貧乏領主の娘は王都でみんなを幸せにします

三園 七詩

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107.マッサージ※

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スチュアートさんに抱えられながら部屋に戻って来るとその姿を見たクレアさんが驚いて駆け寄ってきた。

「すみません……ただいまです」

スチュアートさんの腕に隠れながら声をかける。
私の大丈夫そうな様子に少し安堵すると怒り出した。

「なんでローズ様は出かけるとそうなって戻って来るんですか!」

「すみませんクレアさん、今回は私の責任でもあります」

スチュアートさんがクレアさんに頭を下げた。

「はぁ……お二人共体を動かすのは程々にしてくだい。スチュアートさんローズ様はそのままお風呂に入れますのでこちらに運んで頂けますか?」

クレアさんがお風呂場へと案内する。

「すみません、スチュアートさんもう歩けますから下ろして下さい」

「駄目です。いい子ですからそこまで我慢して下さい」

スチュアートさんは浴槽の前に置いてある椅子に私をそっとおろした。
その仕草は壊れ物でも扱うように優しかった。

「明日もゆっくり休んで下さい。私はこれで失礼致します。クレアさん後はよろしくお願い致します」

「はい、任されました。明日までちゃんと休むようによく見ておきますから」

「スチュアートさん……ありがとうございました。皆さんにも心配しないように言っておいて下さいね」

「わかりました」

スチュアートさんは苦笑しながら頷くと部屋を出ていった。

そのあとはクレアさんに隅から隅まで綺麗に洗われて腕と足をマッサージされる。

「なんでこんなに固くなっているんですか!」

グッグッ!  と力を込めて揉みほぐされる。

「い、痛い!  痛いです!  クレアさん!」

私はヒィヒィと呻き声をあげた。

「無理するからです。ここでしっかりとほぐして置けば後々楽になりますから我慢ですよ!」

「そんなぁ~!」

私はギュッと布を握りしめて痛みに耐えた。

「ふぅ……お疲れ様でした!」

激痛マッサージが終わるとクレアさんは汗を拭うと大きく息を吐いた。

「あ、ありがとう……ございました……」

私はうつ伏せになりながらピクピクと手足を痙攣させる。

「明日は激しい運動はお休みですよ!」

「はぁーい……」

クレアさんに支えられながらベッドに移動するとバタンと倒れ込むと寝ていたバルトが驚いて飛び跳ねた。

「うお!  ローズ大丈夫か?」

「バルト~癒して!」

私はプルプルと震える腕を伸ばしてバルトを引き寄せるとギュッと抱きしめて毛皮を堪能する。

「はぁ……癒される」

気持ちいい触り心地にそのまま目を閉じて眠ってしまった。


クレアはお風呂場を掃除して戻って来るとそこにはバルトを抱きしめてそのまま寝ているローズがいた。

「まぁ、そのまま寝てしまうなんて」

そっと布団をかけると腕の中で窮屈そうにしているバルトが見えた。

「バルトさん?  大丈夫ですか?」

「ど、どうにか……」

モゾモゾと身体を動かしてローズを起こさないように気をつけながら腕から逃れる。

「う……」

ローズが寂しそうに顔を歪めた。

バルトは仕方なさそうにローズのそばに寄り添って丸まった。

「では後はバルトさんよろしくお願いします。おやすみなさいませ」

仲がいい二人を微笑ましそうに眺めると明かりを落として部屋を出ていった。
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