異世界転移したんだけど周りが全員過保護なホモだった件

メル

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死闘続発★ホモら共存編

寄り道したいお年頃

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冒険者2人と、盗賊団の頭と、その部下7人の何とも奇妙な旅が始まった。
目的地はオーディアンギルド。途中でナトリ領を挟んだ、およそ2日の旅になる。
ガレ達がいるので街には入らず、魔物の出る森や草原を突っ切るつもり…、だったんだけど……。

「……ナトリ、領?」



【17日前、リイサスさん宅の寝室にて。

『ならばたくさん知ってもらおう!! まず私はオーディアンギルドのギルドマスターで、身長は2メーセル23センチ、体重は102キロ、誕生日は5月17日の牡牛座だ。好きな食べ物はテットポッドの肉と甘い菓子。嫌いな食べ物は冷めたポテト。母は5年前に他界して今は父が王都で暮らしている。住所は1番街3…「まってまってまって!」む?』】


【10日前、リイサスさん宅の風呂にて。

《ルーク・アラウザの心情

心情察知は赤古龍に愛される事を条件に愛技吸収によって特別スキルとして取得可能です》



『…ルークさん、この前、教えてくれましたよね? 家が古龍の影響で~って』

『っ! あ、ああ。近くで古龍が数体暴れまわっているので危険と判断されたそこら一帯の地域住民は全員避難をしている』

『その古龍の中に赤古龍っていますか?』

『…いたと思うが……。赤古龍がどうかしたのかね?』

『いえ、なんでもありません…』】




………赤古龍……いる………?





********************


「おま…、赤古龍って……」

「危険過ぎる。いくらA級の俺と高レベルなこの人でも、コージを護りきれない」

「あ、いや…、護ってもらう必要はないんだけど…」

『絶対防御』があるし、余程の事がない限り命の危険はない筈だ。
一番の問題は…、愛される方法。多分、性的な意味じゃなくても良い気がする。性的な意味だったら俺の尻は壊れる。
……うーん、悩んでも仕方が無いか…。当たって砕けろ! いや砕けちゃダメだ!

「…ま、俺は構わねェよ」

「! ちょっと…!」

「俺はある程度事情は知ってっからな。コージなら大丈夫だろ」

ガレは理解してくれたみたいだ。ロイは無表情のまま焦ってるけど。

「大丈夫だぜ! 俺、レベルは低いけど強いから!」

「…………」

「本気出されれば国が吹っ飛ぶレベルでつえーぞ」

「!?」

俺が言っても心配そうな眼差しを向けていたロイだけど、ガレが言うと目だけで驚いた。それでも眉毛と口元はまったく動いてない。ほんと、徹底的な鉄仮面だ。

「………絶対に怪我しない?」

「おう!」

いざとなったら、逃げよう。話が通じれば良し。通じなければ……うん、ギリギリまで接近して、ダメだったら逃げよ。

「古龍は領主のいるナトリの街のすぐ傍で暴れていたそうだが、今はだいぶ落ち着いているらしい。いるのは大体3体前後。討伐に赴いた兵士は壊滅。知能があるかは不明。……行けそうか?」

「そーだなぁ…。接触には問題無いと思うけど…。警備とかいたらガレ達が入れないよな…」

「古龍が暴れてたのは街の外だから、警備はいないだろ。いたとしても俺らは付いて行くがな」

当然の如く言ってのけたガレ。それに巻き込まれた狐さん達はちょっと怖じ気づいたようなお顔だ。
申し訳ない…。でも、これが成功したら俺はルークさんから犯されずに済むんだ。だからちょっとだけ、ワガママに付き合ってください!





「なぁガレ。古龍ってどんな見た目してんの?」

パチパチ…ジュー

夜。森の中で焚き火をしながら、俺はガレに聞いた。
あ、結界は張ってるぞ。だから寝ずの番はいらない。
ロイは俺が結界魔法師って知ってビックリしてた。目だけで。

「あー…、でかいトカゲ?」

「こんな感じ?」

傍に落ちてた枝で、土にカリカリとドラゴンを描くとガレが頷いた。
ふーむ、古龍って西洋風な龍なのか…。東洋風の細長いやつっていないのかな。

「じゃあ、こんなのはいねぇの?」

カリカリと、蛇に髭と足を付けた絵を描くと、ガレがブハッwと噴き出した。許すまじ。

「wwwそりゃ龍だなw」

「…笑いすぎだぞ」

「wwwwww悪い悪いwww」

悪いと思ってねーだろ絶対!
怒ってるんだぞアピールで頬をぷくーと膨らませると、むにむにされた。

「(あれで付き合ってないんだぜ…)」

「(はぁっ!? 嘘だろ…)」

「(付き合われてたら困る。うちのギルマス達が暴れる)」

「(冒険者も大変だなー…)」

「(事情が特殊過ぎんだろ)」

団員さん達とロイがなんかヒソヒソ言ってるけど、聞こえないので気にしない。
……というか…、

「龍と古龍の違いって? 見た目だけ?」

「いや…、種族が違う。龍族と古龍族は別物だ。龍族は東の国々に生息していて、神の化身と崇める宗教も多い。逆に古龍族は、西の国々…、つまりここら辺にいて、悪魔と並び【魔】の象徴として忌み嫌われている。まぁ、人間じゃ手も足も出ねェような強い種族だから、手を出す間抜けはほとんどいねェな」

確かに、玉を7つ集めたら出てくる龍とか…、龍は神に近いイメージあるな。でもドラゴンはファンタジーとかでよく敵キャラとして出てくるし…。この世界でもそれは変わらないんだなー。

ジュージュー

「コージ、肉が焼けたぜ。熱いから気を付けろよ」

「もー、そんな小さな子供じゃねぇんだからぅあっちっ!!」

「ほらな。まったく可愛い奴だ。おら指見せろ」

ぐぬぬ…悔しいしヒリヒリする…。
ガレが水をかけようとするが、ロイが駆け寄って来てそれを制止。え? と思っていると、指先からヒュゥゥと冷気を出して冷やしてくれた。

「ひんやり~! ありがと、ロイ!」

「…雑菌、入れたくなかったから」

うーん気持ち良い。氷結魔法って火傷に良いな!

「…………」

「…………」

あれ…、なんかガレとロイがバチバチ火花飛ばしてる…? ガレが嫉妬して、ロイを睨むんなら分かるけど…、ロイさん? 落ち着いて? 何だか背筋まで冷えてきちゃったよ?

「……コージ、今日は俺と寝てくれるな?」

「なんだよいきなり…。…変な事、しない?」

「おさわりくらいならするかも知れん」

「……うむむ…」

「コージがいなくて、昨日眠れてねェんだ。頼む」

…ほんとだ。よく見ると、ちょっとだけクマが出来てる。
…しゃーねーなぁ。おさわりくらいなら、許してやるか。ついでに頭も撫でてやろう!

「はむっ、もちゃもちゃ…はむっ」

今食べているのは、森で襲って来たブラックウルフだ。
もちゃもちゃ…うん、美味しい。肉汁たっぷり。……でも、この世界に来てから肉ばっかりな気がするなぁ…。チーズとかじゃがいもは食べてるけど、全体的に野菜と魚が不足している気がする。久しぶりに鮭食べたいなー。

「なぁなぁ。鮭って魚、いる?」

「鮭? ……知らねェな…。魚は色々とリスクがあるから、あまり流通してねぇ」

ガレが首を傾げながら答えてくれたけど……、リスクって?

「川にも海にも魔獣とか怪魚が出るから、戦いにくい水の上じゃ死亡率が上がるだけ。それに、腹を壊す事もあるから、あまり売れない」

俺の疑問を察したのか、今度はロイが答えてくれた。
確かに、それじゃあ割に合わないなぁ。アニサキス、だっけ。魚にいる寄生虫。日本では安全に食べれてたけど、こっちじゃそうもいかないみたいだ。美味しいのに、勿体無い。アニサキスって焼いてもダメなんだっけ?

「独特の生臭さが嫌いって奴も多いしな」

あっ、その解決方は知ってるぜ! 酒を振ると良いんだよな! 母さんがやってた!
けど、魚がないのは悲しいな…。
もし俺がバリバリ料理する男だったら料理チートとか出来たんだろうけど…、残念ながら、俺はケーキとアイスしか作れねーんだよ…。康太郎にねだられたから作ってただけで…。
……ワーナーさんに、頼んでみようかな。でも忙しいかな。まぁ、物は試しか。

さてさて、夜も遅いし、疲れたし、やる事ないし、汚れを落とす魔法でも掛けて眠りますかね。









ガレは約束通り、変な事はしてこなかった。なでなでしてやるとガッチリ捕まえられて、たまにキスしてくるくらいで、エロい事はなんにも。
………ただ、隣から…具体的に言うと、ロイのいる方向からすっごい視線を感じたんだけど…、気のせいだよな、うん。




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