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182.交渉
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あっという間に走り去ったスティーブを見送るとクリスは息を吐いて書簡庫へと向かう…
一人トコトコと歩いていると…ピタッと立ち止まった。
「なんでしょうか?」
クリスはクルッと振り返ると廊下の曲がり角に誰かが急いで隠れるのが見える。
「先程から後を付けて来てましたよね?何か僕に用でしょうか?」
クリスが曲がり角に向かって声をかけると…
「す、すみません…お見かけして…気になって…」
何処かの令嬢が後をつけてきていた。
何処かで見たな…
クリスはじっと顔を見つめると令嬢が恥ずかしそうに顔を逸らした。
「あっ…確かジュリアお嬢様とご一緒にいたお嬢様ですね!」
クリスはジュリアの後ろで隠れるようにいた令嬢を思い出した。
「は、はい!覚えていてくれたのですか?」
令嬢が嬉しそうに笑うと…
「もちろんです…こんな可愛らしい方を忘れるわけありませんから…」
クリスはニコッと笑うと、令嬢の顔がみるみる赤く染る。
「それで何か用でしょうか?」
クリスが聞くと
「あっ…いえ…お見かけしたので、少しお話でもできないかと思いまして…」
令嬢がソワソワとすると…
「申し訳ございません…私は仕事中でしてあまり時間が…」
申し訳なさそうに眉を下げると
「そ、そうですよね…お仕事中にごめんなさい…」
令嬢は慌てて去ろうとすると、スカートを引っ掛けて転びそうになる。
クリスは急いで駆けつけ手を取ると腰を支えた!
ぐっと引き寄せて踏みとどまるとどうにか転ぶのを防ぐ…ほっと息をついて
「大丈夫ですか?」
令嬢の顔を間近で覗き込むと、顔を真っ赤にしてパクパクと口を動かしている。
「だ、大丈夫…ありがとう…ございます…」
「気をつけて下さいね」
サッと手を離そうとすると…グイッとそのまま手を引かれる。
「えっ?」
クリスが戸惑っていると
「や、やっぱりもう少しだけお話してください!お願い!何でも聞いていいから!それとも何か欲しい?何でも買ってあげるわ!」
ギラッとクリスを見つめると
「い、いえ、そういうのは…」
「な、なら何か…何かあげられるものは…」
「そんなのいりませんよ」
クリスが困ったように断わると
「じゃ、じゃあ王宮の秘密のお話とか…」
帰ろうとするクリスがピタッと止まる。
令嬢は反応があったことに嬉しくなり笑うと…
振り返ったクリスの顔は軽蔑の眼差しを令嬢に送る。
「えっ…」
令嬢が顔を曇らせると
「あなたが今までどのように殿方を落としてきたかは知りませんが…そんな話で乗ってくる男にろくな奴はいませんよ…あなたもどこで誰が聞いてるかも分かりません。お気をつけください」
クリスはぺこっと頭を下げると足早にその場を去った。
「全く…ここの令嬢ろくなのいないのか…姉さんはこんな所にずっといたのか…姉さんに変なことしてる奴いないだろうな!」
クリスは嫌な気持ちになりながら誰にも会わないように部屋へと急いだ。
一人トコトコと歩いていると…ピタッと立ち止まった。
「なんでしょうか?」
クリスはクルッと振り返ると廊下の曲がり角に誰かが急いで隠れるのが見える。
「先程から後を付けて来てましたよね?何か僕に用でしょうか?」
クリスが曲がり角に向かって声をかけると…
「す、すみません…お見かけして…気になって…」
何処かの令嬢が後をつけてきていた。
何処かで見たな…
クリスはじっと顔を見つめると令嬢が恥ずかしそうに顔を逸らした。
「あっ…確かジュリアお嬢様とご一緒にいたお嬢様ですね!」
クリスはジュリアの後ろで隠れるようにいた令嬢を思い出した。
「は、はい!覚えていてくれたのですか?」
令嬢が嬉しそうに笑うと…
「もちろんです…こんな可愛らしい方を忘れるわけありませんから…」
クリスはニコッと笑うと、令嬢の顔がみるみる赤く染る。
「それで何か用でしょうか?」
クリスが聞くと
「あっ…いえ…お見かけしたので、少しお話でもできないかと思いまして…」
令嬢がソワソワとすると…
「申し訳ございません…私は仕事中でしてあまり時間が…」
申し訳なさそうに眉を下げると
「そ、そうですよね…お仕事中にごめんなさい…」
令嬢は慌てて去ろうとすると、スカートを引っ掛けて転びそうになる。
クリスは急いで駆けつけ手を取ると腰を支えた!
ぐっと引き寄せて踏みとどまるとどうにか転ぶのを防ぐ…ほっと息をついて
「大丈夫ですか?」
令嬢の顔を間近で覗き込むと、顔を真っ赤にしてパクパクと口を動かしている。
「だ、大丈夫…ありがとう…ございます…」
「気をつけて下さいね」
サッと手を離そうとすると…グイッとそのまま手を引かれる。
「えっ?」
クリスが戸惑っていると
「や、やっぱりもう少しだけお話してください!お願い!何でも聞いていいから!それとも何か欲しい?何でも買ってあげるわ!」
ギラッとクリスを見つめると
「い、いえ、そういうのは…」
「な、なら何か…何かあげられるものは…」
「そんなのいりませんよ」
クリスが困ったように断わると
「じゃ、じゃあ王宮の秘密のお話とか…」
帰ろうとするクリスがピタッと止まる。
令嬢は反応があったことに嬉しくなり笑うと…
振り返ったクリスの顔は軽蔑の眼差しを令嬢に送る。
「えっ…」
令嬢が顔を曇らせると
「あなたが今までどのように殿方を落としてきたかは知りませんが…そんな話で乗ってくる男にろくな奴はいませんよ…あなたもどこで誰が聞いてるかも分かりません。お気をつけください」
クリスはぺこっと頭を下げると足早にその場を去った。
「全く…ここの令嬢ろくなのいないのか…姉さんはこんな所にずっといたのか…姉さんに変なことしてる奴いないだろうな!」
クリスは嫌な気持ちになりながら誰にも会わないように部屋へと急いだ。
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