【R18】取り違えと運命の人

テキイチ

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番外編・取り違えと運命の人 小話集

164 秋は月 ①

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「ただいま」
「おかえりなさい!」

 仕事から帰るとジュリエッタに笑顔で出迎えられた。この笑顔を見ると、疲れなんか吹き飛んでしまう。一緒に暮らし始めた半年ほど前は、もっと表情がぎこちなかったことを思い出す。はにかんだような笑顔も可愛かったけど、今の笑顔の方がずっとずっと魅力的で、愛しい。

「今日、すごく明るい満月だよ。ごはん、外で食べない?」
「そうなの?」

 そう言うと、ジュリエッタは窓から外を見る。

「ほんとだ! ずっと台所でごはん作ってたから、全然気づいてなかった。うん、外で食べよう!」

 庭に布を敷いて、四隅に石を置き、家へ戻って料理を取ってきた。数往復して全部運び終えたので、食べることにする。

「いただきます!」
「どうぞめしあがれ」

 ジュリエッタがにっこり笑って答えてくれる。

「外で食べるのも素敵ね」
「今日は布敷いたけど、テーブルと椅子があるといいかもしれない。今度の休みに作ろうかな」
「うん! ぜひ作って。昼間にも使えるから助かる!」

 ジュリエッタはとっても優しくて、俺の思いつきに笑って付き合ってくれる。臆せずに提案できるし、楽しいし、居心地がいいなあと思う。

「いつも、ありがとう」
「え? なにが?」
「急に提案しても受け入れてくれるから」
「ん? むしろ提案してくれて助かるんだけど? 嫌だったり、他にしたいことがあったら、ちゃんと言うし」
「そっか」

 無理強いしてなくてよかった、と安心する。

 二人ともおいしくごはんを食べ終えたけど、秋の夜は存外心地よくて、そのまま外でぼんやりと過ごしていた。特に会話もなく。
 嫌だったら言うって、言ったよね。そう思いながら、ジュリエッタの膝にそっと頭を乗せてみる。

「リカルド、急になに……」
「膝枕、結構憧れだった。だめ?」
「……いいけど」

 ジュリエッタは顔を赤らめながらも許してくれる。よかった。
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