておこう。
カールさんはレンの話に、大黒様に似た万能型の笑顔でふぉんふぉんと頷いてから「ハナ様は罪悪感を育てちゃう方ですからねぇ。そんな芽は摘んどきましょうねぇ」と気の抜けた声で言った。だよね
そして次の日、男を従えていた。
サンドロさんの従兄弟だと言う。
そのジャダという人はレンガの様な髪で、案の定デカい。
部屋に入ってくると、空気が一割ほど薄くなった気がする。
レンを見て琥珀色の目を大きく見開いた。
多分、こいつ俺が黒髪黒目じゃ無くて小洒落た色見をしてるからびっくりしてるな。とレンは思った。
その琥珀色の目はじいちゃん家の隣の芝犬に似ていた。
おとなしいその老犬はふったふったと尻尾を降ってレン達に挨拶した。
唸ることもなくレン達を受け入れて腹まで見せてくれた。
なんか嬉しくて甘酸っぱい記憶だ。
ドアの向こうに人がいる。
レンは昔から人の気配に敏感だ。
こういう時はお約束で、噂のサンドロさんが耳をそばだてているのだろう。
多分面会を断られて、うそうそしてるんだろうと思うとちょっと笑えた。
向かいに座ったジャダさんが謝罪の口上を始めたから、いらないと切った。
「俺達が向こうの世界でちっちゃい頃殴られていたのを知ってるって聞きました。だからはっきり言います。
面会を断ったのは恨んでるからじやありません。
ハナの為に殴るのは俺もあったから、その気持ちはわかるんです。
俺は怒ってもいない。でも許すのは別なんです。
面と向かったら許すと言ってしまうと思う。
でもここで許したら、なんか負けた気がしちゃうんです。
あっちの奴らをこれっぽっちも許す気は無いのに、なんか全部許しちゃう感じになっちゃう気がするんです。
だから会いたく無いし、詫びて欲しく無い。」
ジャダは真っ直ぐレンを見ていた。
本当に、静かな目はあの芝犬みたいだ。
ドアの向こうの気配はうろうろと揺れている。
だから聞こえる様に少し声を張る。
「どうしても詫びたいなら、代わりにハナを幸せにして欲しい!」
気配もハナもジャダさんもビクッと震えた。
「溜め息つく間も無いくらい幸せにしてくれ!
俺の事を思い出す間も無いくらい幸せにしてくれ!
俺はそうすれば安心して生きてける。
歳取って日向ぼっこしながらハナの孫やひ孫を抱かせてくれたら、『こっちこそ申し訳なかった』と言えると思う‼︎」
俺の言葉に隣に座るハナが涙を堪えて下を向いた。
カールさんがふにょんとほっぺを揺らして、ニャウムさんが拳を握って目を潤ませた。
いや。
そんなご大層なこと言ってないけど…
レンは心中、戸惑っている。
そして芝犬ジャダは、ボールを投げるのを待つ目でこっちを見上げていた。
いきなり立ち上がると、きっちり90°のお辞儀をした。
(この世界ではこれが普通なのか?)
「レン様。俺を護衛にしてください‼︎」
~~ナニ言ってるのかワカラナイ
そう言われたのはリアルタイムに次の日だ。
一瞬悩んだけれど、無理だと断った。
そう無理なのだ。どうしても。
せつなげなニャウムさんを背後に、ハナが項垂れている。
違う。誤解しないで欲しい。
だからハナに向かって、そしてカールさんやニャウムさん達にも宣言する様にはっきり言った。
「その人に蟠りがあるわけじゃ無い。一身上の都合なんだ。
そのサンドロさんがハナの番で、ハナを幸せにしたいと申し出ているのなら俺は賛成だ。是非番となって幸せになって欲しい」
カールさんはこっちをじっと見た。
そのにこやかそうな顔の中で糸目がマジだ、レンはしっかりと見返した。
後でこっそりニャウムさんに、ハナは奥手だから後押ししてくれと頼み、ハナにも心のままに行けと発破をかけとこう。
カールさんにもハナの恋物語をとっととまとめたいと言わなくては。
この別館に自分一人残った時の相談もお願いしておこう。
カールさんはレンの話に、大黒様に似た万能型の笑顔でふぉんふぉんと頷いてから「ハナ様は罪悪感を育てちゃう方ですからねぇ。そんな芽は摘んどきましょうねぇ」と気の抜けた声で言った。だよね
そして次の日、男を従えていた。
サンドロさんの従兄弟だと言う。
そのジャダという人はレンガの様な髪で、案の定デカい。
部屋に入ってくると、空気が一割ほど薄くなった気がする。
レンを見て琥珀色の目を大きく見開いた。
多分、こいつ俺が黒髪黒目じゃ無くて小洒落た色見をしてるからびっくりしてるな。とレンは思った。
その琥珀色の目はじいちゃん家の隣の芝犬に似ていた。
おとなしいその老犬はふったふったと尻尾を降ってレン達に挨拶した。
唸ることもなくレン達を受け入れて腹まで見せてくれた。
なんか嬉しくて甘酸っぱい記憶だ。
ドアの向こうに人がいる。
レンは昔から人の気配に敏感だ。
こういう時はお約束で、噂のサンドロさんが耳をそばだてているのだろう。
多分面会を断られて、うそうそしてるんだろうと思うとちょっと笑えた。
向かいに座ったジャダさんが謝罪の口上を始めたから、いらないと切った。
「俺達が向こうの世界でちっちゃい頃殴られていたのを知ってるって聞きました。だからはっきり言います。
面会を断ったのは恨んでるからじやありません。
ハナの為に殴るのは俺もあったから、その気持ちはわかるんです。
俺は怒ってもいない。でも許すのは別なんです。
面と向かったら許すと言ってしまうと思う。
でもここで許したら、なんか負けた気がしちゃうんです。
あっちの奴らをこれっぽっちも許す気は無いのに、なんか全部許しちゃう感じになっちゃう気がするんです。
だから会いたく無いし、詫びて欲しく無い。」
ジャダは真っ直ぐレンを見ていた。
本当に、静かな目はあの芝犬みたいだ。
ドアの向こうの気配はうろうろと揺れている。
だから聞こえる様に少し声を張る。
「どうしても詫びたいなら、代わりにハナを幸せにして欲しい!」
気配もハナもジャダさんもビクッと震えた。
「溜め息つく間も無いくらい幸せにしてくれ!
俺の事を思い出す間も無いくらい幸せにしてくれ!
俺はそうすれば安心して生きてける。
歳取って日向ぼっこしながらハナの孫やひ孫を抱かせてくれたら、『こっちこそ申し訳なかった』と言えると思う‼︎」
俺の言葉に隣に座るハナが涙を堪えて下を向いた。
カールさんがふにょんとほっぺを揺らして、ニャウムさんが拳を握って目を潤ませた。
いや。
そんなご大層なこと言ってないけど…
レンは心中、戸惑っている。
そして芝犬ジャダは、ボールを投げるのを待つ目でこっちを見上げていた。
いきなり立ち上がると、きっちり90°のお辞儀をした。
(この世界ではこれが普通なのか?)
「レン様。俺を護衛にしてください‼︎」
~~ナニ言ってるのかワカラナイ
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