悪役令嬢の早死にする母親に転生したらしいので、幸せ家族目指して頑張ります。

百尾野狐子

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監禁生活は蜜の味

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素女経そじょきょう、匂える園、カーマ・スートラは前世の世界三大性典として有名だったはず。日本にも戦国武将達が愛読していたらしい黄素妙論こうそみょうろんや、江戸四十八手などの性の指南書などがあったと記憶しています。
けれど、この世界の性の指南書については全く存じ上げません。セラフィナイトは深窓の令嬢でしたし、閨教育は乳母からの男性に全てお任せすれば良いと云うざっくりとした教えしか受けておりませんでしたから。
設定上のセラフィナイトは夫であるナハト様に監禁凌辱され、その後妊娠出産をして死亡しております。思いますに、セラフィナイトが閨の知識を持っていたなら、情熱的に抱かれ続けた事を凌辱とは捉えなかったのではないでしょうか。
何故なら、前世の知識を持つこの私、新生セラフィナイトにとって、突然始まった監禁生活でのナハト様による営みのアレコレは、ナハト様の愛の深さ故だと思えるからです。
「あ、あ、そこ…っ、はぁ、ああん、駄目ぇ…っ」
先ほどまでナハト様のお口で幾度となく潮を吹かされた私の花園は、ナハト様の漲った怒張を隘路いっぱいにして貪欲に咥え込んでおります。お腹の奥の奥まで届くナハト様の長大な欲望が、私の快感をこれでもかと増幅致します。
「セラ…っ…セラ…っ…貴女は、私だけのものだっ…」
ギシギシ、パンパン、ぐちゃぐちゃ、はぁはぁと、絶えず何処からか音が奏でられている寝台の上で、私とナハト様は長い時間睦み合っております。
一体どれ程の時間が流れているのでしょうか。
「や、や、あぁっ、また、ああっ!」
「うぐっ…っ」
プシュッとまた私達の結合部から透明な飛沫が出て、腰が砕けそうになるほど強烈な悦びによって隘路が収斂して中のナハト様の欲望を強く締め付けました。限界まで膨れ上がったナハト様の欲望が、情熱の証を私の中に刻みます。
背後からナハト様を受け入れているので、ナハト様が達した麗しいお顔を拝見出来ないのは残念ですが、ナハト様に支配されている感覚が強く味わえる後背位は、私が好きな性交位の一つです。
「…はぁはぁ…っ…セラ…」
立て続けに極みに達していたので、既に体力の限界は越えております。ナハト様に名を呼ばれても応える事が出来ません。声の代わりに応えたのは私の花園で、未だに私の中で存在感のあるナハト様の欲望を締め付けたのが自分でも分かりました。
ビクンと、ナハト様の欲望が痙攣し、再び硬く育って行くのが分かります。
「セラ…愛してる…こんな私を、貴女はまだ愛してくれているのか…」
どんなナハト様でも愛しております。但し、不貞行為だけは許せませんが。
「…あ…う…」
寝台に上半身を預け、お尻だけ掲げた獣のような体勢でいた私を、繋がった状態で私の片足を持ち上げてぐるりと体を反したナハト様は、ご自分の肩に私の脚を掛けて再び腰を突き上げました。
隘路は度重なる摩擦で感覚が麻痺していますが、お腹の奥は貪欲で、ナハト様の欲望に穿たれるのを歓喜しております。
「ん…ふ…っ…」
片足はナハト様の肩で、体を揺さぶられながら舌を絡め捕られ深く口付けられ、酸欠で意識が朦朧としてきました。余りに激しく重い快楽を与えられて、私はこのまま儚くなっても構わないとさえ思いながらまた絶頂の極みに達しました。少し遅れてナハト様が私の中で果てた感覚を最後に、私はまた意識を失いました。
「……う…」
私が次に目を覚ました時、残念ながらナハト様はお部屋にいらっしゃいませんでした。ちなみにお部屋は二十畳くらいの広さで、天蓋付きの寝台、テーブルとソファーに、バストイレ別付きのワンルーム仕様です。
体は綺麗にされて、裸にナイトガウンを纏っただけの姿で私は一人で寝台の上におりました。
寝台のリネンも清潔な物に変えられており、テーブルの上には軽食のサンドイッチと果物と常備薬が用意されておりました。至れり尽くせりです。
体は重く、目覚めた後も暫く動く事は出来ませんでしたが、喉の渇きを覚え、常備薬の服用をしなくてはならないため、根性で起き上がって這うようにテーブルへ辿り着きました。
凄いです、私。筋トレの効果は抜群です。設定上のセラフィナイトでは恐らく動く事は無理だった今の状態を、一人でなんとかこなせております。
ソファーに座って食事を済ませ、薬を飲みます。疲労回復の効果もある常備薬のお陰で少しは動けるようになった私は、お手洗いを済ませて歯を磨いた後は再び寝台に戻って目を閉じました。
恐らくは長丁場になるであろう監禁生活に備えて、眠れる時には眠って、ナハト様との閨事に挑まねばなりません。
目を閉じながら夢現に渦巻く疑問を自分なりに解決しようと答えを模索します。
突然始まった監禁生活ですが、振り返ってみれば予兆はあったのかもしれません。そうです、ございました。ナハト様のご帰宅の遅さです。時には帰宅出来ないほどの忙しさとは、仕事の出来るナハト様にしては余程の事なのです。
財務大臣職に就いているナハト様がお忙しくなる原因は、やはりお金に纏わる事なのでしょうか。もしそうであると仮定するならば、では何のためのお金でしょうか。財務大臣は、国のお金を上手く回すための機関の長でしょうから、それが上手く回らなくなったと云う事でしょうか。
国、お金、上手く回らない、不況、国力の低下と、連想ゲームのように少ない知識と情報を使って思考します。
「あ…」
思考の末に気付いた事は、今は結婚して三年経過していると云う事実です。
迂闊でした。設定から卒業できたと考えていたのは浅かったようです。
ゲームの設定では、セラフィナイトが王国ゾンネの王太子から側室にと求められる時期とセラフィナイトに秘匿されたナハト様との結婚デッドラインの三年と時期が合っております。つまり、三年経過した今の時期にナハト様がヤンデレのピークに達して暴走モードになってしまわれる時期だったのです。
しかし疑問は残ります。私は引きこもりを徹底しており、王太子との関わりは皆無なので王家から側室のお誘いが来る事は無いはずなので、ナハト様が病む原因とは思えません。既に公爵家の子を産んだ見た事もない私を王太子が側室に望むなどあり得ないお話しなのです。
それにしても、この国が一夫多妻制である事は知っておりますが、仮にも公爵夫人を側室に求める王太子って、どんな輩ですの?
噂では、ゾンネの王族らしく濃い金の髪と濃い青の瞳を持つ美男子で、中々優秀な後継者ではあるらしいです。現王の遅くに出来た唯一の王子で、確か現在二十歳で既に正妻がおられるはず。結婚して五年経っているけれど、まだお子を授かっておられないから、もしかしたら後継者を産んで欲しくて実績があり身分も釣り合う私を側室に指名した可能性はなきにしもあらずです。
ムムム、これはかなり正解に近いのではないかしら。
ナハト様は現王の娘の子で、実は王位継承権保有者なので、王家の血を継続させるために妻を差し出せと云う圧力をかけられていても不思議ではありません。無理矢理離縁させられないのは、私の実家が他国の、しかもかなりの名家であるからだと思われます。無理矢理したら、国際問題になってしまいますからね。
王位継承権の放棄を再三願い出ているナハト様にしてみれば、このようなしがらみ案件は本当に頭が痛い事でしょう。
ナハト様が私を監禁する理由を自分なりに考えて今はそれで自分を納得させます。
王家の要求と云う名の命令をナハト様がどのようにいなしておられるのかまでは分かりませんが、ナハト様が何の考えも無く私を監禁しているとは思えませんので、私が今出来るのはナハト様の求めるままに私の全てを差し出すだけです。
リヒトや邸の管理が心配ではありますが、私は皆を信頼しているので、私がいなくても恙無く日常を送っていてくれているはずです。私の生きる意味であるナハト様の幸せを優先するならば、今の監禁生活を楽しまなければ損なのです。
うふふふ。ええ、実はこの監禁生活は、私にとってはご褒美です。
だって、私がしている事はナハト様の事を考え、ナハト様に愛されているだけですから。多少体が辛くても、目眩く愛の讃歌なこの生活がご褒美でなくてなんなのですか。
ナハト様は恐らく、変わらずお仕事をこなされながら、私を抱きにこの部屋に戻ってきています。部屋を訪れる時間は決まっておらず、戻られた時に私が起きていれば必ず私を抱かれます。その際に会話らしい会話はございません。ナハト様が会話する事を避けていらっしゃるので、私も敢えて会話を振る事は致しません。
ただひたすらに、互いの存在に縋って愛欲に耽溺する時間を甘受しているだけです。
理性的なナハト様が、理性を捨てて私を貪る姿は愛しくて哀しく思え、前世も設定も関係なく、今の私が全身全霊で今のナハト様を愛している事に、何故か安堵を覚えたりも致しております。
「セラ……何故…貴女は何も聞かない?」
監禁生活が何日目なのか定かではございませんが、今のお部屋で食べるお食事は、今回で十四度目です。
今回のメニューは野菜たっぷりのコンソメ味のスープにパンとロールキャベツ、そしてカットフルーツです。
この部屋は出入りするための扉が無く、ナハト様は転移魔法で出入りしております。ですから、お食事もナハト様が持って来て下さいます。今日は、ナハト様がお食事を持って現れた時に私が起きていたので、営みより先にお食事を頂いております。
私が食事を済ませたら、いつものように営まれるのだと思っておりましたが、どうやらそうはならないようです。
「聞いたら、答えて下さるのですか?」
私はトマトベースのソースで煮込んだロールキャベツに舌鼓を打ちます。ムム、このキャベツの美味しさとこの味付けはシルフィード公爵邸の料理人達の味です。
「セラ…」
ナハト様が珍しく言い淀んでおります。ナハト様にとっては、ご自分の所行が断罪されるべき暴挙だと思っておられるのでしょう。フフフ。安心なさって下さいね、ナハト様。私にとっては至福の生活なのです。
「ナハト様、私、ナハト様を信頼しておりますの。ナハト様は、意味の無い事はなさらないでしょう?私がこの場所にいる事には意味があるのだと思っておりますし、何よりナハト様にたくさん抱いて頂けて本当に幸せですの」
柔らかな白パンを一口千切って食べ、またロールキャベツを食べます。ああ、美味しい。このキャベツはシルフィード産改良キャベツですね。この一年で広く知られるようになり、シルフィード公爵領の名産になっております。キャベツの他にも、小麦、ジャガイモ、さつまいも等の主食になる頼もしい農産物の改良化が進み、他領にも種籾や種芋、苗などの取引を行ってゾンネ王国の食物自給率の貢献に一役買い、更にシルフィード公爵家の資産も増やす良い結果を出しております。
これも全てはナハト様との愛ある生活の恩恵です。私が少しでも力を使えるようになったのは、ナハト様と私と護ってくれる邸の皆の努力の結果なのです。
「セラ…貴女は…」
ニコニコと笑う私を眩しそうに見たナハト様は、一度口を閉ざされて私が食べる様子をじっと見つめて下さいます。
美しいナハト様に見られながらのお食事は恥ずかしいですが、作って頂いたお食事は感謝しながら美味しく頂かなければなりません。
「貴女は、変わったな…」
私がカットフルーツのパインを口に入れた時、ナハト様はしみじみとした口調で呟かれました。
変わった、とは、どう云う意味で申されたのでしょうか。何となく不安が生まれ、ナハト様をそっと見つめました。
「ああ、すまない、悪い意味ではないんだ…」
私の不安を視線一つで気づかれるナハト様の、繊細なお心が尊いです。
「初夜の後…かな…。貴女はいつでも美しかったが、体調を崩して寝込んだ後の元気になった貴女からは、生命の美しさと力強さを感じて、以前よりも更に貴女に惹かれる自分を知って…恐怖を感じた」
「ナハト様…」
何と申せばよいのでしょうか。確かに私は前世を思い出す前と後では物の捉え方がより前向きになったとは思います。けれど、私はセラフィナイトです。別人になったわけではございません。
「恐怖とは…何ですか?」
「益々美しくなるセラを誰かに捕られるかもしれない恐怖…私自身がセラを傷付けて失なう恐怖…貴女は知っているだろう?私が必死に隠している狂気を…。私には、貴女以外、私だけの物が何も無いと云う事実を…」
ナハト様はご自分のお顔を掌で覆いながら項垂れました。
勿論、存じ上げております。ナハト様の表に出さない苦悩を。
ナハト様は設定では記されていないご自分の出自を知っていらっしゃいます。勿論、私は教えて頂いた事もございませんし、ナハト様の本当のお父様がどなたかも存じ上げません。けれど、長い時間をナハト様と共に過ごしてきた私には、何となく分かってしまう事もございます。
いつの頃か、ナハト様はご自分の遺伝子上の父親が誰なのか知り、父親として精一杯情をかけて下さった母親の夫である前シルフィード公爵様の苦悩を知り、ナハト様を虐待する義理母と義理兄の悲哀を知り、人知れず苦しんでおられました。
各々が各々の事情と苦しみを抱えながら必死に生きる人生を、見て、知り、感じるナハト様は、繊細なお心が傷付き痛みを感じながらも、必死に前を向きながら生きてこられたのです。
そんな中で出会い、惹かれ、唯一だと思えた私と云う存在が、ナハト様にとってどれ程重要で得難い宝なのかは、想像に難くないのではないでしょうか。
その宝を失なう恐怖とはどれ程の物なのでしょう。
「ナハト様…、私は、ナハト様がご自分を信じられなくとも、私は貴方を信じ続けられますの。例え貴方が私を殺しても、そこに私への愛があるなら私は本望なのです。私が恐れるのは、ナハト様の愛と笑顔を失なう事だけなのです」
ナハト様に負けず劣らぬ私の病んだ言葉の数々に、ナハト様は泣き笑いの表情を浮かべ、ソファーに座る私の背後に回って私を抱き締めて下さいました。
おお、これはバックハグですね。ああ、やはり後ろから包み込むように抱かれると、安心感が倍増です。
「セラフィナイト…」
震えるナハト様の美しいお声に誘われて肩越しに振り返った私の唇に、ナハト様は慈しむような口付けを下さいました。
薄いけれど、触れれば柔らかなナハト様の唇に、私はうっとりとしながら吸い付きました。
お互いに目は閉じず、ぼやけた視界の中でナハト様の唇の感触を楽しみます。
深いキスも官能的で大好きですが、啄むような優しいキスも気持ちが高揚してきて大好きです。唇を吸われると、腰がぞくぞくするのは何故なのでしょうか。互いの唇を吸い合い、ジンジンと痺れて腫れぼったくなる感覚に、私はとうとう耐えられずに目を閉じました。
「セラ…愛している」
ナハト様の祈るような口調の告白に、私は目を閉じながら微笑みました。
「ナハト様…私も、愛しております」
私の告白にナハト様も微笑まれた気配がしました。私は両手を伸ばしてナハト様の抱擁をせがみ、ナハト様はそれに応えて軽々と抱き上げて下さいました。
結婚三年経過しても互いに飽きる事なく、毎日好きが積み重なって行く相手に出逢えたのは決してゲームの設定だからではないはずです。私と云う魂と、ナハト様と云う魂が出逢い、惹かれ、理解し合い、受け入れ合う努力を積み重ねていった結果が、今なのだと思います。
病んだナハト様に監禁凌辱される事に怯えていましたが、私のナハト様への愛に勝る物はございませんでした。
さぁ、ナハト様、どんな事でも受け入れてみせますわ。ドンと来い、なのです。
物事の捉え方次第で幸せは増えて行くのを、私は前世を思い出した事でより確信しました。以前のセラフィナイトも、強い心で頑張っていましたが、新生セラフィナイトには及びません。きっと、ナハト様が仰る変わったと云うお言葉は、そういう事なのだと思います。
設定上のセラフィナイトが、今の監禁生活を良い方向に捉えられなかったから、恐らくナハト様の闇を増幅させてしまって悲しい結末を迎えてしまったのでしょう。
「セラ…集中出来ないか?良くないか?」
「や、あ、違っ…ああ…」
ナハト様は寝台に私を運ぶと直ぐに衣服を脱ぎ、覆い被さってきて下さいました。今は私のお胸を愛して下さっています。大きな手で強めに捏ねるように揉まれ、尖る先端は優しく舌で弾いて下さいますが、それがもどかしくて体が無意識に捩れてしまいます。
下半身は触れられていなくても既に期待で濡れていて、いつでもナハト様をお迎えできる状態のはずですのに、ナハト様に放置されていて益々濡れてしまっています。
「淫らになったな…セラ…」
私の状態を知っていても尚放置されているナハト様は、やはり意地悪です。
「ナハト様が…私を淫らにしたのですわ…」
はぁはぁと、喘ぎながら言葉を返す私に、ナハト様は嬉しそうに微笑まれました。ああ、なんて優しい瞳の色。意地悪の奥に隠された優しさと繊細さに、私の心もお腹の奥もキュンキュンしてしまいます。
「もっと淫らになってくれ」
お胸を愛して下さっていた唇が、私の唇に吸い付いて来てくれました。ああ、美味しいです。唾液を含んだナハト様の熱い舌に私は吸い付き、赤ちゃんのようにチュウチュウと吸い込みます。
「ふ…ん…」
私の動きに感じて下さったのか、ナハト様が気持ち良さそうに鼻を鳴らします。
「んん…っ」
深い口付けをしながら突然体を反転され、私が上になる体勢をとらされたので、私は嬉々としてナハト様の熱を孕んだ中心に濡れた花園を擦り付けました。ヌチャヌチャと、それはいやらしい音が致します。
「フフ…もう我慢出来ないか?」
私の頬を掌で包みながら、幾度も角度を変えて口付けをして下さるナハト様が、笑いながらからかってきます。
「んん…っ…はぁ…はい…欲しいです…」
両腕を寝台に突いて、腕立て伏せのような姿勢をとりながら、私は素直に頷きます。フフ、筋トレの効果が閨に活かされております。
「セラのいやらしい蜜を先ず味わってからと思っていたんだが…今直ぐ欲しい?」
既に硬く丸い先端を濡らした怒張を私の花園の入り口に軽く入れては抜く動きをしながら、ナハト様は微笑みました。ぐう、なんて意地悪で色っぽいのでしょう。
そういえば、騎乗位で抱かれた事はあっても、自分から跨がって挿入した事はございませんね。いつも翻弄されるばかりで、私が主導権を握った事はございません。
「ナハト様」
私はにっこりと笑いながら、上半身を起こしてナハト様の怒張を手で固定しました。
「セラ、ちょっと待っ」
私の動きを直ぐに察したナハト様が、若干慌てた顔をされるのを見ながら、止められる前にナハト様を一気に飲み込もうとしました。
「セラっ、ぐっ…っ」
「あうっ、いっ、ああ…っ」
濡れに濡れていたので簡単に飲み込めると思っていた私が浅はかでした。ナハト様の大きさを甘く見ていました。半分ほど飲み込んだ中途半端な状態で、私は泣きそうになりました。にっちもさっちも行かないとは、こういう事なのでしょうか。
「セラ…体の力を抜きなさい」
ぎゅうぎゅうと締め付けられてナハト様も痛みを感じているはずですのに、ナハト様は何事も無いように冷静に導いて下さいます。それに安心した私の体は、深い深呼吸の後ゆっくりとナハト様を奥まで飲み込んで行きました。
「あ……っ…はぁ…っ、ん…」
もの凄い圧迫感です。この体勢で自分で飲み込むと、ナハト様の存在感を実感致します。私、今まで良くもこれ程の存在感を受け入れてきたと思います。確かに、初夜の最初は激痛でした。沢山準備をして下さっても、初めて受け入れたのがこの大きさなら、破瓜の衝撃で前世も思い出すと云うものです。私は何だか可笑しくなってきて、ついつい笑ってしまいました。
「…っ、セラ…?大丈夫か?」
笑いの振動が繋がっているナハト様にも伝わってしまい、迂闊にも心配させてしまいました。
「ねぇ、ナハト様…」
私は笑いながらナハト様を見下ろします。
「私の愛を受け取って下さいまし」
私はナハト様の引き締まった腹筋に両手を突いて体を安定させると、腰をいやらしく前後に振りました。
「うっ…」
お腹の奥の奥でナハト様を引き絞っている私の花園が、私の動きに連動して蛸壺の中の蛸のように吸い付き、絡み付き、中のナハト様をびくびくと痙攣させました。
眉間に皺を寄せるナハト様の快感をやり過ごす色っぽいお顔が、私のヤル気スイッチを押しました。
脚を踏ん張り、体ごと上下に動かしながらナハト様の怒張を扱き上げ、単調にならないように腰をいやらしく回したりもします。
「あ、ん、ん、はぁ、んん…はぁ…っ」
自ら動く騎乗位は疲れます。ナハト様は粘り強くて、容易に達しては下さいません。けれど、私の愛を見せるためにも、私がナハト様を快感の頂きに誘いたいのです。
私が動く度に、私の豊かなお胸も揺れます。ナハト様は私のお胸を手で掴まれ、先端の尖りを刺激してきます。ああ、駄目です、そんなに擦らないで下さい。引っ張らないで、奥に押し込まないで、弾いては駄目です。
「はぁ、はぁ、ああ…っ、ナハト様…っ」
息が乱れて苦しいです。私は既に幾度も軽い絶頂を迎えていますのに、ナハト様はまだ余裕がありそうで焦ります。
「…ん…っ…セラ…もういいから…セラの想いは受け取ったよ」
ナハト様は私の体を引き寄せて抱き締め、また反転して私の上に覆い被さりました。
「何故、ですか…?気持ち良くは、ありませんでしたか…?」
悔しくて情けなくて自然と流れる涙を、ナハト様は優しく舌で舐め取りながら苦笑をその唇に滲ませました。
「そろそろ、体が限界だろ?セラの心臓ここには、まだ自分で長く動くのは負担になる」
優しく諭すように告げながら、私の胸元の心臓がある部分をナハト様は慈しむように撫でました。
「必ず貴女の病を治してみせるから…だから…騎乗位で私をイカせるのは、それからにしてくれ」
ナハト様は私の額に優しく口付けを落とし、まるで婚姻の誓いのように真摯に告げました。素敵です。けれど、私達の下半身は繋がったままなのです。
「ナハト様…」
「フフ…、こんな体勢の時に言う言葉じゃないな」
「あ!」
ナハト様は照れ隠しなのか、私が何か言う前に腰の動きを再開させました。
ナハト様に突かれる度に気持ち良いが全身に行き渡り、私は安心して絶頂の波に乗り上げました。
「あ、く、締まる…っ」
ナハト様は私の花園の動きに堪えきれなかったのか、熱い情熱の証を私の奥深くに注ぎ込まれました。
監禁生活を恐れていた私は何処に行ったのか、私はナハト様が苦笑するくらいこの閉鎖空間でのラブラブ生活を満喫しております。
まるで新婚時代に戻ったようです。リヒト達の事を考えれば罪悪感は抱きますが、時に背徳は蜜の味と申しますか。時間が許す限り、私はこの蜜の味を堪能しようと誓いました。
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