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第八章 ―もっと…楽で楽しい恋愛がしたかった…—
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さかのぼること、1時間前・・・
「どうして…?夏休みないのか?」
亮は眉を寄せたまま桂を訝しげに見つめた。
「あぁ…。そうだよ」
桂の返事に亮は、今度は明らかに怒ったような表情を浮かべた。そしてお得意の理屈を捏ねた。
「桂の大学は夏休みも取らせないのか?日本語教師はそんなに非人道的な職業なのかよ?労働基準法に違反してないか?」
桂はなぜ亮がこんなに夏休みに拘るのか分からず、困惑したように亮を見た。
相手は相変わらず不機嫌そうな顔を見せている。取り敢えず、事情を説明した方が良いと思い桂は丁寧に自分の仕事のサイクルを説明した。
夏休みが1年で一番忙しい事や毎年夏休みは取らない事。特に今年は大学以外の仕事もたくさん入った事などを言葉を選びながら説明を加えていく。
亮は桂のその説明を難しい顔で一応聞いていた。
さっき亮は夏休みを取ると言っていた。
「うちの会社、お盆の時期に2週間夏休みを取る事になっているんだ」
嬉しそうに桂に言った亮。
「優雅だなぁ…さすがだね。俺なんて、ずっと仕事だよ」
桂は?そう言いかけた亮の言葉が桂の返事で空に消えた。で…続いて出た言葉は今の桂を責めるようなせセリフだったのだ。
「…そんなに仕事ばっかなのか?」
妥協点を探るように亮がしばしの沈黙の後、そう言った。
「そんなにって言うか…一応いつも通り。月曜から金曜日の夕方までがセンターで…夜はプライベートレッスンが有るから。それに土、日は学習者のアクティビィティの引率もあるんだ」
それから…あぁそうそうと桂が話しを継いだ。
ジュリオさんの授業もあるし…横浜と東京案内をして欲しいって頼まれたんだ。ジュリオの名前が桂の口から出ると亮の肩がピクリと震えた。
「ジュリオと出かけるのか?」
なぜかその声は殺気を帯びている。桂を見る瞳は暗く翳っていて…怒りを押し殺したような亮の表情に桂は怯えた。
…俺…また何か地雷踏んだ…?
自分が夏休みを取らない事がどうして亮の地雷に触れるのか分からず桂はコクコクと頷いた。
「うん。ジュリオさん…あちこち見たい所あるっていってたし、それにMM21でやる美術展も見たいって言っていたからさ…俺…案内する約束したんだ。」
ジュリオの名前を聞いて少しでも亮の怒りが納まれば良いと思って桂は説明する。
それを聞いて亮が「分かった。」と一言低く返事をした。ソファから立ちあがると桂の体を抱き寄せる。
急に強く抱きしめられて桂の身体が、亮の腕の中で泳いだ。亮は暴れる桂に構わずきつく抱きしめると、ズルズルと寝室に桂を引きずって行った。
…やっぱり…俺なんか地雷踏んだらしい…
亮に強引に寝室に引きずり込まれながら、桂が絶望的になりながら考えた。何が地雷原なのかぜんぜん思い当たらなかった。
ベッドに押し倒されて、亮の手が忙しなく桂の洋服を剥ぎとっていく。桂はこれから自分を襲う甘くて苦しい地獄を思いながら…それでも亮を抱きしめていた。
「どうして…?夏休みないのか?」
亮は眉を寄せたまま桂を訝しげに見つめた。
「あぁ…。そうだよ」
桂の返事に亮は、今度は明らかに怒ったような表情を浮かべた。そしてお得意の理屈を捏ねた。
「桂の大学は夏休みも取らせないのか?日本語教師はそんなに非人道的な職業なのかよ?労働基準法に違反してないか?」
桂はなぜ亮がこんなに夏休みに拘るのか分からず、困惑したように亮を見た。
相手は相変わらず不機嫌そうな顔を見せている。取り敢えず、事情を説明した方が良いと思い桂は丁寧に自分の仕事のサイクルを説明した。
夏休みが1年で一番忙しい事や毎年夏休みは取らない事。特に今年は大学以外の仕事もたくさん入った事などを言葉を選びながら説明を加えていく。
亮は桂のその説明を難しい顔で一応聞いていた。
さっき亮は夏休みを取ると言っていた。
「うちの会社、お盆の時期に2週間夏休みを取る事になっているんだ」
嬉しそうに桂に言った亮。
「優雅だなぁ…さすがだね。俺なんて、ずっと仕事だよ」
桂は?そう言いかけた亮の言葉が桂の返事で空に消えた。で…続いて出た言葉は今の桂を責めるようなせセリフだったのだ。
「…そんなに仕事ばっかなのか?」
妥協点を探るように亮がしばしの沈黙の後、そう言った。
「そんなにって言うか…一応いつも通り。月曜から金曜日の夕方までがセンターで…夜はプライベートレッスンが有るから。それに土、日は学習者のアクティビィティの引率もあるんだ」
それから…あぁそうそうと桂が話しを継いだ。
ジュリオさんの授業もあるし…横浜と東京案内をして欲しいって頼まれたんだ。ジュリオの名前が桂の口から出ると亮の肩がピクリと震えた。
「ジュリオと出かけるのか?」
なぜかその声は殺気を帯びている。桂を見る瞳は暗く翳っていて…怒りを押し殺したような亮の表情に桂は怯えた。
…俺…また何か地雷踏んだ…?
自分が夏休みを取らない事がどうして亮の地雷に触れるのか分からず桂はコクコクと頷いた。
「うん。ジュリオさん…あちこち見たい所あるっていってたし、それにMM21でやる美術展も見たいって言っていたからさ…俺…案内する約束したんだ。」
ジュリオの名前を聞いて少しでも亮の怒りが納まれば良いと思って桂は説明する。
それを聞いて亮が「分かった。」と一言低く返事をした。ソファから立ちあがると桂の体を抱き寄せる。
急に強く抱きしめられて桂の身体が、亮の腕の中で泳いだ。亮は暴れる桂に構わずきつく抱きしめると、ズルズルと寝室に桂を引きずって行った。
…やっぱり…俺なんか地雷踏んだらしい…
亮に強引に寝室に引きずり込まれながら、桂が絶望的になりながら考えた。何が地雷原なのかぜんぜん思い当たらなかった。
ベッドに押し倒されて、亮の手が忙しなく桂の洋服を剥ぎとっていく。桂はこれから自分を襲う甘くて苦しい地獄を思いながら…それでも亮を抱きしめていた。
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