足元に魔法陣が湧いて召喚されたら、異世界の婚活だった件

たまとら

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番は特別らしい

1 異世界に慣れよう

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王宮の広大な敷地に別館があって、異世界から来た者はそこで過ごす。
当たり前だが何もわからないから、地理や歴史と生活習慣の勉強をする。
とりあえず別館は治外法権。メイドや従者そして護衛しか立ち入り禁止だ。
ちょっと部活の合宿のようで、12人は仲良くなった。

散歩がスケジュールに入っている。
決まった時間に庭を散策する。
初めは固まっていた12人達も、直ぐにばらけてきた。
何故かと言うと、番の婚活が激しいからだ。
庭の外周は立ち入り許可が降りていて、人が鈴なりだ。
鮭の遡上のように集まっている。

魔法陣を動かす為の魔石を出した人達が、自分の番では?と伺いにくる。
うっかり見つけたら、もう一直線。
庭のあちこちからこっちへおいでよという愛の唄が鳴り響いている。

そりゃ彼等からすると、自分の番が自分の為に異世界からきてくれたのだ。
極まって全力愛振りに、庭の空気はおピンクに揺れている。

地球人にとって番と言うのはピンと来ない。
「私が君の番だ!」と言われても「ハイソウデスカー」としか返せない。
でもそのラヴアタックは正直側から見てると引くほど甘い。
それが常時発動の垂れ流しで、浴びる様に受けてるうちにどんどん応じていくそうだ。
それ、絆されてるってことじゃないよね。

立ち入り禁止の場から向こうに歩み寄って、いつのまにか二人の世界があちこちに出来ている。

「結婚したいとは思わない‼︎」と言っていたお姉さんも、辺境伯だという髭のマッチョに跪かれてデレている。
リーマンらしかった男性も、ゆるふわ美少女にぶらさがられて鼻の下が伸びっぱなしだ。


初っ端カールおじさんで始まったこの世界。
だから甘くみていた。見慣れた人類と変わらないと。
いざ蓋を開けたら、むっちゃ顔面偏差値が高い。
目に優しく無い、金だのピンクだのの髪がキラキラと眩しい。
その華やかで美麗な顔が愛を捧げてくるのだ、その気にならない訳が無い


そして腹立たしいことに顔もいい上に背も高い。
ハナの専属で世話をしてくれてるメイドのニャウムさんは、レンと同じくらいの身長だ。
しかもニャウムさんは仲間内では小柄だそうだ。ムカつく…
レンの従者と護衛は言うまでもなく大木だ。レンは蝉なのだ。

レンは本当はデカくて爽やかなイケメンマッチョになるはずだった。
でも175センチしか伸びてない。(いや、まだこれからだ)
バキバキに腹筋が割れる予定だった体も、『細マッチョだ!』と言い張っているがなんかヒョロい。
黒髪はふんにゃりと猫毛で、目もまん丸で精悍さのかけらも無い。
まあ、お陰で誰もが舐めてくるから。
躊躇なく拳を鼻に入れてやる。
そう、レンは喧嘩に強かった。
実際は一撃必殺で、躊躇なく急所を狙うから相手がビビるだけだけど。
拳だけは硬く鍛えて胼胝になっていた。


今や庭は危険地帯だ。
彫像のようにくっ付いた二人がいちゃいちゃしている。
あっちを見てもこっちを見ても、目のやり場が無くなっている。
こんなんじゃ恋の鞘当てとか、三角関係とかあるのか?と思ったのに、それは100%無いという。
番はわかるのだそうだ。
なんとなく、「一目惚れでドッキン♡」だと思ったのに違うらしい。
番は魂が震えるんだそうだ。
よくわからない。

番相手を見つける人が出始めたのに、まだまだ人は出揃って無いから安心してね、と言われた。
こんなに人が鈴なりなのに、全員出揃って無いそうだ。
辺境の方が竜で飛ぶから早く着くらしい。
むしろ陸路の方が時間がかかるらしい。
出揃ってからのお披露目会があるのだから、まだ番が現れなくても大丈夫だと言われた。

番はわからない。
でも蕩けるように互いしか見てない人達を見ていると、なんかいいなぁって思える。

出来たらおっぱいのバーンとした綺麗なお姉さんがいいなぁ。
とレンは思ってた。
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