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死闘続発★ホモら共存編
DQNこわい
しおりを挟む「コージ、準備出来たか?」
「おうよ! バッチリだぜ!」
親指を立ててグーをすれば、ガレになでなでされた。むぐぐ…。俺は犬猫じゃねーけど…テクニシャンだ…。
「緊張感ないな。これから古龍に会うってのに…」
近くの川で顔を洗ってきたロイが、じとってした目でガレを見ながら言った。
「俺にはコージの加護があるからなァ」
そんなロイに、ニマニマと自慢するように言ったガレ。ロイは目を細めて、半ばガレを睨んでるようにも見える。
……なんとか仲良く出来ないものか…。ガレもガレで大人げない。加護って…結界だろ。しかも結界はロイにも張るっていうのに…。
「あ、あの…、お頭。俺らも準備出来ました」
ガレの部下の1人が、恐る恐る報告しに来た。見ると、団員さん達はみんな準備万端だった。けど、そわそわとしていて、狐さんなんかお耳と尻尾がへにょってる。
ミゲルさんが、そんな狐さんを勇気付けようと色々話し掛けているけど…。
ヤバい可愛い。うっかり、もふっちゃいそうだ。ルークさんとのお約束で『他の獣人さんには、あまり触りたいなんて言わない』ってのがあるから、迂闊にもふもふ出来ないんだよ。
あぁっぺしょってなってる!! 尻尾が内股にくるんって丸まっちゃってる!! はわわっ!! 撫でくりまわしたいっ!! あわよくば人化を解いて狐になった狐さんのお腹に顔を埋めたいっ!!
「コージは俺の隣なー」
俺が狐さんに熱い視線を送っていたのがバレたのか、ガレは俺と腕をがっしり組んでそのまま歩き出した。そんな俺達を見て、みんなも出発。
ただ…、俺の後ろを歩くロイが、俺とガレをじぃっと見てる気がするんだけど……気のせいに決まってる。ロイはちょっと過激な面もあるけど、気の使える良い子だもん。第7のホモになんて、なるはずがないんだもん…。
********************
【「DQN」とは、軽率そうな者や実際にそうである者、粗暴そうな風貌をしている者や実際に粗暴な者かつ、非常識で知識や知能が乏しい者を指すときに用いる言葉である。】
あ、ウィキ大先生引用な。
まぁ、ちょっと俺の話を聞いてくれよ。
俺には、どうしても許せないタイプの人間が、この世に3種類いる…。
1、明らかに未成年なコンビニバイトさんに対して、たばこの銘柄だけしか言わず、バイトさんが分からないとキレるオヤジ。
2、俺の可愛い可愛い弟をいじめていた、クソ生意気で愚かな小学生共。
3、人目もはばからずいちゃいちゃいちゃいちゃして、店員さんとかが注意するとキレるDQNなバカップル。
……いやね、『アオハルかよ』って言いたくなるような、初々しい照れ照れカップルだったら俺もさ、末永く爆発しろって思うけどさ。……DQNに関してはもう本当に爆発しろ! 店員さんに横暴な態度の彼氏とかほんっっっっと滅べ!!
ファミレスでバイトしてた時にいたんだよ!! おっとり系な女の先輩が怒鳴られてて、先輩すっごい泣きそうで、しかもそいつら、注文してないどころか席にすら座ってねぇの!! クレームも笑顔がなってないだとかで入り口でギャンギャン喚いて、結局店長と運送屋のバイト経験ありなムキムキ強面の先輩が追い払ってくれたけど…。後日、俺とおっとり先輩と強面先輩が一緒にご飯行こーよって出掛けてる時、仲間数人連れてきて、『女とそっちの男寄越せ』っていかにも雑魚な悪役って感じの台詞吐いて、襲って来て、強面先輩がひと暴れして、警察来て、DQN達はお縄に…、って事があったの!!
だからか、俺のDQNに対する拒絶反応はマジでスゲーぞ。アレルギー並だからな。
普通の金髪とかだったら、良いんだ…。金髪にスウェットにマスクにクロックスってのがダメなんだ。ヒョウ柄のパーカーとか着てたらもー…、忍者の如くソッと消えるからな。
……ごめん、ちょっと脱線し過ぎたな。要は、俺達のちょっと先の道で喚くDQNカップルと、7人の男を何とかしたいんだよ。
はぁ…異世界にもDQNっていたんだなー…。女の方、ヒョウ柄の上着着てんなー…。
もしかしたら毛皮かも…。ヒョウに謝れ!!
「…うー……迂回して行けねぇの?」
「行けねェ事はねぇが…、悪いなコージ。アイツらにちょっと用が出来た」
「え? 知り合い?」
「まァ…、それなりにな」
オーマイガッ! じゃあ避けらんねーじゃん! くそう!! 無駄に顔が広いぜガレ!!
男達は剣を手にDQNカップルを囲んでいて、一見襲っているように見えるが…、手は出さずに言い合っているだけ。だから助ける必要もねーかと思ってたのに、ガレの知り合いだとは…。
テクテク歩いて行くと、DQNカップルも男達も俺達に気付いて、DQNカップルは何故か噛み付いてきた。
「ちょっ…ちょっとぁんたら!! 助けてょ!! 助けなぃと酷ぃ目に合ぅょ!!」
「…………」
ガレは無言でDQNカップルと男達の顔を見詰め、面倒臭そうにため息を吐いた。俺はガレの後ろに隠れて、様子見だ。
……ダサいって…、分かっとるわいそんな事! でも恐いんだよ仕方無いだろ! 実際に小文字多用で話す奴初めて見たよ!
「何見てんだテメェ…。さっさと失せろ!」
男達のリーダー格? が俺達に怒鳴る。
ビクッとして余計にガレにしがみつくと、後ろでヒョォォォって音と冷気が…。振り返ると、ロイがバリバリ戦闘態勢に入っていた。
「ガレ、用があるなら早く済ませないと…。ロイが今にも攻撃しそうだぜ?」
「そーだなァ…。すぐ済むと思うぜ。コージがネタバレしてくれたからな」
ガレが愉快そうに俺を見て、顎で男達を指す。俺もそっちを見ると…男達が真っ青なお顔でガレを凝視していた。中にはぷるっぷるに震えてる人もいて…産まれたての小鹿かな?
「お…お頭…?」
俺達に怒鳴ったリーダー格が、震えた声でガレに確認…って、え!? じゃあこの人達、『死神の吐息』!? ………はぁ~、良かった~! じゃあ攻撃される事はないかな! 良かった、本当に良かった~戦わずに済んで!
……てか、自分のボスの顔知らねーのかよ…。
「おう。ご苦労…と、言いてェところだが…何があった? 何でソイツらがこの地区にいる?」
「あっそうだコイツら! 俺らの縄張りで狩りやってたんすよ!!」
「ぁーしは、ゃってなぃっつぅの!!」
「テメェは黙ってろ! そっちの男、ザブリ盗賊団の一味で、森の向こうの道で商人を襲ってやがったんす!!」
「…ほぉ?」
側にいるから分かる。いや、側にいなくても分かるだろう。ガレの凶悪度が増した。
あ、ザブリ盗賊団ってのは、7000人くらいで構成された普通の盗賊団な。
盗賊団ってのは、地球で言うヤクザ屋さんみたいなもんで、それぞれ縄張りがあって、勝手に入って『仕事』をすると、殺されても文句は言えない。ただ、『死神の吐息』みたいな強力で巨大な盗賊団に手を出すと、大規模な抗争なる事も…。
『仕事』の内容は、ヤクザ屋さんより凶暴だ。商人や街人からお金を巻き上げ、殺って、美人さん達を拐っていく…んだけど。
『死神の吐息』には細かめなルールがいくつかあって、そのうちの1つは『薬物絶対禁止』。廃人になっていく人を大勢見たから、部下に同じ目には合わせたくないんだって。
それと、盗んだ物は全て『死神の吐息』の共有財産。ある程度は小遣いとして貰えるので、勝手に懐に納めちゃダメなのだ。
盗賊団にしてはきちんとした『死神の吐息』。頭が超絶有能なので、団員が捕まえられた事もあまりなく、それなりの生活がしたい盗賊は、こぞって入団を希望するとか。
言うなれば、『死神の吐息』はホワイト大企業みたいなもんだ。で、ガレは社長さん。その社長さんに求婚されてるなんて、実は俺、かなりスゴい立場? なんて思ったけど、俺はやっぱり女の子が好きだ。
「知らねェなァ!? つか良いのかよ!! 俺に手ェ出すと他の団員が黙ってねェぜ!!?」
ひぃーっDQNの大声恐いっ!!
うーっ、いきなり大声で怒鳴り出すから、こういう奴らは嫌いなんだよ…! うぅ…もうやだぁ…。さっさと行きたいのにぃ…!
「コージ、大丈夫だ。恐がる事はねェ。俺が何とかすっから」
ガレが振り返って、優しく微笑んだ。と、同時に後ろから引っ張られて、俺はロイの腕にスッポリと収まってしまった。
「…………」
「…………」
再び火花がバチバチバチバチ。
本当に、一体どうしたんだロイさんや。
*******************
はぁい(* ̄∇ ̄)ノ
メルです。
お気に入り2800、ありがとうございます!!!
いつもいつも、待ってました、のお言葉や、労いのお言葉に感動しております!!
皆様のお力があるおかげで…、いえ、むしろ皆様のお力だけでこの作品は成り立っています!!
これからも応援、よろしくお願いします!!
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