仮面 ただ、それだけのため

SaisenTobutaira

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第21話 正月

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「おせち料理食べるから起きておいで」

母の声で目が覚めた。時刻は9時、いつも8時間睡眠の僕は睡眠不足のせいか強い眠気とともにリビングに向かった。リビングには華やかなおせち料理が並び、父や母はすでにお酒を飲んでいた。

「昨日帰ってくるの遅かったなあ。彼女とどっか行ってたん?」

「難波でカウントダウンしてから初詣行ってきた」

「そっかあ。ラブラブやなあ。
彼女どんな人なん?」

「ラブラブなんかなあ……
普通にいい人やで」

「写真見して?」

相変わらず母は僕の彼女に興味津々だ。僕は水族館でジンベエザメをバックに撮った写真を母に見せた。母に見せると父や兄、妹まで見たいと言い結局家族全員がまなみを見た。

「まなみさん可愛いやん!」

妹が僕に言い、続けて兄や父も同じようなことを言った。しかし、母だけは違うことを言った。

「あんたのタイプっぽくない子やから意外やわ……」

なぜ僕のタイプを母が知っているのか驚いた。外見のタイプはおそらくドラマやCMを見ている時に僕がこの人可愛いだとか言ったのを聞いていたのだろうが……
しかし、母は外見のみならず中身まで見透かしてタイプではないと言っていたようだった。

もしかすると母は僕の本音を見抜いていたのかもしれない。母は昔から僕に何かあるとすぐに気づく。例えば、小学校で喧嘩した日や何か大きな失敗をした日は1目見るとすぐに気づく。

「今日何かあったんか?」

と。本当にすごい

おせち料理を食べ終わるとお年玉をもらい、僕は自分の部屋に戻った。電気をつけずに部屋に入りベットに横たわり寝ようとしたが、その前にメールの返信をすることにした。

「おはよう。こちらこそありがとう!
土曜日予定空いてるよ~」

すぐに返信が来た。

寝られへんやん

「おはよう。おせち料理食べた?
やったー
土曜日は家族が実家に帰るから家デートしたいなあ」

「食べたよ。餅も美味しかったわ。
そうなんや。まなみは帰らへんの?
何時ぐらいの待ち合わせがいい?」

家デートってもう誘ってるのか?まだ付き合ったばっかりやのに……
やっぱり、尻軽女やなあ

「磯辺巻きめっちゃ好きで3つも食べちゃった。
帰らないよ~
おじいちゃん苦手なの・・
13時ぐらいにスーパーの前で待ち合わせはどうかな?」

「正月太りするで~
そっかあ!
スーパーって駅前の所やんなあ?」

「明日はご飯減らすし大丈夫!
毎年私だけ実家帰ってないの……
そうそう!」

「そっかあ!
じゃあ土曜日、駅前のスーパーに13時に行くわ~」

「楽しみにしてるね!
家デート緊張するなあ……」

嘘つけ

またもや僕はメールを返すことがめんどくさくなり、眠ることにした。












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