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280.恐怖

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「あなた…それ本気で言ってるの?もしそうなら本当にムカつく女ね!!」

「えっだってあの二人が…わたしを?」

ローズが顔を顰めると

「なんだってあんたなのよ…私が欲しかったものを全て持ってる…何もかも…」

ジュリアが下を向くと

「全て…なんて持ってない…お金だって母親だって…あなたこそ何もかも持っていたのになんであんな愚行を…」

ローズがジュリアを見つめると

「親がいたって愛情なんか貰ったこともなかったわ!母親こそいたけど今思えば私も道具の一つだったのね」

「そんな事ない!母親は知らないけど…レスター様はあなたを何度も助けようとしていたはずよ…あなたは目を背け続けたみたいだけど…」

「そりゃ母親からあれは自分を愛してないって言われればね…」

「酷い…そんなことを…」

ローズがジュリアを見るとそんな目で見るなと睨みつける。

「そうよ!だから信じられるのは自分だけ!でもそれで何もかも上手くいっていた…あなたが来るまではね!」

ローズは悲しそうに首を振ると

「ううん…もう綻びは出てたわ…私でなくても誰かが気がついたはず」

現にキャリーやロイ王子達も気がついていたし…

でもそれは口にせずにローズはジュリアを見ると

「私はやっぱりあなたがした事は許せない。大切な人を傷つけたあなたを!だからあの一発は後悔してないわ」

ジュリアは拳を見せるローズを見て顎を抑えて後ずさる。

「な、何よ…また殴る気…」

「まさか、あの一発で私の件は許したわ。今捕まってるのは他の罪でしょ」

「えっ…本当にあの一発で終わりなの?」

ジュリアが驚くと

「ええ!私は嘘はつかないわ」

「ふん!嫌味のつもり」

ジュリアは顔を逸らした。

「別にそういうつもりじゃ…」

「わかってるわよ!」

「それにジュリアさん他にもたくさん悪い事してますよね?私のが減ったくらいでは罪は消えませんよ」

「う、うるさい………ねぇ…私…やっぱり打首かしら…」

ジュリアは虚勢をはって誤魔化そうとしていたがやはり不安になり恐る恐るローズに聞いた…

「よく知りませんがあのボストンって元大臣もあなたの母親も打首にはなってませんよ」

「そ、そう…」

ジュリアはほっと息を吐いた。

「それは親を心配してですか?それとも自分が助かりたいから?」

いつから会話を聞いていたのかスミスがジュリアに聞いた。

「な、何よ…別にいいでしょ…」

ジュリアが顔を背けると

「いやぁそこ重要ですよね、もし自分だけの事しか考えてない人なら罰も重くなりますし!まぁあの人達の子供ならそのくらい考えてそうですけどねー」

スミスが笑うと

「だ、だって…親なんて…選べない…」

ジュリアがスミスから離れようとさらに一歩下がる。

「全て親のせいにする!やっぱりあの二人の子供ですね!」

スミスが嬉しそうに手を叩くと

「やはり血の力は凄いなぁ…」

スミスはじーっとジュリアを上から下まで眺めると…

「そうだ!君の罰は僕の実験台になってもらおうかな!そうだ!それがいい!国王様に掛け合ってみよう!」

スミスはいい考えだと嬉しそうにすると

「じ、実験台…」

ジュリアが不安な顔をする。

「はい!その頭と血と全部調べます!親の遺伝子を何処まで受け継ぐものなのか…」

スミスがニコッと笑うとジュリアはヘナヘナ~と地面に座り込んだ。
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