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奏輔の悩み
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男という生き物は、基本的には挿入したいし、射精したい生き物だと思う。
子孫を残さなければならない脊椎動物として、それはもう至極当然な、まっとうな欲求だと思っている。
が、世の中にはそのまっとうな欲求が通せないやつもいるのだ。
EDが有名な例だが、僕はなにも勃たないわけじゃない。多少勃ちづらいが、ちゃんと勃つ。むしろ問題はその後、僕はちょっと、早いのだ。
女の子すべてが絶倫男子好きだとは思わないが、早いのはわりと嫌がられる。
絶倫男子は理性を鍛えて女の子に合わせられるが、早いのはそういうわけにもいかない。
勃ちにくいわ、あっという間にイッてしまうわでは、女の子を満足させてあげるのは難しい。
ただでさえ、女の子はイキにくい。イッたことのない女の子も多いくらいなのだ。
もともとは「ちょっと早い」程度だった僕は、そうやってぐるぐる考えている間に、あまり勃たなくなった。
あくまで精神的なものだから、一人でエロ画像を見ているような時なら普通に勃つ。ただし、AVみたいな『役』があるものはダメだ。妙に現実的に見てしまって、勃たないことも多い。
「自分はしなくてもいいんですか?」という姫の問いは、至極正しかった。
だいたい、どのエロ作品を見たって、最終的にはセックスをする。
ただ、今回に限っていえば、僕は現状維持で良いらしかった。
姫の性癖の最大の難点は、セックスそのものにはあまり興味がないことだった。そりゃあ、この特殊性癖の上に「本番はしたくない」なんて、普通の男には捌き切れない案件だ。
彼女の性癖をあれだけ暴いておいて、自分だけ誤魔化すというわけにはいかなかったので、僕は姫に正直に話した。
勃ちにくく、勃ってもすぐイッてしまうのだと話すと、彼女は目を丸くしていた。引かれたかと思ったが、彼女はセックスに興味がないので、勃たなくても歓迎だし、勃ったら入れていい、早いのなら歓迎だとさえ言った。
勃たなくてもいい、か。
言われたことがないわけじゃない。
昔付き合っていた恋人にも言われた。
が、意味が違う。恋人は僕を慰めたり、関係を続けるための妥協案として言ってくれただけだ。それはつまり、彼女の願望とは異なる。
姫の場合は、僕がパートナーとして心底好都合なのだ。
とはいえ、なんとも気分は晴れない。
姫とは利害が一致していて、彼女との背徳的な時間は楽しい。卑屈になる必要もない。
そうか、と思い至る。
別に、僕自身が肯定されたわけではないからだ。
僕は姫にとって都合が良いだけで、恋人でもない、セックスしないセックスフレンドなんだ――
ごろり、と寝返りをうって、目を閉じる。
明日は土曜日、姫の来る三度目の日だ。
子孫を残さなければならない脊椎動物として、それはもう至極当然な、まっとうな欲求だと思っている。
が、世の中にはそのまっとうな欲求が通せないやつもいるのだ。
EDが有名な例だが、僕はなにも勃たないわけじゃない。多少勃ちづらいが、ちゃんと勃つ。むしろ問題はその後、僕はちょっと、早いのだ。
女の子すべてが絶倫男子好きだとは思わないが、早いのはわりと嫌がられる。
絶倫男子は理性を鍛えて女の子に合わせられるが、早いのはそういうわけにもいかない。
勃ちにくいわ、あっという間にイッてしまうわでは、女の子を満足させてあげるのは難しい。
ただでさえ、女の子はイキにくい。イッたことのない女の子も多いくらいなのだ。
もともとは「ちょっと早い」程度だった僕は、そうやってぐるぐる考えている間に、あまり勃たなくなった。
あくまで精神的なものだから、一人でエロ画像を見ているような時なら普通に勃つ。ただし、AVみたいな『役』があるものはダメだ。妙に現実的に見てしまって、勃たないことも多い。
「自分はしなくてもいいんですか?」という姫の問いは、至極正しかった。
だいたい、どのエロ作品を見たって、最終的にはセックスをする。
ただ、今回に限っていえば、僕は現状維持で良いらしかった。
姫の性癖の最大の難点は、セックスそのものにはあまり興味がないことだった。そりゃあ、この特殊性癖の上に「本番はしたくない」なんて、普通の男には捌き切れない案件だ。
彼女の性癖をあれだけ暴いておいて、自分だけ誤魔化すというわけにはいかなかったので、僕は姫に正直に話した。
勃ちにくく、勃ってもすぐイッてしまうのだと話すと、彼女は目を丸くしていた。引かれたかと思ったが、彼女はセックスに興味がないので、勃たなくても歓迎だし、勃ったら入れていい、早いのなら歓迎だとさえ言った。
勃たなくてもいい、か。
言われたことがないわけじゃない。
昔付き合っていた恋人にも言われた。
が、意味が違う。恋人は僕を慰めたり、関係を続けるための妥協案として言ってくれただけだ。それはつまり、彼女の願望とは異なる。
姫の場合は、僕がパートナーとして心底好都合なのだ。
とはいえ、なんとも気分は晴れない。
姫とは利害が一致していて、彼女との背徳的な時間は楽しい。卑屈になる必要もない。
そうか、と思い至る。
別に、僕自身が肯定されたわけではないからだ。
僕は姫にとって都合が良いだけで、恋人でもない、セックスしないセックスフレンドなんだ――
ごろり、と寝返りをうって、目を閉じる。
明日は土曜日、姫の来る三度目の日だ。
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