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番外編・取り違えと運命の人 小話集

180 声を聞かせて ③

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「イクのに慣れたらたぶん恥ずかしくなくなるから、いっぱい感じようよ」

 そう言ってリカルドが私の背中をなでるけど、恥ずかしくて全然そんな風に思えない。

「いやぁ……恥ずかしい……。恥ずかしいよう……」
「……いや、恥ずかしいままでもいいのかな?」

 思い直したようにリカルドが言う。

「ジュリエッタ、恥ずかしがってる時、すごく気持ちよさそうだもんねえ」

 私は今たぶん真っ赤になってると思う。

「こういうことについてのジュリエッタの言葉は素直じゃないけど、反応は素直だから、反応を優先しよう」

 そう言ってリカルドは私に覆いかぶさってきた。

 さっきまでと違って、今リカルドはゆっくり動いている。じっくり丁寧に行為を楽しんでる感じ。味わっている。味わわれている。

「んっ……んっ……」
「気持ちいい?」
「う、ん……気持ちいい」

 そう言うとリカルドは動きを止めずに少し上を向く。動きながらもしばらく思案顔だったリカルドが、もう一度私を見てこう言った。

「でも、まだイッちゃだめだよ」
「え……」

 予想外の言葉に思わずリカルドの顔を見る。

「どういう……」
「気持ちよさそうだけど、まだイッちゃだめ」

 そう言ってリカルドはにこにこ笑う。

「い、いつもは、早くイカせようとするのに……」
「うん。今日はいろいろ試してみようと思って」

 そう言ってリカルドはゆっくり動き続ける。
 イッちゃだめ、とわざわざ言われると、却って気になってしまう。そもそもこの行為は秘められたもので。リカルドがいっぱい感じてっていうから私の意識はずいぶん開放的になったけど、ほんとはいけないことだ、という思いがよみがえる。
 そして、そう思うことでなぜか私の秘所は締まってしまって、余計気持ちよく感じてしまう。いけないことなのに。
 しばらくしてなんの前触れもなくリカルドが動きを止め、私に問いかけてきた。

「ねえ、ジュリエッタ」
「な、あに……?」
「禁止されるの、すごくいいみたいだけど」

 イッちゃだめと言われて余計感じていることがリカルドにバレていて、本当にいたたまれない。私の顔を見てリカルドは微笑み、静かに続ける。

「この後どっちがいいか、選んで」
「この後……?」
「うん。ひとつは、このままゆっくり攻めてジュリエッタが高まったらイッていいよって許可するやつ」

 恥ずかしい。浅ましく許可を求めてるみたいで。

「そしてもうひとつは」

 リカルドが私の耳元に口を寄せる。

「イッちゃだめって禁止されてるまま、俺に攻められて無理矢理イカされちゃうやつ」

 リカルドの声がなんだか色っぽくて。思わずどきっとした。

「ジュリエッタ、正直」

 そう言ってリカルドはくすくす笑う。正直?

「無理矢理、してあげるから、イッちゃだめだよ」

 私が回答しないうちに、その先は決まってしまった。
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