貧乏領主の娘は王都でみんなを幸せにします

三園 七詩

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158.ジュリアのドレス

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「ジュリア様はわかりますが…ローズさんも?」

令嬢達がローズに注目すると

「い、いえ!キャシーの演奏に比べたら…私のは…」

なんだか自分の剣舞がどうなのか自信が無くなる…

「ローズさんはどうか分かりませんが、私はキャシー様にだって負ける気はありませんわ!精一杯頑張りたいと思います」

ジュリアが話していたみんなの前に堂々と現れると…

「わぁ…素敵です」

「素晴らしい衣装ですね」

ジュリアのドレスに令嬢達からため息が漏れる。

「ジュリア様、その衣装は?」

「私はロイ王子とダンスを致します。ロイ王子と並んでも恥ずかしくないようにこの日の為に一流の職人に仕上げてもらいました」

クルッと回って衣装を見せると

「素敵です!」

令嬢達が絶賛する。

「本当は使用したい生地があったんですがどうしても手に入らなくて…代用品に変えましたがまぁまぁの仕上がりになりました」

「そんな素晴らしい衣装なのに代用品なんですか?ジュリア様でも手に入らない生地なんて…きっと私達ではお目にかかれないような物なんですね」

令嬢達がうっとりとジュリアのドレスを見つめると

「なんか…バルトの毛の色に似てるね…」

ローズが顔を曇らせる。

素敵なドレスだとは思うがローズはいまいち好きになれないと思ってしまった…

「では…次は私の番なので…」

ジュリアが令嬢たちの間を颯爽と通ると…

「きゃ!」

ローズにぶつかろうとして声をあげる!

しかしローズは二回目もあってジュリアの体当たりをサッと避けた…

ジュリアは何もない所でつまずくと…

「ジュリア様?大丈夫ですか?」

令嬢達が唖然とする…

「な、なんでもありませんわ…」

ジュリアはサッと立ち上がるとスタスタと歩き出した…

「クックック…いい気味だ…」

バルトは堪えきれずにローズの肩で笑っていた。

「こら、バルト…」

ローズが笑っているバルトに注意する。

「ローズだって来ると思って避けたんだろ?」

バルトがニヤッと笑うと

「ま、まぁあんだけ敵視されてたらね…でもなんでだろ?私なんか敵視しても意味ないのにね」

ローズはジュリアの気持ちがいまいち理解出来ずにいた。

ローズ達令嬢はジュリアのダンスのお披露目をキャシーの時の様に袖から見つめる。

ジュリアは壇上に出るとペラペラと衣装について熱く語っている…どんなに手に入れるのに大変だったか…一流の職人を大金を使って作らせた事など…

「おお!素晴らしいですな!」

一人の大臣がジュリアの説明には拍手をおくる…すると、パラパラと他の人達も一応手を叩いた。

ジュリアは満足そうに頭を下げてお礼をすると

「では、私はこの衣装でダンスの方を…ロイ王子、お相手をお願い出来ますでしょうか?」

ジュリアがにっこりと微笑むと

「ああ、綺麗なお嬢様よろしく」

ロイは笑って立ち上がった。
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