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本編・取り違えと運命の人
072 騎士はお姫様がいるからがんばれるんだ ①
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「今度の休みはどこに行こうか」
リカルドが家に来てから、リカルドの仕事が休みになるたび、どこかに外出するのが定番になっていた。
「少し遠出してみる?」
「そうだね。この町のお店とか施設もだいぶ回ったし、記念に、このへんで趣向を変えてみようか」
記念? そう言われてはっとする。そうか、今度の休みで、リカルドがこの家に来てからちょうど一年だ。
「そうね。……うーん、私達が一緒になったきっかけの、神託を下す神殿の町に行ってみる?」
「いいね! 日帰りで行ける距離だし、お礼参りにちょうどいい」
「お礼参りって、なんか任侠の世界みたいね」
二人で笑い合う。
リカルドと一緒だと、ほんとにくだらないことでも笑ってしまう。最初は、リカルド、理想のタイプと全然違うし、なんだか元気すぎて、うまくやっていけるかな? って少しだけ心配だったけど、そんなのは杞憂で。一緒にいるとすごく楽しいし、妙にテンポが合う。リカルドは元気だけど、せかせかしてないから、無理なく過ごせてるんだと思う。こういうのが、しっくりくるっていうのかな。神託を申し込んで、ほんとによかった。
この一年、特に大きななにかがあった訳じゃない。でも、なにげない日常が、リカルドと一緒なだけでとても楽しく感じて、かけがえのない一年だったと思う。二人の仲もよくて、お互い仕事もうまくいってる。なんの不満もない平穏な日々。これがずっと続くんだったら、きっと幸せな人生なんだろう。
「ジュリエッタ……」
リカルドが切なげな声で私の名をささやきながら愛撫する。夜の方は週二、三回くらい誘われるけど、もうすっかり痛くないし、リカルドはいつもとても丁寧にさわってくれるから、恥ずかしくはあるけど、全然嫌じゃない。最初の頃と比べたら、気持ちよくなってもいるし、たぶん、うまくいっているんだと思う。
「珍しく、リカルドが先に寝ちゃった」
リカルドは意外と心配性で「終わったあと男がすぐ寝ちゃうと、女の子は愛されてないと勘違いして冷めちゃうんでしょ?」とか言って、めったに先に寝ない。そんなの全然気にしなくていいのに。というか、私は疲れてそのまま寝ちゃうこと、結構ある。ごめん。
「疲れてるのかな……? でも、寝顔見ることあんまりないから、ちょっと得した気分」
リカルドはいつもよりも少し凛々しい顔で眠っている。いわゆるハンサムじゃないけど、私、リカルドの顔、好きだな、と、なんだか惚れ直して眠りについた。
リカルドが家に来てから、リカルドの仕事が休みになるたび、どこかに外出するのが定番になっていた。
「少し遠出してみる?」
「そうだね。この町のお店とか施設もだいぶ回ったし、記念に、このへんで趣向を変えてみようか」
記念? そう言われてはっとする。そうか、今度の休みで、リカルドがこの家に来てからちょうど一年だ。
「そうね。……うーん、私達が一緒になったきっかけの、神託を下す神殿の町に行ってみる?」
「いいね! 日帰りで行ける距離だし、お礼参りにちょうどいい」
「お礼参りって、なんか任侠の世界みたいね」
二人で笑い合う。
リカルドと一緒だと、ほんとにくだらないことでも笑ってしまう。最初は、リカルド、理想のタイプと全然違うし、なんだか元気すぎて、うまくやっていけるかな? って少しだけ心配だったけど、そんなのは杞憂で。一緒にいるとすごく楽しいし、妙にテンポが合う。リカルドは元気だけど、せかせかしてないから、無理なく過ごせてるんだと思う。こういうのが、しっくりくるっていうのかな。神託を申し込んで、ほんとによかった。
この一年、特に大きななにかがあった訳じゃない。でも、なにげない日常が、リカルドと一緒なだけでとても楽しく感じて、かけがえのない一年だったと思う。二人の仲もよくて、お互い仕事もうまくいってる。なんの不満もない平穏な日々。これがずっと続くんだったら、きっと幸せな人生なんだろう。
「ジュリエッタ……」
リカルドが切なげな声で私の名をささやきながら愛撫する。夜の方は週二、三回くらい誘われるけど、もうすっかり痛くないし、リカルドはいつもとても丁寧にさわってくれるから、恥ずかしくはあるけど、全然嫌じゃない。最初の頃と比べたら、気持ちよくなってもいるし、たぶん、うまくいっているんだと思う。
「珍しく、リカルドが先に寝ちゃった」
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