貧乏領主の娘は王都でみんなを幸せにします

三園 七詩

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157.キャシーのバイオリン

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ジュリアの姿が見えなくなると…

「ローズもバルトさんもジュリアさんには気をつけて下さいね」

キャシーがローズ達に注意すると

「気をつける?何を?」

ローズが首を傾げると

「もう!そんなローズも可愛いけどバルトさんの為にもちゃんと注意してね!」

キャシーがローズの手を掴むと

「う、うん。わかんないけどバルトに危害をくわえるなら…いくらジュリア様でも許さない…」

ローズが頷くと

「自分の攻撃もそのくらい警戒してくださると嬉しいんですけど…」

キャシーが困った様に笑うと

「続きまして、アイリック・キャシー様ご準備を…」

キャシーの番が近づき声がかかる。

「あら、私の番ですね」

キャシーが立ち上がると

「キャシー!頑張ってね!」

ローズがグッと拳を握る、その姿にキャシーは笑うと

「ふふ…はい。行ってきますわ」

キャシーはリラックスした様子で向かっていった…

ローズ達は控え室の脇から顔を覗かせる…

するとキャシーが歩いて行く姿が見えた。

「キャシー様は何をするのかしら…」

「キャシー様ならなんでもお得意でしょうから…歌かしら?それとも楽器?」

他の令嬢達も興味津々で覗いている。

ローズも他の令嬢達と一緒にハラハラしながら見ていると

「自分の事でもないのにローズが緊張してどうするんだ」

バルトがそっと耳打ちすると

「だ、だって…」

ギュッと手を組んで祈るように見つめる。

するとキャシーはバイオリンを手に取り壇上にあらわれた…キャシーが用意すると後ろに控えていた楽器隊が奏で始める…キャシーはそれに合わせてバイオリンを弾いた。

キャシーの奏でるバイオリンは楽器隊に引けを取らず素晴らしい音を奏でる。

演奏を聴いている誰もがキャシーの音に耳を傾けていた…

ずっと聴いていたい心地いい音楽に皆が癒されているなか、控え室では不審な動きをする者がいた事に誰も気付かずにいた…

キャシーのお披露目が終わると、割れんばかりの拍手がおきる!

袖から見ていた令嬢達も思わず興奮して手を叩く!

ローズもキャシーの素晴らしい演奏に拍手を送っていた!

「素晴らしいかったわ、キャシーさん」

王妃様からもお褒めの言葉を貰うと

「ありがとうございます」

キャシーは少し頬を染めて優雅に頭を下げた。

大臣達からもお褒めの言葉を受け取りキャシーはもう一度頭を下げるとローズ達がいる控え室の方に下がってきた。

「お疲れ様でした!キャシー様本当に素敵でした」

「素晴らしい演奏に私感動致しました…やはり花嫁候補はキャシー様で決まりですね」

「私もキャシー様なら納得です!キッパリと諦めきれますわ!」

令嬢達から賛辞が飛ぶと

「ありがとう…でもまだわからないわ。これからジュリアさんも…ローズも控えていますしね」

キャシーはローズの方を見て微笑んだ。
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