640 / 687
12章(続き)
735.
しおりを挟む
「そんな事になっていたとは…」
「自分達の国の揉め事で外まで手が回らなかった」
「しかしなんでノース国はそんな事に?」
皆に注目されてアルファノーヴァは話を続けた。
「すみませんが国の中までは入る事は出来ませんでした。国の周りに結界が張られているのです」
「結界?」
「アルファノーヴァはこのとおりエルフだ、しかもかなりの魔力を持っていてウエスト国でも一番の実力者だ。そんな彼が破れない結界が張られているらしい」
「破ることは出来ますがそうなると相手に知られてしまいます。そんな事をすれば戦争になりかねないですからね…でもかなり強力な魔力を持っているかと」
ギルバート王の言葉にアンドロメダ王をはじめ皆驚く。
エルフの魔力量のことはよくわかっていた。
「ノース国の周りにはこの黒い魔石と同じような魔力を感じました。この魔石の元凶はあの国で間違いないと思います」
「では…あの子供は…」
アトラス王が伺うようにギルバートとアルファノーヴァを見た。
「ええ、アトラス様を襲ったあの子供はノース国の者です」
「ではミヅキも?」
「そこまではわかりませんがノース国に行けばミヅキの出生の秘密がわかるかも知れません…しかし先程言ったように国に入る事が出来ないのです」
「すまないがあの子供とは?それにミヅキとなんの関係がある?」
話が見えないサウス国のレミオロンが口を挟んだ。
「ああ、すみません。実はサウス国にも関係がある事なんです。サウス国での病気のまん延もその子供が何かしら関わっているかも知れません」
「え!?」
アルフノーヴァは各国での黒い魔石の被害を報告した。
「なんと…あんな酷いことが他の国でも起こっていたのか」
「その騒ぎで必ず現れるのがミヅキによく似たあの子供なのです、性格は真反対ですがね」
そこはしっかりと伝えておく。
「我々はミヅキさん達に国と命を救われた…何か出来ることは無いのか?」
アトラス王がギルバートに問いかける。
「魔物の活性化も報告されている…ノース国へは再三話し合いは出来ないか書状を送っているが返事が来たことはない。そこで近いうちにノース国へ行ってみたいと思っている」
「皆さんには何かありましたらお力をお貸しいただきたいのです」
「もちろんだ」
「右に同じ」
「無論協力しよう」
「私達でよければ力をかそう」
「ありがとうございます」
ギルバートとアルフノーヴァは顔を合わせて頷きあった。
その後の細かな調節の話を済ませると料理とお酒が運ばれてくる。
各国の王妃達も呼ばれて宴となった。
ギルバートはグラスを持つと立ち上がる。
皆がギルバートに注目するとニカッと笑った。
「ではミヅキ達が繋いでくれたこの出会いに感謝する。これからも助け合っていきましょう!乾杯!今宵ばかりは楽しんで下さい」
乾杯とグラスをあげると皆も同じようにグラスをあげた。
テーブルには各国の料理が並ぶ。
屋台で売られていた料理も並んでいた。
「これは今ウエスト国で話題の醤油を使った〝うどん〟です。隠れ里の皆さんが作って下さいました。他にも米などの料理がありますから楽しんで下さい」
ギルバートが自国の料理を説明する。
「私の国からはデザートの〝チョコバナナ〟に〝焼きそば〟だ。他にもチョコやソースを使った料理がありますから御所味下さい」
海の国の名産が並ぶ、他にもサウス国からはふわふわの白パンにハーブがタップリと入ったソーセージを持ってきた。
「すまない、うちの国からはこんなものばかりで…」
レミオロン王が申し訳なさそうにする。
「サウス国は病気の対応で大変だったからな、他の国の料理を味わって祖国で試せばいい」
ギルバートが笑って酒を注いだ。
「これはうちで今一番の酒なんだ、味わってくれ」
クイッと一口飲んで皆が目を丸くする。
「飲んだことない酒ですね!」
「美味い!少し度数が高いのかな」
酒をじっと見つめてアトラス王が聞いてきた。
「米で作った酒なんだ、よかったら土産に持たせるぞ」
「是非とも頼みたい!」
ギルバートは従者に各国に持たせるように声をかけた。
王達の宴が盛り上がるなか…ミヅキは眠りについていた。
「ふふふ…」
シルバ達に包まれて幸せな気分で眠っていた…
「自分達の国の揉め事で外まで手が回らなかった」
「しかしなんでノース国はそんな事に?」
皆に注目されてアルファノーヴァは話を続けた。
「すみませんが国の中までは入る事は出来ませんでした。国の周りに結界が張られているのです」
「結界?」
「アルファノーヴァはこのとおりエルフだ、しかもかなりの魔力を持っていてウエスト国でも一番の実力者だ。そんな彼が破れない結界が張られているらしい」
「破ることは出来ますがそうなると相手に知られてしまいます。そんな事をすれば戦争になりかねないですからね…でもかなり強力な魔力を持っているかと」
ギルバート王の言葉にアンドロメダ王をはじめ皆驚く。
エルフの魔力量のことはよくわかっていた。
「ノース国の周りにはこの黒い魔石と同じような魔力を感じました。この魔石の元凶はあの国で間違いないと思います」
「では…あの子供は…」
アトラス王が伺うようにギルバートとアルファノーヴァを見た。
「ええ、アトラス様を襲ったあの子供はノース国の者です」
「ではミヅキも?」
「そこまではわかりませんがノース国に行けばミヅキの出生の秘密がわかるかも知れません…しかし先程言ったように国に入る事が出来ないのです」
「すまないがあの子供とは?それにミヅキとなんの関係がある?」
話が見えないサウス国のレミオロンが口を挟んだ。
「ああ、すみません。実はサウス国にも関係がある事なんです。サウス国での病気のまん延もその子供が何かしら関わっているかも知れません」
「え!?」
アルフノーヴァは各国での黒い魔石の被害を報告した。
「なんと…あんな酷いことが他の国でも起こっていたのか」
「その騒ぎで必ず現れるのがミヅキによく似たあの子供なのです、性格は真反対ですがね」
そこはしっかりと伝えておく。
「我々はミヅキさん達に国と命を救われた…何か出来ることは無いのか?」
アトラス王がギルバートに問いかける。
「魔物の活性化も報告されている…ノース国へは再三話し合いは出来ないか書状を送っているが返事が来たことはない。そこで近いうちにノース国へ行ってみたいと思っている」
「皆さんには何かありましたらお力をお貸しいただきたいのです」
「もちろんだ」
「右に同じ」
「無論協力しよう」
「私達でよければ力をかそう」
「ありがとうございます」
ギルバートとアルフノーヴァは顔を合わせて頷きあった。
その後の細かな調節の話を済ませると料理とお酒が運ばれてくる。
各国の王妃達も呼ばれて宴となった。
ギルバートはグラスを持つと立ち上がる。
皆がギルバートに注目するとニカッと笑った。
「ではミヅキ達が繋いでくれたこの出会いに感謝する。これからも助け合っていきましょう!乾杯!今宵ばかりは楽しんで下さい」
乾杯とグラスをあげると皆も同じようにグラスをあげた。
テーブルには各国の料理が並ぶ。
屋台で売られていた料理も並んでいた。
「これは今ウエスト国で話題の醤油を使った〝うどん〟です。隠れ里の皆さんが作って下さいました。他にも米などの料理がありますから楽しんで下さい」
ギルバートが自国の料理を説明する。
「私の国からはデザートの〝チョコバナナ〟に〝焼きそば〟だ。他にもチョコやソースを使った料理がありますから御所味下さい」
海の国の名産が並ぶ、他にもサウス国からはふわふわの白パンにハーブがタップリと入ったソーセージを持ってきた。
「すまない、うちの国からはこんなものばかりで…」
レミオロン王が申し訳なさそうにする。
「サウス国は病気の対応で大変だったからな、他の国の料理を味わって祖国で試せばいい」
ギルバートが笑って酒を注いだ。
「これはうちで今一番の酒なんだ、味わってくれ」
クイッと一口飲んで皆が目を丸くする。
「飲んだことない酒ですね!」
「美味い!少し度数が高いのかな」
酒をじっと見つめてアトラス王が聞いてきた。
「米で作った酒なんだ、よかったら土産に持たせるぞ」
「是非とも頼みたい!」
ギルバートは従者に各国に持たせるように声をかけた。
王達の宴が盛り上がるなか…ミヅキは眠りについていた。
「ふふふ…」
シルバ達に包まれて幸せな気分で眠っていた…
178
お気に入りに追加
23,166
あなたにおすすめの小説
収容所生まれの転生幼女は、囚人達と楽しく暮らしたい
三園 七詩
ファンタジー
旧題:収容所生まれの転生幼女は囚人達に溺愛されてますので幸せです
無実の罪で幽閉されたメアリーから生まれた子供は不幸な生い立ちにも関わらず囚人達に溺愛されて幸せに過ごしていた…そんなある時ふとした拍子に前世の記憶を思い出す!
無実の罪で不幸な最後を迎えた母の為!優しくしてくれた囚人達の為に自分頑張ります!
卒業パーティーで魅了されている連中がいたから、助けてやった。えっ、どうやって?帝国真拳奥義を使ってな
しげむろ ゆうき
恋愛
卒業パーティーに呼ばれた俺はピンク頭に魅了された連中に気づく
しかも、魅了された連中は令嬢に向かって婚約破棄をするだの色々と暴言を吐いたのだ
おそらく本意ではないのだろうと思った俺はそいつらを助けることにしたのだ
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
継母の心得 〜 番外編 〜
トール
恋愛
継母の心得の番外編のみを投稿しています。
【本編第一部完結済、2023/10/1〜第二部スタート☆書籍化 2024/11/22ノベル5巻、コミックス1巻同時刊行予定】
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
狂犬を手なずけたら溺愛されました
三園 七詩
恋愛
気がつくと知らない国に生まれていたラーミア、この国は前世で読んでいた小説の世界だった。
前世で男性に酷い目にあったラーミアは生まれ変わっても男性が苦手だった。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。