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106.お姫様抱っこ※
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「ローズ様、ローズ様……」
ん、スチュアートさんの声?
私はゆっくりと目を開けた。
「大丈夫ですか?」
先程より服が汚れたスチュアートさんが心配そうに私に手をかけて抱き起こしてくれる。
「聞きましたよ、無理してたそうですね」
スチュアートさんが少し怒った顔でみつめる。
「すみません、でも寝たらだいぶ良くなりました。スチュアートさんはなんか凄く汚れてますね?」
スチュアートさんの体を見るといつも身なりがキチンとしているのに所々ほつれた様な場所も見受けられた。
「ちょっと鍛錬に力が入ってしまって、でも大丈夫です。ローズ様の秘密は守りましたから」
ニッコリと安心させるように笑いかけられた。
「秘密?」
首を傾げながらベッドから起き上がろうとするとスチュアートさんに止めらる。
「駄目ですよ、部屋までお運び致します」
失礼しますと私を軽々と抱き上げた。
「しっかりと捕まっていてください」
スチュアートさんの顔がさらに近づき、しっかりと横抱きにされた。
「は、はい……」
ギュッとスチュアートさんの服にしがみつくと、ロイ王子とカイル様も医務室にやってきた。
「ローズ、大丈夫……」
スチュアートさんが私を抱き上げているのを目の当たりにして絶対する。
「スチュアートさん、何してるんですか?」
カイル様が不服そうにしている。
「ローズ様はまだお疲れのご様子ですのでこのまま部屋までお連れします。王子達も鍛錬でお疲れでしょうから早く部屋にお戻り下さい」
「いや、疲れてるのはスチュアートさんでしょ! いつもの倍以上あいつらの相手してたじゃないですか!」
「そうですよ。やる気を出したあいつらを全部容赦なく返り討ちにしてましたけど……だから何なら変わりますよ」
ロイ王子が微笑みながら私に手を差し出してくるがスチュアートさんがスっとそれを避けた。
「あれくらい大丈夫です。しかし皆さんがあれほど動けるとは思いませんでした。これからは鍛錬の内容をもう少し変えていかないといけませんね」
「えっと!それって……」
「明日からはもっと厳しくすると伝えておいてください。あと約束を守るようにと」
スチュアートさんは王子達に挨拶をするとダンテ先生にお礼を言い、唖然と立ち尽くす王子達の横をサッと通り過ぎる。
「約束とはなんの事ですか?」
ダンテ先生が気になったのかカイル様に聞いていた。
「兵士達がローズ様の名前を聞きたがりまして、スチュアートさんが一太刀でも当てられたら教えると言ったところ兵士達が今までになく本気になりました」
「ああ、それであんなに汚れて……」
ダンテ先生が納得するように頷くとスチュアートさんの後ろ姿を見つめた。
「それでもあの人数を相手に誰にも一太刀も当てさせませんでしたからね」
「さすがですね!」
「最後の方のスチュアートさんは鬼気迫るもんがあったよな」
「意地でも教えないつもりでしたよね」
「明日からの鍛錬が怖いなぁ」
ロイ王子とカイル様は諦めて肩を落としながら帰っていった。
ん、スチュアートさんの声?
私はゆっくりと目を開けた。
「大丈夫ですか?」
先程より服が汚れたスチュアートさんが心配そうに私に手をかけて抱き起こしてくれる。
「聞きましたよ、無理してたそうですね」
スチュアートさんが少し怒った顔でみつめる。
「すみません、でも寝たらだいぶ良くなりました。スチュアートさんはなんか凄く汚れてますね?」
スチュアートさんの体を見るといつも身なりがキチンとしているのに所々ほつれた様な場所も見受けられた。
「ちょっと鍛錬に力が入ってしまって、でも大丈夫です。ローズ様の秘密は守りましたから」
ニッコリと安心させるように笑いかけられた。
「秘密?」
首を傾げながらベッドから起き上がろうとするとスチュアートさんに止めらる。
「駄目ですよ、部屋までお運び致します」
失礼しますと私を軽々と抱き上げた。
「しっかりと捕まっていてください」
スチュアートさんの顔がさらに近づき、しっかりと横抱きにされた。
「は、はい……」
ギュッとスチュアートさんの服にしがみつくと、ロイ王子とカイル様も医務室にやってきた。
「ローズ、大丈夫……」
スチュアートさんが私を抱き上げているのを目の当たりにして絶対する。
「スチュアートさん、何してるんですか?」
カイル様が不服そうにしている。
「ローズ様はまだお疲れのご様子ですのでこのまま部屋までお連れします。王子達も鍛錬でお疲れでしょうから早く部屋にお戻り下さい」
「いや、疲れてるのはスチュアートさんでしょ! いつもの倍以上あいつらの相手してたじゃないですか!」
「そうですよ。やる気を出したあいつらを全部容赦なく返り討ちにしてましたけど……だから何なら変わりますよ」
ロイ王子が微笑みながら私に手を差し出してくるがスチュアートさんがスっとそれを避けた。
「あれくらい大丈夫です。しかし皆さんがあれほど動けるとは思いませんでした。これからは鍛錬の内容をもう少し変えていかないといけませんね」
「えっと!それって……」
「明日からはもっと厳しくすると伝えておいてください。あと約束を守るようにと」
スチュアートさんは王子達に挨拶をするとダンテ先生にお礼を言い、唖然と立ち尽くす王子達の横をサッと通り過ぎる。
「約束とはなんの事ですか?」
ダンテ先生が気になったのかカイル様に聞いていた。
「兵士達がローズ様の名前を聞きたがりまして、スチュアートさんが一太刀でも当てられたら教えると言ったところ兵士達が今までになく本気になりました」
「ああ、それであんなに汚れて……」
ダンテ先生が納得するように頷くとスチュアートさんの後ろ姿を見つめた。
「それでもあの人数を相手に誰にも一太刀も当てさせませんでしたからね」
「さすがですね!」
「最後の方のスチュアートさんは鬼気迫るもんがあったよな」
「意地でも教えないつもりでしたよね」
「明日からの鍛錬が怖いなぁ」
ロイ王子とカイル様は諦めて肩を落としながら帰っていった。
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