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3巻
3-2
しおりを挟む「リサさん、ダイエットメニューを考えてるんですって?」
カフェに出勤するなり、リサはおっとりした声で呼び止められた。振り向くと、カフェの制服を着たオリヴィア・シャーレインが立っていた。
彼女はリサよりも四つ年上で、一児を持つシングルマザーだ。だが、とてもそうは見えないほど若々しく、色気に溢れている。ミルクティー色の長い髪、たれ目がちの目元にぽつりとある泣きぼくろ、そして女性でもつい目がいってしまう豊満な胸が、魅力的だった。
「オリヴィア、おはよう。耳が早いね~。誰から聞いたの?」
「ヘレナからよ。私もすごく興味あるわ~、ダイエットメニューだなんて」
やはりその手の話題には、女性ならば誰しも関心があるようで、オリヴィアも例に漏れず興味津々な様子だ。
「まだ考え始めたばかりだよ。どんなダイエットしてるのか、いろんな人に聞いてるとこ。ちなみに、オリヴィアのダイエット法は?」
「私? そうねぇ、息子とたくさん遊ぶことかしら? やんちゃ盛りだから、息子に付き合ってるうちに自然と体を動かすことになって、一石二鳥なの」
「要は、運動するってことか~。食事を工夫して痩せたって人が、一人もいないんだよねぇ」
「確かに、ダイエットにいい食事って、あまり想像つかないわね」
オリヴィアとの会話からもいいヒントは得られず、リサはう~んと唸りながら、開店準備に取り掛かった。
開店準備を終えた後は、スタッフ全員で早めの昼食を取る。その日の賄いは、昨日リサが自宅で考えたダイエットメニューだった。
サラダに、野菜たっぷりのスープ、ほうれん草に似た野菜であるザラナが入った卵焼き、それに豆ご飯と、デザートのフルーツがついている。
「は~、お腹空いた! 今日の賄いは~っと」
ご機嫌な様子で二階のスタッフルームにやってきたのは、アラン・トレイルだった。
元は王宮の見習い料理人だったが、料理長の推薦によりカフェで働き始めたアランは、今年で二十歳になる。鶯色のクリクリした髪が特徴的で、いつもニコニコしている彼は、女性スタッフからよくワンコにたとえられている。どこかにくめない、チャーミングな青年だ。
アランに続いて部屋に入ってきたのは、ジーク・ブラウンだった。
「リサさん、いつも賄い作ってもらって、すいません」
シルバーブロンドにブルーアイ、そして常に無表情の彼は、一見冷たそうに見える。だが本当は優しく、男気のある青年だ。
いつも冷静沈着なためか大人びた雰囲気を持っているが、実際は二十一歳とまだ若く、アランと一つしか違わない。
カフェ・おむすびの従業員第一号であるジークは、料理の腕をぐんぐん上げていき、今ではリサと同じく学院で教鞭を取っている。そして、リサの恋人でもあった。
「アランくん、ジークくん、お疲れ様」
ルンルン気分丸出しのアランと、クールな無表情のジークは実に対照的だ。そんな二人が並んでいるのが、いつものことながらおかしくて、リサは笑いを堪える。
そこで、アランが口を開いた。
「あれ? 今日の賄いは何かこう……控えめというか、つましい感じがしますね。彩りはありますけど」
「おい、アラン。失礼なこと言うなよ」
ジークにぎろりと睨まれたアランは、慌てて言い訳する。
「い、いやぁ~、悪い意味じゃなくてですね」
そんなアランを見ながら、リサは苦笑した。
「やっぱり、そう見えるか~」
貧相に見えないよう工夫したつもりだが、料理のプロであるアランの目はごまかせなかった。
「今、ダイエットメニューを考え中でさ、試しに作ってみたんだよね」
リサの言葉で、アランは思い出したように言う。
「あ、それヘレナちゃんとオリヴィアさんが、今朝話してたやつですね」
「あら、盗み聞きしてたんですか?」
「おわっ、ヘレナちゃん」
噂をすれば影という言葉通りのタイミングで、アランの背後からヘレナが顔を覗かせた。彼女の横には、オリヴィアもいる。
「みんな揃ったことだし、食べよう」
リサがそう促すと、メンバーはそれぞれの席に着いた。
賄いを食べながら、リサは今日の献立について率直な感想を聞いてみた。
「私は結構いいと思いますよ。適度にお腹いっぱいになるし、野菜中心だから体にも良さそうだし」
ヘレナが満足げな顔で言った。
「私もそう思うわ。それなりに彩りもあって、いいわよね」
オリヴィアも、ヘレナに同意する。
どうやら、女性陣には好評のようだ。
一方、男性陣はと言うと……
「おいしいですけど、物足りない感じはありますね」
ジークが、食べていたサラダの器をテーブルに置きながら言った。
「そうっすね。具体的に言うと、肉が欲しいです!」
アランもジークと同意見らしい。
予想通りだったので、リサはやはりと思った。肉を使うと、どうしてもカロリーが高くなるので、今日の献立には使わなかったのだ。
だが若い男性は肉を好む傾向があるので、物足りなく感じるというのには頷ける。女性だって、肉が食べたい日もあるだろう。
肉の代わりになる食材はないかと知恵を振り絞るリサの脳裏に、あるものが浮かんだ。
「そうか、あれだったら作れるかも……」
何やら一人でぶつぶつと呟き始めたリサに、カフェのスタッフ一同は瞠目した。だが、いつものことなので、すぐに食事を再開したのだった。
第三章 苦い水を作ります。
ダイエットメニューのことで新たなアイデアを思いついたリサは、さっそく行動を開始した。
賄いを食べ終えた後、カフェを飛び出してやってきたのは、アシュリー商会。カフェの食材からテイクアウト用の容器まで、幅広く納品してもらっている会社だ。
カフェには担当職員が納品がてら定期的に来てくれるので、リサから訪ねるのは久しぶりだった。だが、リサは迷わず一階の受付カウンターに向かった。
「こんにちは。カフェ・おむすびの者なんですが……」
「いらっしゃいませ。いつもお世話になっております」
受付の女性は、リサを見るなりにっこり微笑んだ。どうやら顔を覚えていてくれたらしい。
カフェとの取引を担当している職員がいるか聞くと、「少々お待ちください」と言われ、待合室に通された。
ソファに座り、室内の調度品を眺めながら待っていたリサは、後ろから肩を叩かれた。
「リ~サ~ちゃんっ」
「アレクさん!?」
「やぁ!」
振り向いた先にいたのは、アシュリー商会の代表である、アレクシス・ジゼル・アシュリーだった。彼は、リサの義母アナスタシアの実兄でもある。
「今日はカフェ・おむすびの担当者が不在だから、代わりに僕が対応させてもらおうかと思ってね」
「突然来てしまって、すみません」
「いやいや、気にしないで~。僕も、ちょうど手が空いてたし」
とは言われたものの、代表であるアレクシスに直接応対してもらうことに恐縮しつつ、リサは彼の執務室へついていった。
「それで、今日はどんなご用なんだい?」
執務室のソファに向かい合って座るなり、アレクシスは真剣な顔で本題を切り出した。
リサが直接アシュリー商会にやってくることはめったになく、しかも今日はアポなしで訪れた。そのため、何か緊急にして重大な相談があるのではと、彼は考えたらしい。
「えっと……こんな注文をするのは私くらいだと思うのですが、海水を融通していただきたいんです」
「海水って、海の水のことだよね?」
「そうです、その海水です」
リサの突拍子もない依頼を受け、アレクシスはぽかんとする。リサは予想通りのリアクションに苦笑した。
「海水とは、これまた意外なものを注文するね。一応聞くけど、水に塩を溶かしたものではダメなんだよね?」
「はい、海水じゃないとダメなんです」
アレクシスはカフェが開業した当初から、たくさんの無理難題を聞いてくれた。だから、普通なら無理だと突っぱねられるような注文でも、きっと受けてくれるとリサは考えていた。
すると彼は、詳しい事情を聞くこともなく快諾する。
「一番近い海まで馬車で一日というところだから、早ければ明後日には届けられるかな」
「本当ですか!? ありがとうございます! すごく助かります!!」
リサは頭を下げて、何度もお礼を言った。
アレクシスはにっこり笑って立ち上がると、背後の執務机から書類を取り出し、さらさらと何か書きつけていく。おそらく海水の発注書だろう。
リサは目当てのものをこんなにスムーズに手に入れられるとは思っておらず、最悪、自分で取りに行くことも考えていた。だが、ダメもとで頼んでみて良かったと思う。
海水と一緒に、以前味噌や醤油を作るときに注文した豆も大量に届けてもらうように頼むと、彼女はアシュリー商会を後にした。
「海水ねぇ……」
リサが帰った後、アレクシスは頼まれたものの手配を済ませ、執務室で別の仕事を片付けていた。その最中、変わった注文をしていった義理の姪の姿が頭に浮かんでくる。
「今度は、何を作ろうとしていることやら……」
商売人の性で、新しい商売に繋がりそうなことが気になるのはもちろん、リサの料理のファンとして、次は何を作ってくれるのか楽しみだ。
そのためには、出来る限りの助力をしようと考えるアレクシスであった。
そして約束通り、リサがアシュリー商会を訪れた日の翌々日、大きな樽二つ分もの海水がカフェに届けられた。
樽を運んできてくれたのは、アシュリー商会の職員であり、カフェ・おむすびとの取引を担当しているシーゲルだった。
「それにしても、驚きましたよ~。俺が休み明けに出勤したら、代表からいきなり『海水の注文が入った』なんて言われるんですもん」
あははと笑いながらそう言った彼は、茶色の髪を短く切り、薄い顔をしている。ひょろりとした体型から頼りなさげに見えるが、アシュリー商会の中でも、やり手の商人だ。
商談を強引にまとめるようなことはせず、下手に出つつも巧みな話術で、いつの間にか話をまとめてしまう。だが商会側が得するだけでなく、顧客も満足する取引が出来ることが、彼の一番の商才だろう。
だからこそ、アレクシスは大事な姪であるリサの店を、シーゲルに担当させているのだ。
リサもシーゲルの人柄と仕事ぶりには、信頼を寄せていた。
「すみません、シーゲルさんの予定も聞かずに伺ってしまって……実は、早急に作ってみたいものがありまして」
申し訳なさそうに言ったリサに、シーゲルは微笑んでみせる。
「いえいえ、むしろ俺だったらすんなり話を通せなかったかもしれないんで、逆に良かったんじゃないでしょうか。何せ代表が直々に発注したわけですから。そのおかげで、早急に手配できたんだと思いますよ」
シーゲルは海水の入った樽を器用に転がしながら、カフェの店内に運び入れる。リサはドアを押さえてそれを補助しつつ、自分の注文がいかに風変わりだったのかを改めて実感し、苦笑した。
「一緒に注文された豆は昨日納品してるんで、ご注文の品はこれで全部ですよね?」
海水の樽を運び終えると、シーゲルはリサに確認する。
「はい、大丈夫です」
「じゃあ、いつも通りこちらにサインをお願いします」
リサはシーゲルから差し出された伝票を受け取り、サインして彼に返した。
「それで、今回は何を作るんですか?」
受け取った伝票を鞄にしまいながら、シーゲルがリサに聞いた。海水を使ってどんな料理を作るのか、気になっているようだ。
「ちょっとダイエット料理を考えてまして。まだ詳細は教えられないんですが……」
「ダイエット料理ですか。いや~、俺も最近下っ腹が気になってて、嫁からも『少し痩せた方がいい』って言われてるんですよね」
シーゲルは笑って、自分の腹をさすってみせた。リサにはもっと若く見えるが、彼は三十代後半だという。いわゆる中年に差し掛かっているため、体型や体質が変わり始めているのだろう。
「じゃあダイエット料理が完成したら、是非いらしてください」
「必ず来ます。楽しみにしてますよ」
そう言うと、シーゲルは挨拶もそこそこに帰っていった。
シーゲルと別れた後、リサはカフェの厨房で作業に取り掛かった。今日は休業日であるため、店にいるのはリサ一人だ。
先に届いていた豆は、昨日から水に浸けてふやかしてある。
リサはまず海水をザルと布で濾過し、細かな不純物を取り除いてから火にかけた。
彼女がこれから作ろうとしているもの、それは豆腐だった。
低カロリーで体に良く、肉の代わりとしても使えるという、良いところだらけの食材。それを作るためには、豆乳とにがりが必要なのだ。
リサは豆腐を作るにあたって、元の世界でのある経験を思い出していた。それは、高校の理科の授業である。
理科の担当教師は、実験が好きな人だった。もちろん座学での授業もするが、『論より証拠』『百聞は一見に如かず』をモットーとしていた彼の授業は、実験が多かった。
その実験の一つが、豆腐を作るというものだった。何を検証する実験だったのか、今ではさっぱり覚えていない。だが、当時から料理が好きだったリサは、その手順と方法だけはしっかり覚えている。
まずは豆乳作りだ。水に浸けていた豆の水気を切り、ミキサーに入れる。そして水を少し加え、どろどろの状態にする。
少しツブツブが残るくらいまでミキサーに掛けてから、それを鍋に移して加熱していく。
焦げないようにかき混ぜながら弱火で十分くらい煮たら、火を止めてザルと布で濾す。熱いので木べらを使って濾していくと、徐々に水分がザルの下に置いたボウルの中に溜まってくる。
やがて熱が冷め、手で触れるくらいになったところで、布をギュッと絞る。
そうして出来た、薄いクリーム色の液体。これが豆乳だ。一方、布の中に残ったものが、おからである。こちらも食材として利用しようと、リサは考えていた。
ここで、リサは豆乳の味見をすることにした。棚から適当なマグカップを取り出し、出来立ての豆乳を掬い上げる。
「うん、濃いけどおいしい!」
まだ温かさの残る豆乳は、豆独特の風味が強い。だが、ほんのり甘みがあって、思ったより飲みやすかった。
「こんなことなら、豆乳だけでも前から作っておくべきだったなぁ。色々と使えるし」
リサは少し後悔しながら呟くと、次々と浮かんでくる、豆乳を使ったレシピに思いを巡らせた。
元の世界では、豆乳は牛乳の代用品として広く使われていた。人々の健康志向が高まるにつれて、流行りのカフェやスイーツ専門店などで、その名を目にすることが増えた。
豆乳をちびちび飲みながら物思いにふけっていたリサは、ホールの方から聞こえてきた物音で、ハッと我に返る。
ややあって厨房に顔を出したのは、ジークだった。
「やっぱりいた」
「どうしたの? ジークくん。お休みの日なのに」
リサは目を丸くして尋ねた。
「一緒に出かけようと思って家に行ったら留守だったから、ここに来たんだ」
「あ、そうだったの? ごめん」
どうやらジークは、リサをデートに誘おうと考えていたようだ。リサは何かをやろうと思い立つとそれに夢中になり、他のことが疎かになってしまいがちだ。だから、そんな彼の気持ちなど露知らず、一人カフェに籠っていたのである。
やや呆れ気味に、はぁとため息を吐くジーク。リサは笑ってごまかすと、彼に豆乳が入ったマグカップを差し出した。
「これ作ってたの。ダイエットメニュー作りの一環で」
「ミルク? じゃないな……」
ジークはカップの中身を揺らしながら呟いた。
この世界におけるミルクは、ヤシの実に似た実から取れる。その実は熟成させると脂肪分が増し、生クリームのようなものまで取れるという、大変優れた木の実なのだ。
ミルクも生クリームも、リサが元いた世界のものと同様に使うことが出来、カフェの料理やお菓子には欠かせない食材となっている。
「豆乳っていうの。ざっくり言うと、豆を絞った汁」
ジークは豆乳の匂いを嗅いだ後、カップに口をつけた。そして少し口に含んで味わってから、感想を述べる。
「口あたりはミルクに似てるけど、ちょっとクセがあるな」
「濃いままだから、なおさらそう感じるのかも。このまま飲むなら、薄めた方が良いね」
「これをどうするんだ?」
「これを使って、あるものを作るの。あと、ミルクの代用品としても使う予定だよ。何しろ豆乳はミルクよりも健康的で太りにくくて、ダイエットに最適なんだ」
「じゃあ、お菓子にも使えたり?」
「もちろん!」
食事メニューよりもお菓子を作る方が得意なジークは、リサの言葉に目を輝かせた。
その様子に、リサは笑みを誘われる。そしてどうせなら今、彼に豆乳の作り方を教えてしまおうと考え、まだ水に浸かったままの豆をザルに上げた。
ジークに豆乳作りの手順を教えた後、リサは火にかけておいた海水の様子を見る。蒸気を上げて煮え立つ鍋を覗き込むと、水量は元の三分の一ほどに減っていた。
木べらでかき混ぜながら更に煮詰めていくと、海水が徐々に白濁し始める。リサはそのあたりで一度火を止め、ザルと布で海水を濾過した。
リサの作業が気になるのか、ジークはミキサーでどろどろにした豆を煮詰めながら、彼女の方を窺っていた。
「リサさんは、いったい何を作ってるんだ?」
「にがりっていう液体を作ってるの。あと副産物として、塩も出来るよ」
本来は、にがりの方が副産物なのだが、今回ばかりは逆だった。
「にがり? 何に使うものなんだ?」
「豆乳を固めるんだよ。ゼリーに使うグリッツと似たようなものかな」
グリッツとは赤くて小さい木の実のことで、その果汁には、ゼラチンのような性質がある。そのため、カフェではゼリーなどを作るときに使っているのだ。
「グリッツじゃダメなのか?」
「うーん、元の世界では、にがりを使ってたからね。にがりを使う基本的な作り方と、グリッツを使うやり方と、両方試してみようと思って」
リサは濾過して透明になった海水を、再び火にかけた。かき混ぜながら中火で煮詰めていくと、水分がどんどん少なくなり、白くなっていく。やがてシャーベット状になったところで、彼女は鍋を火から下ろした。
その頃になると、ジークは豆乳を作り終え、リサの作業を興味深げに見学していた。
シャーベット状になった海水を、リサはザルと布を使って再び濾していく。そうして濾された液体がにがり、布の中に残ったものが塩だ。
「この液体が、にがり?」
「そう。試しに舐めてみる?」
ジークはリサの言葉を聞いて、にがりを指につけ、口に入れた。
「苦っ!!」
「あはは、言い忘れてたけど、にがりって私のいた世界では、苦い汁って書くんだよ」
「それを早く言ってくれ!!」
ぺっぺっと吐き出しているジークを笑いながら、リサは片付けを始めた。
出来上がったにがりを瓶に詰め、冷蔵庫にしまう彼女を見て、ジークが首を傾げる。
「あれ? にがりを使って何か作るんじゃないのか?」
「もうこんな時間だし、残りは明日にしようと思って」
「あ、もう夕方か」
ジークが目を向けた厨房の窓からは、茜色の光が差し込んでいた。彼もリサと共に、使用した器具を洗い始める。
「それで、結局何を作るんだ?」
「まぁ、それは明日のお楽しみってことで!」
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