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本編・取り違えと運命の人
073 騎士はお姫様がいるからがんばれるんだ ②
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休日前日。リカルドはごきげんな様子で帰宅した。
「ただいま!」
「おかえりなさい。なんかいいことあった?」
「わかる?」
「わかる。いつもよりもっとにこにこしてる」
「こないだ社内昇進試験受けたんだけど、今日合格もらったんだ!」
「わあ! おめでとう!! ……あ、お祝い、明日と思って、今日は普通のメニューだ。言っておいてくれれば、ごちそう作ったのに!」
「言っておいて不合格だったら、格好つかない」
そう言ってリカルドは笑う。
こういうの、絶対言わないんだから。
あ、こないだ先に寝ちゃったのは、もしかして、試験対策で疲れてたのか、と今更気づく。私がもっと気を配ってあげないといけないけど、もう一年も一緒にいるんだから、リカルドも私に頼ってもっと甘えてくれたらいいのにな。
「そんな訳で、来月から役職が付くので、少し給料が上がります!」
「わあ! おめでとう!! おこづかい増やすね!」
「ええ?! そっち? 貯金とか家のこととかに使ってもらえればと思ってたんだけど」
「そこらへんは今でも充分だから。もっと自分のことに使ってよ、リカルド」
「ええと、その、ほら、結婚して一年経つから、ちょっと男として頼りがいのあるとこを見せたかったんだけどなあ」
「もう、充分頼りにしてるから。リカルド、むしろ、私にもっと頼ってよ」
「ええ?! 俺の方こそ、もう、充分頼っちゃってるんだけどなあ。ごはん毎日すごくおいしいし、給料もちゃんと管理してもらってるし、なにより」
そこでリカルドは一息ついた。なんだか少し言葉を探してる風に目を泳がせて、もう一度私の目を見て続ける。
「なにより、ジュリエッタが一緒にいてくれるから、俺、がんばれるんだ」
「……騎士は、お姫様がいるからがんばれるんだね」
「そう! そんな風にかっこよくたとえられたことなかったから、俺、すごく嬉しかった!」
「私こそ……」
「ジュ、ジュリエッタ?どうしたの?!」
「今まで、彼氏もいなかったし、そもそも可愛い女の子扱いされたこともなかったから、お姫様にたとえられたの、すごく、びっくりしたの」
リカルドはあわてて袋からハンカチを取り出し、私の頬を拭う。そして、なんだか叫ぶように続ける。
「ええと! 俺、ほんと、ジュリエッタの周りの男達が、見る目ないかヘタレでよかったなって思ってて!」
リカルドがなにを言いたいのかよくわからなくて、思わず首をかしげる。
「ただいま!」
「おかえりなさい。なんかいいことあった?」
「わかる?」
「わかる。いつもよりもっとにこにこしてる」
「こないだ社内昇進試験受けたんだけど、今日合格もらったんだ!」
「わあ! おめでとう!! ……あ、お祝い、明日と思って、今日は普通のメニューだ。言っておいてくれれば、ごちそう作ったのに!」
「言っておいて不合格だったら、格好つかない」
そう言ってリカルドは笑う。
こういうの、絶対言わないんだから。
あ、こないだ先に寝ちゃったのは、もしかして、試験対策で疲れてたのか、と今更気づく。私がもっと気を配ってあげないといけないけど、もう一年も一緒にいるんだから、リカルドも私に頼ってもっと甘えてくれたらいいのにな。
「そんな訳で、来月から役職が付くので、少し給料が上がります!」
「わあ! おめでとう!! おこづかい増やすね!」
「ええ?! そっち? 貯金とか家のこととかに使ってもらえればと思ってたんだけど」
「そこらへんは今でも充分だから。もっと自分のことに使ってよ、リカルド」
「ええと、その、ほら、結婚して一年経つから、ちょっと男として頼りがいのあるとこを見せたかったんだけどなあ」
「もう、充分頼りにしてるから。リカルド、むしろ、私にもっと頼ってよ」
「ええ?! 俺の方こそ、もう、充分頼っちゃってるんだけどなあ。ごはん毎日すごくおいしいし、給料もちゃんと管理してもらってるし、なにより」
そこでリカルドは一息ついた。なんだか少し言葉を探してる風に目を泳がせて、もう一度私の目を見て続ける。
「なにより、ジュリエッタが一緒にいてくれるから、俺、がんばれるんだ」
「……騎士は、お姫様がいるからがんばれるんだね」
「そう! そんな風にかっこよくたとえられたことなかったから、俺、すごく嬉しかった!」
「私こそ……」
「ジュ、ジュリエッタ?どうしたの?!」
「今まで、彼氏もいなかったし、そもそも可愛い女の子扱いされたこともなかったから、お姫様にたとえられたの、すごく、びっくりしたの」
リカルドはあわてて袋からハンカチを取り出し、私の頬を拭う。そして、なんだか叫ぶように続ける。
「ええと! 俺、ほんと、ジュリエッタの周りの男達が、見る目ないかヘタレでよかったなって思ってて!」
リカルドがなにを言いたいのかよくわからなくて、思わず首をかしげる。
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