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第22話 本

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夕方になりようやく目が覚めた。昼寝から起きるといつも頭痛を感じる。僕は部屋のカーテンを開けて外を眺めてみた。家の前の公園では子供達が遊びまわり真っ赤に染まる夕焼けは、なぜだか僕に不安感を与えるとともに、不思議な気持ちをも与えた。

リビングに向かいお茶を飲むと、先日書店で偶然見つけた純愛ラブストーリーを手に取った。当時の僕は本など全く読まず、興味もなかったが書店の店頭に並べられていたその本がいきなり目に飛び込んできた。

「彼と彼女、純愛の末にたどり着く場所……
純愛ラブストーリー
大好評につき増版決定!!」

帯に書いてあった純愛という言葉に心が揺れたのだろう。気がつくと僕はその本を買っていた。

僕は部屋に戻り本を開いた。

ふと、時計を見ると2時間も経っていた。僕は本に夢中で時間を忘れていたようだ。これほど熱中したのは去年行われたテニスの公式戦以来で、まさか本にこれほど熱中させられるとは思ってもいなかった。このまま全部読み切ろうと思ったが、1日で読み終えるのは勿体ない気もしたので、ひとまず本を置いた。

彼のような生き方は僕には無理だ

現実世界に純愛って本当にあるのかなあ?

僕は風呂に入りながらあの本について考えていた。

あれほどモテる彼がなぜ、純愛を続けることができたのだろうか。なぜ、彼女1人を真っ直ぐに見つめることができたのだろうか。彼は色々な人と『それ』をしたくないのか?もし僕が彼のようにモテる人ならばきっと、『それ』のためだけに色々な女性とデートしているだろうに……

ご飯を食べることすら時間の無駄に感じるほど彼に対する興味は強く、風呂を出てすぐに続きを読み始めた。

ただ答えを求める少年のように……









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