貧乏領主の娘は王都でみんなを幸せにします

三園 七詩

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159.ジュリアとダンス

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ロイはジュリアに近づくと手を差し出して頭を下げると

「踊っていただけますか?」

ジュリアを見上げる。

ジュリアは頬を赤らめて満足そうに頷くとロイ王子の手を取った。

「なんだロイのやつ…あんな女に媚び売りやがって…」

バルトが面白くなさそうにつぶやくと

「ロイ様だってご令嬢相手にいつもみたいにはいれないよ」

ローズが仕方ないと笑うと

「俺はいつもの方がまだいい…」

バルトの言葉に

「私も…」

ローズは笑顔を消した。

広間ではジュリアがご機嫌で楽しそうにロイ王子と踊っている…

「あれ?」

ローズはロイの様子に何か違和感をおぼえる。

「どうした?」

バルトが聞くと…

「なんか…ロイ様、動きが…変じゃない?」

なんだかジュリア様とのテンポが乱れだした気がする。

「ジュリアさん興奮して暴走してますわね、ロイ王子が必死に合わせているのであの程度の乱れで済んでいるようですわ」

キャシーが説明してくれる。

「確かに…ジュリア様…動きが大きいですね…場合によっては素敵だと思いますが…ああ、あんなに仰け反って」

ロイ王子が必死に支えているのがありありとわかった。

ダンスが終わると二人は汗だくになりながら戻って行く…ロイ王子のそばにはカイルが控えて水を用意して待っていた…

「お疲れ様でした」

カイルの言葉にロイは苦笑した…

パラパラと拍手を送る中やはり先程の大臣だけは盛大に褒めたたえてジュリアを絶賛していた。

「あの男は確か…あの国王との謁見の時に居たやつじゃないか?」

バルトがうるさい大臣を睨んでいると

「えっ?」

ローズがじっと見つめると

「本当だ、あの途中で出ていった大臣だね…確か…ボストン大臣だったけ?」

「知らん。あんな奴の名前に興味はない!」

ローズ達の話を聞いていたキャシーが声をかけてくる。

「ローズはボストン大臣をご存知なの?」

「んーあんまりよく知らないけど、怒りっぽいイメージだけどこれを見てるとそうでも無いのかな?」

ジュリアの披露したダンスに満足そうに笑っているのが見える。

ローズが首を傾げると

「あの程度のダンスを褒めるなんてボストン大臣も落ちたものです」

「キャシー…」

ローズが驚いていると

「お前…なかなか言うな、気に入った」

バルトがニヤリとキャシーに笑いかける。

「恐縮ですわ、バルトさん」

キャシーはバルトにスカートを持ち上げ頭を下げた。

ジュリアが今だダンスについての受け答えをしていると…

「じゃあ私もそろそろ準備してくるね。バルトはどうする?」

ここで見ているか聞くと、ローズと行くと言うのでキャシーに声をかけて自分の席に戻る。

「じゃあクレアさんが用意してくれた衣装に着替えよう」

ローズは用意されている衣装部屋へと向かった。
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