ほっといて下さい 従魔とチートライフ楽しみたい!

三園 七詩

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13章

756.

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「アナテマは?」

ヴォイドはメアリアを無視してアナテマを確認するように兵士に声をかけた。

「ア、アナテマ様は…まだ息があります!」

「ならばいい、裏切り者は処分しろ」

「え?」

兵士達は裏切り者とは何かとあたりをうかがう。

「そこの死んでる女だ、アナテマを攫おうとして返り討ちにでもあったのだろう。この事はアナテマには秘密にしておけ、さすがに母に殺されそうになったとあれば悲しむだろうからな」

「しかし…メアリア様はアナテマ様を思ってらしたように思えましたが…」

兵士は顔を真っ青にしながらもそう答えずにはいられなかった。

「私の意見に楯突くのだな?」

「い、いえ!」

「ではすぐに動け」

「は、はい…」

兵士はメアリア様の亡骸を抱き上げると丁重に運んだ。
後ろからは他の兵士がアナテマを抱き上げる。

「アナテマは医務室に運べ、他にここにいた者は怪我をしているようだからそのまま診察を受けるように」

「は、はい」

兵士達がゾロゾロと医務室へと向かった。

するとヴォイドは側近にチラッと視線を送る。

「はい、あの者達はすぐに処分致します」

満足する答えを受けてヴォイドはこの日ようやく笑顔を見せた。


・・・・・・



【ルナちゃんはその後、メアリア様の従魔に連れられてあの森まで来たの…でも途中で従魔の契約が解かれてそのまま森に落とされた…】

私は小さな自分の手を見つめた。
この体はルナちゃんのものだった…でもルナちゃんは現実に耐えきれずに心を壊してしまった。

そして一人森に落とされた…きっと辛く寂しかっただろう。

ルナちゃんのその時の気持ちを思うと胸が苦しくなる。

【私はそんなルナちゃんの空いた体に転生したんだね…】

ルナちゃんはここで力尽きてしまったのだろう。
でもルナちゃんの体が色々と記憶していてくれた。

【そこでミヅキは俺と出会ったんだな】

【うん…私、ルナちゃんの体を奪っちゃったのかな?】

今になってなんだか不安になりシルバを見つめる。

【体と心があってひとつの生命となる…心の死んでしまったルナの代わりに体を無くしたミヅキが入ったのだろう】

【そっか…なら私はやっぱりルナちゃんの分まで幸せにならないとダメだよね】

【そうだよ!ミヅキの幸せはルナの幸せ、そして僕達の幸せだよ】

シンクがプクッと頬を膨らませて顔を近づけてきた。

【だからそんな悲しそうな顔をしないでよ】

【ああ、ミヅキにはいつも笑っていて欲しいな】

プルシアもシンクの意見に賛成する。

【ぼくもミヅキがすき!】

【ぼ、ぼくもミヅキじゃなきゃダメだったよ】

コハクの真っ直ぐな瞳にムーの真剣な気持ちが心に突き刺さる。

【私もミヅキが居なければここには居なかったです。ルナさんは可哀想だけどミヅキはミヅキです】

【レム、みんな…】

【フェンリルであるこの俺が契約したんだ、ミヅキはミヅキであるとこに自信を持て、俺達が保証する】

シルバ達は心配無いと力強く頷いた。

【みんな…ありがとう。私はルナちゃんから貰った体で精一杯生きるよ】

ルナちゃん、だから安心して…アナテマ、あなたのお兄ちゃんを正気に戻してあの馬鹿親父に一発くれてやるからね!

(ありがとう…)

「え?」

今、心の中で返事が聞こえた気がした…

【ミヅキ、どうした?】

シルバ達が心配そうに顔を覗き込んでいた。

【な、なんでもないよ】

私はニコッと笑って見せるがシルバ達の顔色は優れない。
困ったように眉を下げてそっと頬を舐められた。

【ミヅキ、ならなんで泣いてるんだ?】

【え?】

私は自分が泣いてる事に気が付かなかった。

頬を触ると温かい涙が流れ出ている。

【これは…きっとルナちゃんの涙だ…】

今、ルナちゃんがこの体からスっと解放された気がした。

「ぐうぅぅ~」

すると気が抜けたのか盛大にお腹が空腹を訴えてきた。

【それ…ミヅキのお腹?】

【ふふ、シルバみたいだ!】

【ミヅキ、くいしんぼー】

【お腹が空くと言うことは元気が出てきたと言うことだろ?】

プルシアに聞かれて私は頬を染めて頷いた。

【えへへ、そうみたい】

お腹を押さえて笑って誤魔化した。

「「「「ぐうぅぅー!」」」」

【え?】

するとシルバ達からも大きな腹の虫が鳴き声をあげる。

【アハッ、僕もなんかお腹空いてきた!】

【私もだ】

【ぼくもー!】

【ぼ、ぼくもミヅキの美味しいご飯食べたい…】

【私も今日は食べたいです】

【ミヅキ、美味いものをたくさん頼む!】

シルバがぺろっと舌なめずりをして頼んできた。

【しょうがないなー!  よし!美味しいの作ってみんなでたくさん食べよう!】

私達はありったけの食材で料理を作った。

今までシルバ達に作ってきたご飯を思い出と共に作るとその度にすぐに空になる。

作りながら私も味見を沢山していつの間にかお腹がいっぱいになった。

美味しいご飯はすぐに空になり、お腹いっぱいの私達はいつものように身を寄せあって眠ってしまった。

その夜私は夢を見た…

私に似た女の子が綺麗な黒髪の女性と笑いながら手を繋いで歩いて行く夢だ。

二人は顔を見合わせ笑いながら歩いて行く。

その姿は幸せそのものに見えた。

そんな二人を見送っていると女の子はくるっと後ろを振り返って一言何か言った。

遠くて聞こえないはずなのに私はこの言葉は「ありがとう」って聞こえた。

朝起きるとその夢の事はすっかり忘れてしまっていたが私は久しぶりにぐっすりと寝て気持ちよく目が覚めたのだった。

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