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36.ここの女性たちは僕が思うよりずっと

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 その日の夜もみなで夕食をと声をかけられた。
 おそらく前髪長男が招集をかけたのだろう。妊娠させたからマウントを取りたいのだろうか。アイツの種かどうかなんて実際にはわからないじゃないかとか負け惜しみみたいなことを思い、首を振った。
 僕たちが求められているのは種であって、独占欲や嫉妬ではない。それでもかやはちょっと思うところがあったらしく、いっぱい求めてくれた。

「旦那さまぁっ……もっと、ほしい、です……」
「かや……」

 そんなことを言われたらがんばっちゃうじゃないか!
 でもかやのほとが少し赤くなっているように見えたから回復魔法をかけた。

「旦那さまっ、旦那さまぁっ!」
「わぁっ!」

 かやはそれに感動したらしく、僕を押し倒して上に乗り、慣れない動きで腰を振った。あんまりかわいかったから下から感じるところを重点的に突き上げたらすぐにふにゃふにゃになってめちゃくちゃかわいかった。
 はーっ、がんばる黒髪美少女たまらん!

「あ……あ……」

 びくんびくんと震えてるかやはかわいくてもう独占したいと思ってしまう。でも独占してもし子どもが全く生まれなかったらとも考えてしまうので独占も危険ではあった。ヘタレだって? ほっとけ!
 あれ? この思考って実はやヴぁい?
 夕食に間に合うように広間へ向かうと、前髪長男が侍らしているロリが増えていた。三人もくっついている。これぞハーレムという姿だったが、妙齢の女性は一緒にいなかった。前髪が長い為目は見えないが口元が緩んでいるのがわかる。わかりやすいなと思った。

「ああ、君か。かわいい子を連れているね」

 今頃かやの魅力に気づいたようだ。

「かわいいよ」
「な、名前はなんていうんだ? 君もよかったら僕に抱かれてみるかい? すぐに子どもができるかもしれないよ……」
「うわ、キッモ」

 ロンゲが吐き捨てるように呟いた。「旦那さま」せりなさんがロンゲを窘める。ロンゲは昨日よりは調子がよさそうで、ちっと舌打ちした。
 そういうことはかやに任せてもいいのだろうか。それとも僕が口を挟むべきか? と思いながらかやを窺う。かやの顔は能面みたいになっていた。前髪長男は好みではなかったようで、内心ほっとした。

「かやは僕の世話係だから遠慮してもらえないか?」
「かやって言うのか。じゃあ、こっちの……お前、代わりにアイツのところへ行け」

 名前すら呼ばない態度に腹が立った。

「おい! それはいくらなんでも失礼だろう!」
「な、なんだよ……コイツらは種がほしくて僕に近づいてきたんだぞ! 名前なんか知らなくたって……」
「知らない?」

 僕は聞き返した。
 僕のところへ来た女性は必ず僕に名乗った。だからヤツの側に侍っているロリたちも名乗っているはずだろう。なのに知らないってどういうことだ?
 その理由はすぐに知れた。ロリたちがスッと目を反らしたのだ。どうもこのロリたち、名前を教えないまま前髪長男に乗っかっているらしい。逞しいことだと思った。
 つまり、ロリたちからしてもお互い様だったようだ。それならそれでいい。

「僕は今かやに夢中だから遠慮してくれ」
「……たった一人とか」

 前髪長男が鼻で笑った。

「ほ、他の女も知った方がいいんじゃないか?」
「知ってるから大丈夫だ」

 全くこんな会話ばっかりしてると飯がマズくなる。小平とロンゲはもうかまわないで飯を食べていたので僕もそれにならった。ここの女性たちは僕が思っているよりもずっと逞しい。
 また魚料理があって口元が綻んでしまった。

「おいしい」
「……旦那さまのお口に合ってよかったです」

 かやが嬉しそうに笑んだ。やっぱりかわいい。
 ロンゲは早々に食べ終えたらしく、「おい」と声をかけてきた。それに何故か前髪長男がビクッとした。

「何?」
「……昨夜の」
「ああ、いいよ」

 せりなさんの機嫌がとても良さそうだ。昨日はとても素敵な夜が過ごせたのかもしれない。ロンゲに昨日と同じく精力増強の魔法をかけてやった。

「サンキュ、な」

 小声で言われた。ロンゲにはせりなさんの攻略をがんばってもらいたいものである。
 前髪長男は機嫌が悪かったようで、勢いよく食べると「行くぞ!」と偉そうに言って広間を出て行った。わかりやすいけど、もう少し謙虚であってもいいのではないかと苦笑した。そういう僕はどうなんだって? 謙虚? 知らないなぁ。

「斉藤」

 小平に声をかけられた。

「災難だったな」
「ホントだよ。僕は今かやに夢中だからありえない」
「そうか。ゆかりさんはいいのか?」
「よくないな。ゆかりさんが戻ってきてくれたらまた側にいてほしい」
「そんなに精力が持つのか?」
「魔法があるし」

 小平は眉を寄せた。

「その……魔法というものはそんなに万能なのか? なにか対価を求められたりするものなんじゃないか?」
「え?」

 僕はかやを見た。

「対価……でございますか? 私たちは身の内の魔力を媒介として魔法を使っております。おそらく旦那さまは魔力がとても多いのではないかと……」

 かやは小首を傾げた。

「そういうものなのか? もし、俺が魔法を使いたいと思えば教えてもらえるのか?」

 小平は側にいる女性に尋ねた。

「そう、ですね。こればかりは運もございますので、必ず魔法を使えるようになるかはわかりませんが、お教えすることは可能です」

 女性はにっこり笑んだ。

「なら教えてくれ。斉藤、またな」
「ああ、また……」

 小平はいったい何がやりたいんだろうか?
 かやと一緒に風呂へ行くことにした。
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