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183.審査

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「いよいよ今日から令嬢達と出かける日ですね」

カイルがロイ王子に声をかけると

「全くもって憂鬱だ…一体何すりゃいい?」

「それを俺に聞きますか?」

カイルがマジマジとロイを見つめる。

「だよな…」

ロイが項垂れるがカイルは構わずに予定を話し始める。

「本日はエマ・キャンベル様とのデートとなります」

「デートではない、審査だ審査!」

「向こうはデートと思って来ますよ」

カイルが苦笑すると

「なんだよ!面白がりやがって!」

ロイが不服そうにカイルに当たる!

「もうさぁ…ここまで来たら候補決めも終了でいいんじゃないか?」

ロイがカイルをみると

「いえ、まだ完膚なきまでにする為にはもう少しですね」

「そうか…ならいい王子を演じないとな」

ため息をついて立ち上がった。

「私は近くでいつでも駆けつけられるように待機してますので…令嬢との会話は聞かないように致します」

カイルが頭を下げると

「別にすぐ側にいてくれていいんだけど…」

ロイがチラッと伺うようにカイルを見ると、カイルは書類をパタンと閉じて肩の力を抜く。

「嫌だよ、お前の歯の浮くようなセリフを笑わずに聞いてる自信はない!」

「ふん!じゃあローズの時も絶対近くに来るなよな!」

「それは…ローズは守らないといけないから」

「俺がいるから大丈夫だ」

ロイがニヤリと笑うと

「ロイが守るんじゃなくて守られるんじゃないか?」

カイルも言い返す。

「何を!」

ロイとカイルがやり合っていると

「ロイ様…お時間でございます」

大臣達が呼びに来た。

「では、行きますか」

「ああ」

二人はピタッとじゃれ合いを止めると

「では、ロイ様…どうぞ」

カイルが扉を開けて先導した。


ロイはエマ嬢が待つ部屋に向かっていると

「ではロイ様お時間は夕刻までとなっております。城下にも兵は控えさせておりますがお気をつけください」

大臣が声をかけると、ロイはコクリと頷く。

「まぁカイルも近くで待機しているし…大丈夫だろう」

「ではしっかりと審査の方お願い致します」

「ああ」

大臣はエマが待つ部屋の扉を開いた。

ロイは中で待つエマ嬢と目が合うと、爽やかにニコリと笑う。

「お待たせしました、エマ嬢。今日はよろしく」

ロイの笑顔にエマは軽く頬を染めると

「よろしく…お願い致します」

声を震わせ腰を落とし挨拶をする。

「では今日は私と婚約者になったつもりで付き合ってくれ。多少の無礼講は許そう」

「は、はい」

エマは緊張したように返事を返すと

「最初からそんなに力が入っていては最後まで持たないよ、もう少しリラックスしてくれ」

苦笑するとエマの手を取り、自分の腕に絡ませると

「では行こうか?何処か行きたい所はあるかい?」

ロイが優しく聞くと…

「で、では…図書館などはどうでしょうか?」

「図書館?」

「はい…私本が好きで…」

「じゃあそこに行こう、おすすめの本など教えてくれるかな?」

「はい!」

エマは嬉しそうに頷いた。

ニコニコと笑顔を作って歩くロイの後ろをカイルはついて行きながら必死に笑いを堪えていた。
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