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105.傷※
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医務室に残ったロイ王子とカイル様は私のそばによるとまだ心配そうに顔を覗き込んできた。
「本当に大丈夫か? まだ寝てた方がいい」
カイル様にゆっくりと肩を支えられて横にされる。
「本当に大丈夫ですよ、皆さん心配しすぎです」
「そりゃ心配するよ、ローズは女の子なんだからあんまり無理はしないでくれ」
ロイ王子がそう言うとしまったと後ろを振り返った。
近くでは先生がニコニコと私達の会話を聞いていた。
「ダンテ……今の聞いた?」
わかっているのかただニコニコと笑っているダンテ先生の様子にロイ王子がうかがうように声をかけた。
「ローズ様が女性って事ですか?」
ロイ王子とカイル様が慌てるなか、ダンテ先生は笑顔で答えた。
「彼女を診察したんですよ。さすがにわかりますよ。しかし兵士達の様子から相当腕が立つようですね」
「いえ、そんな事……」
ダンテ先生に感心されて恥ずかしくなり顔を赤くする。
「ダンテ、この事は」
ロイ王子が気まずそうに声をかけた。
「わかってます。なぜかは知りませんがローズ様が女性と言うのは兵士達には秘密なんですね」
ダンテ先生は詳しい事は聞かずに笑って了承してくれた。
「ありがとう」
カイル様がお礼を言う。
「でも彼女がまだ少し休んでいた方がいいのは本当ですよ。ロイ様達はもう戻ってくださって大丈夫ですから」
ダンテ先生が二人を医務室から追い出そうと二人を扉に追いやった。
「お、俺は心配だからそばに……」
カイル様がまだここに居たいと留まろうとした。
「私がいるから大丈夫です」
ダンテ先生は二人を出すとピシャリと扉を閉めた。
ロイ王子とカイル様は目の前でしまった扉を少し眺めていたが諦めて鍛錬場へと向かった。
ロイ王子達の気配が遠くなるとダンテ先生はくるっと振り返って私に笑いかけた。
「さぁもうゆっくり休んで下さい」
近づくと肩までシーツをかけてくれる。
「ありがとう……ございます」
私は一人になるとフーっと深く息を吐いた。
「先生、ありがとうございます。みんなに黙っていてくれて」
私は寝ながら先生にお礼を言った。
先生はそんな私を見て困った顔をしながら聞いてきた。
「こんなボロボロの体でなぜあんな強がりを?」
私の体は本当は立っているのがやっとだった。
「あそこでこんなボロボロの姿を見せたら……みんな心配しちゃいますから……」
みんなが居なくなった事で安堵して眠気が襲ってきた、ウトウトとしながら先生の問いに答える。
「本当の事を言って貰えないのは、とっても寂しい事ですよ……特に大事な相手なら尚更の事」
「えっ……?」
今、先生はなんて言ったんだろう。
私は話を聞きたかったが疲れからかそのまま眠りについてしまった。
「まったく、女性がこんなに無理をして……」
ダンテは布団をかけ直すとローズ様の周りに目隠しをして外から見えないように囲んだ。
「今はゆっくり休んで下さい」
深く眠りについたローズ様に微笑みかけた。
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